イラク原子炉攻撃！ イスラエル空軍秘密作戦の全貌

ロジャー・クレイア著　高澤市郎訳　並木書房
　1981年6月に行われたイスラエル空軍によるイラン・オシラク原子炉攻撃の全貌を書いた本です。この本はイラン政権の崩壊により可能になった参加パイロットのインタビューをもとにして組み立てた完全版に近いものです。1980年代末にダン・マッキノン『あの原子炉を叩け！』（平賀秀明　訳、新潮文庫）というタイトルの文庫本が出ていましたが、これよりも実録に近いものになっています。しかしこの本から詳しくこの作戦の背景を含めた点を知りますと、逆にマッキノンの本がなり正確であったことを再認識させてくれました。8名のパイロットが爆撃に参加しましたが、スペクターというエースパイロットが割り込んだということや、結局彼が爆弾のヒットをミスしたことなど新事実もあります。またイスラエル初の宇宙飛行士イラン・ラモンがこの8名のパイロットの一人でスペーシシャトルの事故で死亡したことなど初めて知りました。大変面白い本でした。