でも、なぜコンクリート業界で講演会?
最初電話があった時には、コンクリート=ドラム缶に入れて海に沈めてやろうか、的な固定観念があるため、「ヤバイ、遂にあの話がばれたか」「いや、あっちの話かも」と痛くもない腹を自分でさわってみたが、東北経済産業局の情報誌で連載中の「サルガク講座」を読んでのご指名とのこと。ありがとーござーっす。世の中、何がどうつながってくるかわからない。
で、生コンクリート業界。県庁の隣にある事務局に行って取材してみると、なるほど、やはり厳しい状況。公共投資の削減などで、生コンの使用量は激減(ピーク時の平成2年から半減)している。価格も、仙台では一時の3割減まできている。
どうしたらいいのか。やはり、
1.問題の明確化(何が問題なのか、価格低下なのか、需要減なのか、後継者問題なのか、アウトサイダー問題なのか)
2.要因分析
3.ベスト・プラクティスの収集と、要因への対策
という王道でいくしかない。そのためのキーワードは「コミュニケーション」である。
生コンクリート業界は、構造的に利益がでない。理由は、ポーターの five force 理論で説明ができる。
供給業者との力関係 → 負け (セメント業界は大企業でかつ寡占)
顧客との力関係 → 負け (建設業者の多くは大企業かつ買い手)
新規参入業者 → 強い (アウトサイダーといわれる非組合員)
代替製品 → ?
既存企業の敵対関係 → ?
実は、生コンの工業組合は、中小企業団体組織法に基づき、カルテルを行うことができる。なので、業界内での共通の問題意識が形成されれば、少なくとも上記の既存企業の敵対関係は解消される。ただし、カルテルで生き延びるのも先がないので、当然設備の集約(米の減反政策のようなもの)・合理化が必要になるが。
地域は地域で課題は山盛りだが、個別の産業界に目を向ければ、そこにも課題は山積している。それぞれの政策担当者の問題解決能力が問われている。