kkdaiyaの映画、ミリタリー・ハイテク小説

このブログは、映画、ミリタリー・ハイテク小説の私的な感想を記したものです。

番外:シェルブールの雨傘

2013年11月17日 | 映画評価

 シェルブールの雨傘 ディジタル修復完全版を新宿ピカデリー見ました。実に45年ぶりの再見です。最初は19歳の浪人生のとき新宿の名画座で見たのでその時で公開後5年経過していましたが、先入観なしに時間つぶしで見たためか大層感動しました。すべてのセリフが歌になっていた点が驚きでした。ストーリーも日本人にはありえないような悲恋?物語で主人公のジェヌビエーヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)は自動車整備工のギイーを棄ててお金持ちの奥様になる結末です。今回改めてカトリーヌ・ドヌーブの美しさに感心するとともに小悪魔的な表情があるのを再確認しました。これがカトリーヌ・ドヌーブ主演映画「昼顔」に繋がると思ました。今回は大画面で余裕を持って映画を見ることができたので細部演出、構成まで観察できました。いかにもフランスらしい色彩、部屋の様子、壁紙、食器、家具、花、食事、洋服でした。通りの壁のタイル模様がギイーが兵役(アルジェリア)に行く前の幸福感、帰還後の絶望のシーンでうまく使われています。絶望の末、港の売春バーに行くシーンは「昼顔」にも出てくる光景を思い出させてよくできています。この辺りはもっと評価してよい点と思います。オープニングの傘のシーンも秀逸と思います。(2013/11/17)
主題歌youtube1
主題歌youtube2



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デッド・オア・アライブ

2013年11月12日 | 書評
デッド・オア・アライブ 1-4 新潮文庫

 2013年8月に亡くなったトム・クランシーの小説です。グラント・ブラックウッドとの共作です。トム・クランシーの亡くなった原因はわかりませんが享年66歳でまだかなり若いので残念です。
 デッド・オア・アライブは2007年発行のジャック・ライアン・シリーズです。
「イスラム・テロ組織の首謀者アミールは、時間差頻発テロを目論み、アメリカに潜入する。アミールの目論見を阻止するために、ジャック・ジュニアやクラークが所属する組織ザ・キャンパスが彼の影を追う。その最中、ジャック・シニアは大統領選挙に出馬することを決意する。」(Wiki)。最後は偶然にも一連のテロ活動は阻止され、アミールはとらわれて終わりになります。
 久しぶりにトム・クランシーを読みました。IT環境がやや時代遅れのところがありますが、2007年という想定が原因でそこが弱点です。ザキャンパスという民間組織が様々な手法でテロの首謀者を追い、拷問や、殺人を行って追いつめる展開は、アメリカの情報活動が暴かれている今興味深い点があります。特に拷問を駆使して情報を得る光景は以前見た映画『ゼロ・ダーク・サーティ』に通じます。今問題となっている情報機関による個人会話、メイルの盗聴などは当たり前の世界です。
 ザ・キャンパスの工作員が他の文明国へ行ってテロ組織の一味をとらえるには殺人破壊はいとわずという内容は、いささか首をかしげたくなります。書かれているような活劇を日本でやったら大騒ぎになり断交になるでしょう。そうい言った点ではハリウッド映画通じるアメリカに都合の良いストリーになっていて、昔のクランシーものとはだいぶ違っているようです。このあたりの評価は2流ミリタリーサスペンスに近い内容でした。
 アミールの計画は原爆を核廃棄物貯蔵地下坑道で爆発させて汚染を拡大することが最終目標であったようです。日本の福島原発事故の様相を見るとその影響甚大なことが予想され、筆者らの予見性は高いとも言えます。まさにクランシーの世界でしょうか。