先日、ある雑誌を読んでいたら面白い詩に出会いました。
イギリスの詩人、フランセス・コーンフォード Frances Cornford (1886-1960)の、「親のつとめのあらまし」(Ode on the Whole Duty of Parents) 。親子の距離のとり方や、親の子に対する接し方、親としての心構えみたいなものがテーマになっている詩です。
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Ode on the Whole Duty of Parents 親のつとめのあらまし
by Frances Cornford 訳・木坂 涼
The spirits of children are remote and wise,子どもの心は、遠くを見すえてつねに、一枚上だ。
They must go free 海を泳ぐ魚や、
Like fishes in the sea 空を飛ぶむくどりのように
Or starlings in the skies, 子どもも自由でいなければならない。
Whilst you remain 親はその間、おだやかな岸辺となって
The shore where casually they come again, ふらりと戻ってくるのを待つのがつとめだ。
But when there falls the stalking shade of fear, ところがもし、恐怖の影が忍び寄り、子どもに
You must be suddenly near, 襲いかかろうとしたら、親のあなたは瞬時に
You, the unstable, must become a tree その子のそばにいないといけない。
In whose unending heights of flowering green たとえ動揺していようと、なにごとにも動じない
Hangs every fruit that grows, with silver bells; 大樹のように、青々とそびえ立っていなければ。
Where heart-distracting magic birds are seen あなたの枝という枝には、あらゆる果実を実らせ、
And all the things a fairy-story tells; 銀の鈴をさげ、魔法の鳥も見え隠れさせて
Though still you should possess 恐怖を忘れさせる。おとぎ話に登場するものを
Roots that go deep in ordinary earth, ひととおりそろえておきながらも、あなたは日常の
And strong consoling bark 土に深く根ざし、丈夫な愛情の樹皮で
To love and to caress. 子どもを包んで慰めるのだ。
Last, when at dark いよいよ日が暮れれば
Safe on the pillow lies an up-gazing head 寝かされた子どもは、安心して
And drinking holy eyes 枕からあなたを見上げる。
Are fixed on you, この世の不思議を飲み込もうとする崇高な眼で。
When, from behind them, questions come to birth そしてあなたが前に話したことの
Insistently, 断片といっしょに、次々わいてくる質問をする。
On all the things that you have ever said 太陽について、蛇について、幾何学の
Of suns and snakes and parallelograms and flies, 平行四辺形について、蠅についても、
And whether these are true, 「本当に?本当に?」としつこいまでに。
Then for a while you'll need to be no more そんなときは、あなたはもう、
That sheltering shore おだやかな岸辺にも、
Or legendary tree in safety spread, そびえる大樹にも、なる必要はない。
No, then you must put on かわりに大賢人ソロモン王の
The robes of Solomon, 礼服を身にまとうか、または
Or simply be ベッドの端に腰をかけたまま
Sir Issac Newton sitting on the bed. ニュートン博士を演じ切ればいい。
オリジナルの英詩はもちろんのこと、木坂さんの日本語訳もまたいい。
どの節も好きだけど、特に好きなのは、「おとぎ話に登場するものをひととおりそろえ」、「魔法の鳥を見え隠れさせて」、突然何かにおびえて泣き出した子どもの恐怖を忘れさせることができる一面をもちながら、その一方で、「日常の土に深く根ざし」、「丈夫な愛情の樹皮で、子どもを優しく包んで慰める」包容力と強さをもちあわせた、優しく強い大樹のイメージ。
こんな風になれるといいけど・・・。うちの夫は(別に自慢したりのろけたりするわけじゃないけど)、かなりこの大樹のイメージに近い気がするけど(いや実際に体が大きいからってだけじゃなくてね・笑)、自分自身はどうかな~。けっこうちまちましたところがあるから、これから意識して、こういう大樹のような母親になれるように努力しなきゃいけないかも。
最後の、親を質問攻めにする子どもへの対応の仕方を詩にしているところも、ユーモラスでさらっとしていて、とても好き。
私自身も、「なんで? なんで?」と、親や周囲の大人を質問攻めにして困らせる子どもだったらしいから、自分の子どもについても覚悟しとかないと…(笑)。大賢人ソロモン王かニュートン博士を演じ切るっていうのも並大抵じゃなさそうだけど、それくらいの演技力と度量と遊び心が大事だってことは、覚えておこう(汗)。
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この詩を見つけたのは、鎌倉の叔母のはからいで、2ヶ月前から航空便で送り届けられるようになった『婦人之友』という雑誌。文化、環境、政治、家庭生活、育児…などなど、守備範囲が広くてなかなか読み応えのある雑誌です。
恭子おばちゃん、どうもありがとうございます。
