木村長人(きむらながと)。皆さんとつくる地域の政治。

1964年(昭和39年)千葉生まれ。元江戸川区議(4期)。無所属。

仮設住宅入居の抽選に当たっても・・・

2011-06-09 17:06:57 | 地方自治
 つい昨日、被災地にすでに何度もボランティア入りしている習志野レスキュー・サポート・バイク(NRB)の方々と会いました。もともとは、私がお世話になっている船橋の方の紹介で会談をセッティングしてもらったのですが、ご自身もそのNRBの中核メンバーのお一人です。

 NRBは、阪神淡路大震災の際に交通が遮断された被災地でボランティア活動を実践したジャパン・レスキュー・サポート・バイク(JRB)のメンバーがその経験を活かし、新たに2006年に立ち上げた災害ボランティア組織です。

 すでにNHKや毎日新聞などでその活動が紹介されており、今でも月に一度のペースで東京湾の湾岸エリアからボランティア隊を被災地に派遣しています。

 さて、昨日NRBの方々と話をしていた中で気になる話題(というか課題です)があったので、一つご紹介します。

 NRBの方々は現地のボランティア団体の方とタイアップして支援活動を行っているのですが、その一つが宮城県角田市や山元町周辺でボランティアを行っているバンドエイド(band aid)という団体です。そのバンドエイドの方からの情報として次のような話があると、NRBのTさんから聞きました。

 「岩沼市周辺で仮設住宅や仮賃貸の入居者が、収入も手持金も無いまま、給食や生活物資の支給を打切られて困窮している」というのです。

 これを聞いて、そういえば、似たような話をどこかで読んだのを思い出しました。南三陸町では仮設住宅への入居抽選に当たっても、半数以上の人が入居をしようとしていないというのです。

 でも、なぜ?

 答えは簡単で、現状では、仮設住宅への入居が完了すると同時に食料などの支援物資の支給もストップしてしまうという仕組みだから、だそうです。

 被災者個々の状況にもよると思いますが、避難所生活を余儀なくされている方々のうち持ち家も手持ち金もなく、職も失ったという方々の場合、仮設住居への入居が保障されても、入居したその日から「はて、何を今日は食べよう? 食べ物がない」ということになるのは目に見えています。

 幸い職場が残った、解雇されずにすんだという方にとっては、仮設住宅入居は生活再建の大きな目途になると思いますが、何もかも一度に失った人にとっては、仮設住宅入居=支援需要終了ではないわけです。

 ちなみに、南三陸町では入居抽選に当たっても入居しない(あるいは、生活が成り立たないから入居できない)方々がいることで、さらに抽選から漏れた方々から今度は不満の声が上がりだしており、二重の課題を抱えることになっているといいます。

 NRBのTさんいわく、「16年前の阪神淡路の教訓が何も活かされていないと言う事」「自殺や孤独死が相次ぎ、市内仮設住宅での孤独死(含自殺)は217人。仮設住宅も仮賃貸も災害支援法の範疇、ゴールでは無い事をマスコミや地元議員、首長、行政に理解させ」ることが必要だ、と。

 まさにその通りだと思いました。国土交通省が舵を取り、現在岩手・宮城・福島あわせて7万戸以上の仮設住宅建設を進めています。政府は「お盆までに希望者全員の入居」を目標として掲げています。

 それは大いに結構です。しかし、仮設住宅入居が支援の完了を意味しないという被災者の立場を理解しなければならないでしょう。

 仮設入居により自力再建できる人はどんどん自立してもらうことが必要だと思いますが、反面、手持ち金も職もともに失ってしまった人には仮設入居後も食料や衣類の支援は現実問題、しばらくは続けることが必要だと思います。

 NRBの方から伺った現地の課題を紹介させていただきました。




江戸川区議会議員 木村ながと
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