きらせん

仙台のきらめき










東北大学公共政策大学院准教授
佐分利 応貴

 「時効(1)」

2007-08-24 22:34:02 | Weblog

  毎年8月24日になると、大学2年の夏を思い出す。
  当時バイクの免許を取るために教習所に毎日通っていたが、それは想いを寄せていた阪大Sさんの8月24日の誕生日に、バイクで花を届けようとしたからだった。

  教習コースに入らず、毎日朝イチに教習所で自分でバイクを借りて練習し、そのまま試験を受けて、落ちて、午後のバイトにいく、ということを繰り返して、8月22日にはスラロームも一本橋もほぼ完璧にこなせるように仕上がった。先輩からは「不合格の印がシートの表いっぱいにならないと合格しないから」と言われていたので、そういうものかと印を稼ぐ。
  だが、不合格の印がシートの裏に到達しても、22日の試験は不合格。おかしいと思いつつ、まだ2日あると思い、23日にも試験にチャレンジし、完璧にコースをまわったはずなのに、また不合格。どうして落ちたのか納得がいかなかったが、「これは8月24日付けの免許証をもらえるということだ。それも悪くない。」と勝手に思いこみ、24日に万全の体制で試験に臨んだ。


 … 結果はまたも不合格。
  さすがにキレて、ヘルメットを床に叩きつけ「どうして不合格なんだ」と試験官に詰め寄ったところ、「ブレーキ制動の前の直線のスピードが出てないから」だとのこと。しまった。丁寧に運転するあまり直線でスピードが十分上がっていなかったのだ。

  こうして、結局Sさんの誕生日にバイクの免許はとれなかった。
  もうバイクはバイク屋に買って置いてあるのに。

(つづく)