kkdaiyaの映画、ミリタリー・ハイテク小説

このブログは、映画、ミリタリー・ハイテク小説の私的な感想を記したものです。

海戦フォークランド

2017年03月17日 | 書評
海戦フォークランド 堀 元美 原書房 1983年


 古本で手に入れました。著者の堀元美氏は造船士官として大戦中様々な艦の造船、改造、修理、試験などの関与された方で、日本海軍艦艇技術研究の第一人者でした。
 フォークランド戦争を海戦の視点でまとめたもので、ハリアーなどの航空機の戦いでまとめた江畑謙介氏訳の「空戦フォークランド」と対をなすものです。随所に著者独特の解析と見解があり、読み手を飽きさせません。英国は機動部隊とともに兵站を担当するロジスティック部隊をすぐに展開させたのが勝利の要因であると述べています。特に徴用の民間客船や廃棄寸前の艦艇を活用した点は、大英帝国海軍の伝統的な原理原則が発揮されたとしています。この戦いで英国は薄氷の勝利で島を再度領土に入れることができましたが、一つ間違えばアルゼンチン側の勝利となっていたようです。6隻もの英国艦艇が沈没したわけで、これ以上の損失は負ける要因になったと思われます。
 巻末には83年当時のソビエト、西欧諸国間のミリタリーバランスも詳細に記載されており、参考になります。現在はそれがロシア、中国に代っているわけです。本文には写真がたくさん掲載されており、ざら紙に印刷されているのが残念です。
 一級の海軍艦艇技術研究者による本書は、フォークランド戦争の分析文献として重要と思われます。

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映画マリアンヌ

2017年03月10日 | 映画評価
映画マリアンヌ
2017/3/8 新宿ピカデリー

恋愛ものとは知らずに見に行きました.観客に女性が多く、違和感ありました.
原題は「Allied」です.日本語では同盟とでも訳すのでしょうか.この映画に限っては珍しく、日本語のタイトルのほうが女性客を狙え、かつ分かりやすいと思います.しかし、英国空軍機がたくさん出てくるとは思いませんでした。
1942年、第二次世界大戦で、カナダ人の空軍情報員マックス(ブラッド・ピット)は、カサブランカでフランスから逃げてきてドイツに信用があるマリアンヌ(マリオン・コティヤール)とパートナーを組みます。 二人は夫婦の役をします。パーティーでドイツ大使を銃殺(今のテロ襲撃と同じですが戦争中ですからテロではないか)、逃げ延びてロンドンにて結婚、女の子を設けます.しかしマリアンヌはドイツの隠れスパイでフランス人の死んだ同名女性活動家のフェイクでした.結局英当局の諜報部に感ずかれて、マリアンヌは自殺、悲劇になります.
恋愛ストーリーから外れてみると、
1. 英国空軍の爆撃機基地の描写がよい.複数のランカスターの出撃様子がリアルです.
2. マックス(ブラッド・ピット)はウエストランド・ライサンダーによりフランスへの秘密飛行を行い、レジスタンスを支援すると同時にマリアンヌの素性を調べに行く.小さな着陸場にライサンダーが車輪にある2個の灯火を点滅させて着陸、すぐに荷物の入ったコンテナを切り離す.しかしブラッド・ピットはエンジンを止めてしまい、レジスタンスから不思議がられる.
3. 戦争が終わりに近い時期のロンドン空襲の際にHe177が出てくる.しかも撃墜されて主人公たちの家に突っ込みそうになる.次の日にHe177の残骸の尾翼にユニオンジャックを掲げそのそばで主人公はピクニックをする.He177が映画に出てきたのは初めて見ました.
4. 最後はライサンダーでマックス(ブラッド・ピット)とマリアンヌ(マリオン・コティヤール)、子供が逃げようとするが、エンジンが中々かからず、その間に追跡していた上官らに妨害(車のフェンダーをプロペラに衝突させる)されて、マリアンヌは銃で自殺することを選択する.ライサンダーが多数並んだ場面は見ごたえがあります.
飛行機好きな人にとっては恋愛ものとは別の視点があり、興味深い映画でした.ただストーリーはB級でした.







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