木村長人(きむらながと)。皆さんとつくる地域の政治。

1964年(昭和39年)千葉生まれ。元江戸川区議(4期)。無所属。

議会版天下りを絶てない議会

2012-02-23 23:32:45 | 地方自治
 こんばんは。木村長人です。

 今日の本会議では昨日、上程された監査委員の同意案件について採決が行われました。今回、区長から推挙されてきた候補者は、再任となる民間有識者の方と与党系会派出身の前区議会議員の方との二名です。現監査委員二名の任期満了にともなって、上程されてきた同意案件です。

 私の採決対応の結論を先に申しあげましょう。民間人候補には賛成しました。かの候補者は博士号を持ち、かつ区政に精通されている方です。

 しかし、前区議会議員候補には反対しました。先輩議員に対する私情を押し殺し、明確に反対しました。

 個人的なことを申し上げれば、候補者である元議員のことは先輩議員としてよく知っているし、メールも頻繁にやりとりした方です。会派は違えど、お世話にもなりましたし、性格や人柄もとてもよく、個人的に好感を持ってきた方です。しかし、反対しました。

 世間で天下り批判が支配的ななか、その世間の代弁者たる議員がみずから議会版天下りをしていてどうしますか!? 端的に、そういうことです! この記事を読んだ、ほとんどの方が同様の感想を抱くのではないでしょうか。

 無論、長きにわたり議員を務めてきたことで、得られる知識と経験には捨てがたいものがあります。「余人をもって代えがたい」とも言えるケースもあるでしょう。しかし、私情をくんで、よい人や知人を採用していては示しがつきません。天下りを減らしていくよう、率先して厳しい態度をとっていくべきなのが議員の選択すべき道ではないでしょうか。(かくいう私も議員になりたての問題意識の希薄な頃、同様の議案に賛成してしまった失敗もあります。しかし、今は異なります。これではいけないというのが、率直な意見です。)

 別の問題点もあります。江戸川区では監査委員4名のうち、すでに現職議員が2人、任命されています。そこにまた一人議会関係者を選出するというのではどうみてもバランスが悪すぎます。4分の3が議会関係者ということになります。

 もう少し詳しく言えば、現状の監査委員体制は、民間人1名、A党現職議員1名、B党現職議員1名、そしてB党元議員1名となっております。ここにまた同じB党出身の元議員をということです。しかも代々、同じ選任が続いています。B党と区長との間にどのようなやりとりがあって、こうした推薦の慣習が続いているのか知る由もありませんが、この連鎖を断ち切ることのできない提案者たる区長もどうしたものでしょうか。

 先輩議員は、みずからに厳しく、候補者になることを固辞することはできなかったのでしょうか。とても残念です。

 もうそろそろ議員の天下りを改めるべきです。こんな体たらくの状況だから、既成の政治への失望感が膨らみ、全国各地で「劇場型」の極端な改革の政治家が登場するのです。しかし、そうした「劇場型」の期待が生まれるのも、これでは無理からぬことです。

 最後に、元議員を選任する議案の結果ですが、残念ながら、反対した議員は少数でして、同意人事案は賛成多数で承認されてしまいました。

 私が議場で確認できたかぎりにおいて、反対した議員は以下の通りです(敬称略。議席番号順)。たぶん漏れはなかろうと思います。桝(みんな)、滝沢(えどがわ)、大橋(共産)、上田(みんな)、新村(ネット)、小俣(共産)、田中健(一人)、間宮(共産)、瀬端(共産)、そして私、木村(無所属)。以上の10名が議案に反対しました。それに対し、33名(議長は採決に加わりません)が結果的に議会版天下り人事に賛成したということです。よく知る元議員が候補者ということで、内心板挟みになり、しぶしぶ賛成した議員もいたのかもしれません。しかし、それは私とて同様です。私情を殺さずして、改革などできないと思います。

 ともあれ、これが江戸川区議会の意思表明の現状です。




江戸川区議会議員 木村ながと
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