ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

「エレニの旅」を観る。ーその1-

2017年02月20日 15時33分58秒 | 映画
昨年の夏に群馬県の友人を訪ねた時に、見るならあげるよと頂戴したDVDがあった。少しだけ観ては、中断していたのだが今回、全編を通して改めて鑑賞してみました。しかし、長い映画であった。2時間50分もの長編である。

テオ・アンゲロプロス監督の「エレニの旅」という映画である。
アンゲロプロスの作品は以前にも観たことがありました。「狩人」がそれです。
その時の印象は地中海に面したギリシャが舞台なのに、映像全体にどんよりとした「暗さ」を感じた記憶があります。群馬県在住の友人(彼はギリシャ通なのである)にそのことを話すと、実はギリシャというところは北の地方の気候は温暖ではなく雲に覆われることの多い気候なのだという事であった。

さて、「エレニの旅」に戻るが、この映画の真骨頂は何といってもその映像美である。
映画の各所に置かれたロング・ショットの映像は見事というしかありません。
象徴的な映像をアンゲロプロスは好んで使う映画監督なのだが、この映画ではそれが際立ってると感じました。

例えばこんな画面があります。

映画の冒頭のシーンです。つぎの画像も観てもらいましょう。



上の二つの映像には似通った特徴を感じるのです。対象物の配置の方法が同じことに気が付きました。
また、次のような映像もあります。





これ等も又、対象物の配置の仕方が似ていると思いませんか。似ているどころか、実は同じ場所を映しているのです。しかもカメラ位置も同じと思われます。
画面の奥に見える樹木と家屋が全く同じもので、時間の経過が異なっているだけなのです。これはもちろん、偶然なのではありませんね。
この映画の観客にわざと同じ構図を時間の経過だけが異なっている映像を見せることによる何かの効果をねらったものだと考えるのが妥当でしょう。

こんな映像もあります。




いずれにしても、これらの映像はDVDなんかではなく、映画館のスクリーンで観てこそ、本来の映像美を味わうことが出来るのでしょう。
ぜひスクリーンで観てみたいものである。
映画の内容に立ち入るのはつぎの機会という事にしましょう。












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