青空Green倶楽部

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パレスチナ問題と解決策

2023-10-26 20:10:52 | コラム



  悲惨なパレスチナ紛争、戦争がまた勃発しています。「世界で最も解決の難しい紛争」と言われています。10月27日現在、イスラエルの非人道的な空爆で多数の民間人の犠牲者がでています。イスラエルのハマス壊滅作戦の地上侵攻も目前に迫っています。                

 10月25日にパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスのアロウリ氏ヒズボラのナスララ氏イスラム聖戦のナハラ氏(写真)が「ガザとパレスチナにおけるレジスタンス(抵抗運動)の真の勝利を実現し残忍な侵略阻止するために国際的な立場と抵抗の枢軸(すうじく)の当事者が何ができるかについて評価が行われた」とベイルート、ロイター通信が伝えています。
                                                
*パレスチナ紛争の簡略的経緯 
 パレスチナ問題の発端は2000年以上前です。パレスチナの地にユダヤ人とアラブ人が共存していた。しかしユダヤ人国家はローマ帝国に滅ぼされ多くのユダヤ人は流浪の民になった。一方のイスラム教徒のアラブ人はパレスチナの地に暮らし続けていた。

 20世紀の第一次世界大戦中に連合国側のイギリスがユダヤ人に戦費の依頼をし連合国側の味方になればパレスチナの地にユダヤ人の国家建設を支持すると約束をした。「バルフォア宣言」です。ユダヤ人にとって先祖が暮らしていた土地に戻るのは悲願で国家建設のシオニズム運動が盛り上がった。イギリスは国連に働きかけパレスチナの地をユダヤ人のために分割させ1948年にイスラエルが建国された。

 イギリスはもう一方のオスマン帝国の支配下に置かれていたアラブ人に対してもパレスチナの地にアラブ人国家建設の協定を締結していた。「フサインマクマホン協定」です。このイギリスの二枚舌外交が現在のパレスチナ問題の原因になったのです。

 1920年頃からユダヤ人はパルフォア宣言にそってパレスチナに入植を開始し第二次世界大戦のナチスドイツによる大量虐殺(ホロコースト)が始まるとさらに多くのユダヤ人がパレスチナの地に移住した。当然パレスチナの地で暮らしていたアラブ人はイスラエルの建国に猛反発をし各地で武力衝突やテロ活動が起きた。

 周辺のアラブ諸国も同調しエジプト、シリア、ヨルダン、レバノン、イラクのアラブ連盟が戦火を交え中東戦争が勃発した。中東戦争は1948年から1973年まで4回行われた。いずれもイスラエルが勝利しアラブ連盟は軍備でイスラエルに及ばなかった。

 イスラエルは戦争に勝つたびに領土を拡大した。アラブ人(以下パレスチナ人)の領土は縮小され、土地を失ったパレスチナ人はどんどん追いつめられ難民になった。パレスチナの地の大半はイスラエルの領土となった。パレスチナ人の居住区域はヨルダン川西岸とガザ地区(双方でパレスチナ自治区を形成)だけになった。

 ヨルダン川西岸は三重県程度でガザ地区は東京23区の6割程度の面積です。どちらもイスラエルが占領した土地であり分離壁で囲まれている。この2ヵ所の土地に収容されるような形になっています。国連では何度かイスラエルの撤退を求める決議を採択したが実行に移される事はなかった。

 これに対してパレスチナ人は「インティファ-ダ」と呼ばれる民衆蜂起を1987年と2000に行い双方に多数の犠牲者を出した。2000年から何度か和平交渉はされたが2014年を最後に和平交渉はストップしてしまった。和平合意の妨げになっているのが東エルサレムの扱いです。パレスチナが「国家誕生時の首都」としているのに対してイスラエルも「永遠の不可分の首都」として譲らない事です。

 アラブ諸国はエジプトとヨルダン以外は「パレスチナ問題の解決なくしてイスラエルとの国交樹立なし」の立場をとってきたが2020年8月にUAEがイスラエルとの国交正常化に合意、9月にバーレーン、12月にモッロコがそれに追随した。パレスチナは「アラブの大義より短絡的な実利をとった裏切り」と非難しているが次第に孤立しています。

 パレスチナ自体も2004年のアラファトの死後穏健派のファタハと急進派ハマスに分裂し現在はヨルダン川西岸をファタハがガザ地区をハマスが支配している状態です。

 今後の戦火で注目するのはレバノンのイスラム教シーア派ヒズボラが本格的な交戦を視野にいれた準備を進めている事です。「10万人の訓練された戦闘員」と兵器は全てイランから届いていると公言しています。パレスチナ系の武装組織との共闘態勢を取ると述べています。米シンクタンクは「世界で最も重武装の非国家勢力」と分析しています。

 パレスチナ問題の解決策
 パレスチナ問題の大きな原因はイギリスの2枚舌外交、ユダヤ人、アラブ人の不可侵の居住域と国境を等分に設定しなかった事にある。ユダヤ教とイスラム教の宗教対立もある。パレスチナ、イスラエルの2国家を認める。イスラエルは戦勝国でパレスチナ人の土地を奪うやガザのように塀をつくるのではなく入植地を返却する。ハマスのようなテロリストを生まない政策が必要です。国際的に認識された国境に基いて平和共存することです。

 イスラエル、パレスチナの安全保障を確保するための合意が必要です。国境管理、武装解除、テロ防止などです。パレスチナ人がしいたげられハマスのようなテロ行為が再発するのです。パレスチナ住民、難民の私権保護、権利を尊重する。人権、土地所有権、居住権が保障されることです。
 
 エルサレムの両国家の首都としての地位は重要で宗教的場所へのアクセスの合意が必要です。ヨルダン川西岸とガザ地区のように飛び地のようなパレスチナ国家ではなく国家としての居住域をイスラエルが譲歩すべきです。交渉と妥協するには国際的協力が不可欠です。両者の権利と利益を尊重し持続可能な平和構築をする努力をすることです。

写真はベイルート、ロイター転載です


 

 

 

 
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1 コメント

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パレスチナ問題 (原村)
2023-10-30 22:53:47
こんばんは。
大変短文ですが、良くまとまっていて理解しやすく勉強になりました。

ユダヤ人はパレスチナに居住していたユダヤ教を信じるアラブ人(現在はアラブ人とは言えないかもしれませんが)。ユダヤ教を信じる人たちの集まりです。
パレスチナ人はパレスチナに居住しているアラブ人。信じる現在の宗教はイスラム教です。
元は同じ民族が信じる宗教の違いから骨肉の争いをしています。ガザ地区にあっては塀に囲まれた西ベルリンの比ではありません。イスラエル地区に出稼ぎに行かねば生活できない牢獄で人権も命の保証もありません。
アメリカはイスラエルを見捨てる事は決してないと信じています。それ程アメリカ合衆国の内部と一体化しています。ソ連やドイツ・東欧諸国からの移民でアラブ人の世界とは異質のものになってしまったと思います。2000年の病根を造ったイギリスは罪作りな国家だと感じます。原爆も持つし使用する覚悟も言葉にしなくても保持しているイスラエルです。パレスチナ人はいずれクルド人と同じ運命をたどるか、アラブ諸国に吸収させるしか道は無いと思います。即ち、ガザ地区もヨルダン川西岸地区も消滅してイスラエルになる筈です。

個人的には自分はこのように考えています。
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