楽しんで読ませてもらってます♪
イギリスの詩人、フランセス・コーンフォード Frances Cornford (1886-1960)の、「親のつとめのあらまし」(Ode on the Whole Duty of Parents) 。親子の距離のとり方や、親の子に対する接し方、親としての心構えみたいなものがテーマになっている詩です。
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Ode on the Whole Duty of Parents 親のつとめのあらまし
by Frances Cornford 訳・木坂 涼
The spirits of children are remote and wise,子どもの心は、遠くを見すえてつねに、一枚上だ。
They must go free 海を泳ぐ魚や、
Like fishes in the sea 空を飛ぶむくどりのように
Or starlings in the skies, 子どもも自由でいなければならない。
Whilst you remain 親はその間、おだやかな岸辺となって
The shore where casually they come again, ふらりと戻ってくるのを待つのがつとめだ。
But when there falls the stalking shade of fear, ところがもし、恐怖の影が忍び寄り、子どもに
You must be suddenly near, 襲いかかろうとしたら、親のあなたは瞬時に
You, the unstable, must become a tree その子のそばにいないといけない。
In whose unending heights of flowering green たとえ動揺していようと、なにごとにも動じない
Hangs every fruit that grows, with silver bells; 大樹のように、青々とそびえ立っていなければ。
Where heart-distracting magic birds are seen あなたの枝という枝には、あらゆる果実を実らせ、
And all the things a fairy-story tells; 銀の鈴をさげ、魔法の鳥も見え隠れさせて
Though still you should possess 恐怖を忘れさせる。おとぎ話に登場するものを
Roots that go deep in ordinary earth, ひととおりそろえておきながらも、あなたは日常の
And strong consoling bark 土に深く根ざし、丈夫な愛情の樹皮で
To love and to caress. 子どもを包んで慰めるのだ。
Last, when at dark いよいよ日が暮れれば
Safe on the pillow lies an up-gazing head 寝かされた子どもは、安心して
And drinking holy eyes 枕からあなたを見上げる。
Are fixed on you, この世の不思議を飲み込もうとする崇高な眼で。
When, from behind them, questions come to birth そしてあなたが前に話したことの
Insistently, 断片といっしょに、次々わいてくる質問をする。
On all the things that you have ever said 太陽について、蛇について、幾何学の
Of suns and snakes and parallelograms and flies, 平行四辺形について、蠅についても、
And whether these are true, 「本当に?本当に?」としつこいまでに。
Then for a while you'll need to be no more そんなときは、あなたはもう、
That sheltering shore おだやかな岸辺にも、
Or legendary tree in safety spread, そびえる大樹にも、なる必要はない。
No, then you must put on かわりに大賢人ソロモン王の
The robes of Solomon, 礼服を身にまとうか、または
Or simply be ベッドの端に腰をかけたまま
Sir Issac Newton sitting on the bed. ニュートン博士を演じ切ればいい。
オリジナルの英詩はもちろんのこと、木坂さんの日本語訳もまたいい。
どの節も好きだけど、特に好きなのは、「おとぎ話に登場するものをひととおりそろえ」、「魔法の鳥を見え隠れさせて」、突然何かにおびえて泣き出した子どもの恐怖を忘れさせることができる一面をもちながら、その一方で、「日常の土に深く根ざし」、「丈夫な愛情の樹皮で、子どもを優しく包んで慰める」包容力と強さをもちあわせた、優しく強い大樹のイメージ。
こんな風になれるといいけど・・・。うちの夫は(別に自慢したりのろけたりするわけじゃないけど)、かなりこの大樹のイメージに近い気がするけど(いや実際に体が大きいからってだけじゃなくてね・笑)、自分自身はどうかな~。けっこうちまちましたところがあるから、これから意識して、こういう大樹のような母親になれるように努力しなきゃいけないかも。
最後の、親を質問攻めにする子どもへの対応の仕方を詩にしているところも、ユーモラスでさらっとしていて、とても好き。
私自身も、「なんで? なんで?」と、親や周囲の大人を質問攻めにして困らせる子どもだったらしいから、自分の子どもについても覚悟しとかないと…(笑)。大賢人ソロモン王かニュートン博士を演じ切るっていうのも並大抵じゃなさそうだけど、それくらいの演技力と度量と遊び心が大事だってことは、覚えておこう(汗)。
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この詩を見つけたのは、鎌倉の叔母のはからいで、2ヶ月前から航空便で送り届けられるようになった『婦人之友』という雑誌。文化、環境、政治、家庭生活、育児…などなど、守備範囲が広くてなかなか読み応えのある雑誌です。
恭子おばちゃん、どうもありがとうございます。
楽しんで読ませてもらってます♪