切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

大竜寺~州見山宇賀魂神社 京都府木津川市・・・小さな神社に込められたものとは

2020-10-02 22:33:21 | 撮影


大竜寺



 JR木津駅から西へ1㎞あまり行ったところにある。このお寺についての情報等は一切見つけることができなかった。言い方としては失礼ながら、よくある浄土宗のお寺で、本尊が阿弥陀如来というものになる。
 門を入ってすぐに鐘楼があり青銅製の割と大きな梵鐘がある。境内は緑に覆われてなかなかいい感じだ。石造地蔵があり本堂もごく一般的なもので、いわばお寺らしいお寺。このようなお寺というのは、お寺独自の何か特徴といったものが、少なくとも外部から見る限りはさほど無いように思える。
  
 以前京都市内のおやはりごく普通の浄土宗のお寺を訪ねた時に、たまたまご住職さんが来られて少しお話をした。その時に京都だけでも浄土宗のお寺が500はありまっせ、と言われていた。それ聞いて思わずへぇ、と声を上げたものだ。これらのお寺を全部回るなんてやはりちょっと考えものかななどと思った。
 一般的には無名なお寺であっても、存在する地域においては檀家さんも含めて大事な役割を果たしているんだろう。そういった意味では毎年毎年行われる様々な行事というものが、お寺と地域、そして地域の人々同士のつながりというものが大切にされているという風に思える。
    


州見山宇賀魂神社



 JR木津駅から奈良駅へ至る奈良線沿いに2㎞程行ったところに州見山宇賀魂神社がある。カーナビには載っていないので、地形の特徴から見当をつけてナビを設定すると、うまい具合に現地へぴったり到着。この場所は住所としては、木津川市州見台となる。元々は古くから農耕作が行われていた地域であり、古くからの細い道が交錯しているような場所でだ。今も戸建ての家がそれらの街道に沿って建つ。
 しかし木津川市の再開発の計画の中でこの辺り一帯は大幅に地形が変えられ、一種のニュータウンのように広大な土地に、大きめの家とマンションなどが建ち並ぶ近代的な雰囲気の衛星都市の風景になってしまった。果たしてこれで良かったのかどうか疑問なところだが、何分にもこの辺りの地域一帯は古代からの様々な遺跡が見つかっているような場所であり、恭仁京や平城京にも近い。かつては重要な位置にあった場所でもある。到着した州見山宇賀魂神社は一見大きな古墳かと思われるような小山のてっぺんにある。しかしどうも開発から免れた地域と再開発された地域のちょうど境目にあって、この古墳のような小山もおそらく人工的な児童公園の一部なんだろう。
 その上に神社があるというのは一体どういうことなんだろうか。再開発される前にここに州見山宇賀魂神社が昔からあって、再開発に伴って人工小山の上に再配置されたもんだろうか。あるいは再開発地域の移転対象場所にあったものをこちらへ移したんだろうか。その辺りは神社の由緒書きその他は全くなく、よくわからない。従って神社の名前から推測するしかない。
  
 州見山宇賀魂神社とあるが、「うがたま」というのは日本書紀や古事記に出てくる神の名前であり、穀物の、後には商売繁盛の神も加えたものとされている。漢字表記は日本書紀と古事記でも異なり、また他の古文書などにおいても様々な表記があるが、発音自体はマガタマとなる。
 この神は稲荷神としても信仰されており、その代表格は京都の伏見稲荷大社となる。ここの州見山宇賀魂神社でも、小さいながら狐の像が二体座していた。小山の上にあるだけに境内そのものは、この小山そのものとなるんだろうが、てっぺんに小さな祠がぽつんとあって、寂しいと言えば寂しい。小山の脇に末社か何かわからないが、これも小さな祠があった。
 このように考えてみるとやはり、記紀に登場する神の名前がそのまま神社の名前になっており、そこそこの歴史があるのではないかと思われる。祭神は稲倉魂神であり、これも「うかのたまのかみ」と言う。ご利益は同じだ。
 鳥居の脇に小さな石柱があって、神社の名前が彫られていたが、そんなに古いものではないような感じだった。まあ案外新しいものなのかなという気もする。古そうなものは大きな石をくり抜いた手水舎の名残のようなものが置かれていて、まあそれでも江戸時代かな、という気がしないでもない。まあこれ以上はさっぱり分からない。もちろんこの神社そのものの情報も全く見つけることができなかった

   
コメント
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