kkdaiyaの映画、ミリタリー・ハイテク小説

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映画 戦略空軍命令 ブルーレイディスク

2021年05月09日 | 映画評価
1955年日本封切り
ジャームス・スチワート
ジューン・アリソン
amazonより
名優ジェームズ・スチュワートが企画・主演した航空映画大作。
セント・ルイス“カーディナルス"の名三塁手、“ダッチ"ことロバート・ホーランド(J・スチュワート)はトレーニング中、空軍少将のラスティ・キャッスル少将から空軍復帰への召集があった。ダッチは第二次大戦中、爆撃機B29の機長だった。彼は新しく創設されたSAC(戦略空軍部隊)という部門に配属され、新婚の妻サリー(J・アリソン)とともに新居からテキサスの兵舎に移った。
ダッチは特殊な訓練の後、巨大爆撃機B36を操縦することになった。アラスカ上空を旋回する無着陸往復試験飛行を経て、彼は機長に昇進した。そしてサリーの出産予定日が迫る中、グリーンランドへ耐寒試験飛行が決まった。そしてその飛行中、あと少しで目的地到着という時、B36の左翼エンジンが発火。乗組員がパラシュートで脱出した直後、機体は大きく高度が下がり、残されたダッチは吹雪の中に不時着してしまう。
空軍大佐の肩書を持つジェームズ・スチュワートがSACを見学時に、その使命の重大さを映画によって伝えることが必要だと考え、自らが企画して製作された航空映画大作。
米空軍が全面的に協力し、B36H長距離戦略爆撃機をはじめ、空軍が誇る爆撃機とその試験飛行の緻密な描写とともに、主人公の夫婦愛が描かれる。主演のスチュワート、ジューン・アリソンと監督のアンソニー・マンは『グレン・ミラー物語』(54)でもトリオを組んでいる。

 ブルーレイディスクをブックオフから購入しました。日本語版DVDが数年前に出たようですが、ブルーレイがでたので購入しました。前から見たかった映画です。B-36H, B-47の共演です。ビスタビジョンというパラマウントが採用した高精細の横長画像で撮影されており、極めて美しい映画になっています。特にB-36の飛行シーンは印象的です。B-36自体極めてまれな機体で、子供のころ航空情報などのモノクロ写真ページ全体に写っているのを見て感激したものです。この映画の画像はまさにそれを映画で再現してくれています。

アマゾンでのレビューより:封切り当時は見ていないので新鮮でした。最初のシーンで主人公がカーディナルス球場でB-36の飛行を見上げるところなど印象的です。このシーンはSACの協力とタイミングが必要なので、撮影に苦労したのではないかと思われます。すでに多くのレビューアーが述べられている通りB-36, B-47の映像が素晴らしい。特にBR版はビスタビジョンのクオリティーを伝えています。
 目についたのはB-36の脚扉やジェットエンジンの吸入口が赤縞に塗られた機体があったこと、爆弾倉扉が折り畳み式であること、内部の構造がピカピカできれいであったこと、ジンクロが内部塗装に多用されていたこと、内装に合成ビニール系素材を使っていること、ジェットエンジンは離陸などの際に補助的に使われていたこと、機体後部に行くにはパイプ状の24mあるトンネルを寝ながら抜けること、主翼からの燃料漏れが問題があり発火により主翼が燃えてしまうこと、この対策をコンベーア社の技術者に依頼していること、将軍の葉巻が火災の原因ではと反論されること、グリーンランド雪原に無事不時着できたこと、脱出孔が前後にあり機長のベルの合図で搭乗員がパラシュート降下すること、どういうわけか機長と航法士が残って胴体着陸すること、B-47の風防の開閉がスライド式ではなく一旦持ち上がって閉まること、操縦席のパイロットの位置まで爆撃・航法士がアプローチできること、指令室の極東の地図がかなりおかしいこと、空中給油の接合・解離が危なげに見えたこと、横田基地が目的地で代替え飛行場として沖縄・嘉手納が使用されること、ジェット進入という降下方法で嘉手納にアプローチするがスポイラー開く以外に後輪と、補助輪のみが下りている状態らしいこと、この辺りでの日本語訳がおかしいこと、前面キャノピーのワイパー動作が早いこと、主パイロットは右腕の具合が悪くなりスロットル操作を副操縦パイロットにまかせること、あたりまえだが前席と後席のスロットル・レバーが連動して動きが見えること、右腕の治療を怠った為主人公は即日除隊となること、C-124グローブマスターに長大な燃料給油車両を積載できたこと、など色々ありました。
 ストーリーは面白くないという批評が多いですが、空軍パイロットの妻の葛藤、夫との対立、自己主張の強い性格など現代にも通じる内容でした。SACの大将などもろともせずに主張し、夫の責任が重すぎることを言うなど、1955年いや今の日本人女性でも考えにくい行動でした。この内容をSACや空軍協力で作れるアメリカの懐の深さを思わせます。最後のシーンで夫と妻が新しいB-47連隊の飛行を窓越しに見つめ、除隊予定の夫はまだ未練がある顔をしていますが、妻は満足そうな顔をしている対比をエンディングに使うなど、個としての独立性が高いアメリカ社会を示す内容で興味深いストーリーでした。日本では作れない内容と思います。
 SACのリクルート映画とのことです。これで人が集められるという考えにはならないような気がしますが、アメリカらしい内容でした。黒人兵が一人も出てこないことも当時の社会状況を伝えているでしょうか。お宝になるBRディスクでした。
 

主演のジェームス・スチワートが初めてB-36に搭乗する。
機関士席、6発エンジンの計器がたくさん並んでいます。スロットルも6本あるでしょうか。
雲上のB-36
ミーティング風景、空軍の制服がかっこいいです。
B-47登場
風防はスライドするのではなく一旦持ち上がってから閉まります。
JATOによる離陸
3人のコックピット、航法・爆撃士、正副操縦士です。
左下のスロットルレバー、ジェームス・スチワートは右肩を痛めてコントロールできなくなり、後席の副操縦士に操作を依頼します。これが除隊の遠因となりました。
悪天候の中、嘉手納に着陸しました。
降下モードとして後輪を下して雲中を切り抜けていました。
よくできた映画でした。A級です。
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