杉原 桂@多摩ガーデンクリニック小児科ブログ

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インフルエンザ迅速診断がくせもの

2007-12-06 | クリニック通信
インフルエンザの診断が当院でも増えてきました.
みなさん、手荒い、うがいをしっかりしましょうね(^^ゞ

ところで、インフルエンザの診断は医師として腕の見せ所ではないかとおもうのですが、最近増えてきた、迅速診断、この迅速診断がくせものです.

府中市の崎山 弘先生の講義からのパクリですが...

5歳女児、昨日から39度の発熱.
インフルエンザ迅速診断を実施.検査結果は陽性
検査キットの感度は95%、特異度95%
さて、この女の子がインフルエンザである確率は?
1)ほぼ確実95%
2)まあまあ確実60%
3)きっと40%
4)まずちがう5%
5)わからない.

詳しい説明は省きますが..
陽性的中率は、事前確率、すなわち周囲の流行状況に左右されます.

したがってあなたの周囲で

患者なし0%     陽性的中率0%、陰性的中率100%
10%がインフルエンザ、陽性的中率68%、陰性的中率99%
30%がインフルエンザ、陽性的中率90%、陰性的中率98%
50%がインフルエンザ、陽性的中率95%、陰性的中率95%
70%がインフルエンザ、陽性的中率99%、陰性的中率90%
90%がインフルエンザ、陽性的中率99%、陰性的中率68%
100%がインフルエンザ、陽性的中率100%、陰性的中率0%

となります.

したがって、周囲の流行もないのに行う迅速診断と周囲に流行しているときの迅速診断では全く意味が異なるのですね.

しかも、きっとインフルエンザだからもう一度検査しましょう、という輩がおります.

これが偽陽性の大量生産を産み出します.

だって、検査やればやるほど、偽陽性がでる確率はあがるにきまっているじゃないですか.


こうした迅速検査に頼ることになった医師はどんどん自分から診断力を奪い、患者とのコミュニケーション力を捨てているように見えます.

たとえば、どうみてもインフルエンザなのに検査したら陰性にでてしまった...
こういう場合どうするのか.周囲に流行があっても100人に1人は本当はインフルエンザなのに陰性とでてしまうわけです.

道具は道具でしかありません.ふりまわされずに上手に利用しましょう.

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2 コメント

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Unknown (林 啓一)
2007-12-06 16:20:03
>どうみてもインフルエンザなのに検査したら陰性
>流行があっても100人に1人は本当はインフルエンザなのに陰性とでてしまう
ので検査を繰り返せば本当は陽性と確認できるのでは?

あと特異度は高くて98%とか99%とかだと思います。

Unknown (水無月すずめ)
2007-12-06 23:03:21
一般人ですけど...
ちょっと目からウロコです、

っということは、検査しても関係ないってことなんでしょうか?

でも、周りの状況の判断っていうのも、一般人の私達は数を数えてるわけじゃないので、「多い気がする」っていう程度かも。家族がインフルエンザっていうのも、もし、おっしゃるようなことがあれば、インフルエンザなのかどうか、さだかじゃ無いんですし。

だとすると、私たちの自己申告って、とってもアバウト。インフルエンザってコトにして欲しい場合は、「多い気がする」っていいますし、そうじゃない方がいいって時には、「いないと思う」って言っちゃいます。

それって。。。(>_<)

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