きらせん

仙台のきらめき










東北大学公共政策大学院准教授
佐分利 応貴

 「生コン講演会」

2008-02-26 22:59:56 | Weblog
  全国生コンクリート工業組合連合会東北地区本部のセミナーにて、東北地域活性化についての講演会。

  
  でも、なぜコンクリート業界で講演会?
  最初電話があった時には、コンクリート=ドラム缶に入れて海に沈めてやろうか、的な固定観念があるため、「ヤバイ、遂にあの話がばれたか」「いや、あっちの話かも」と痛くもない腹を自分でさわってみたが、東北経済産業局の情報誌で連載中の「サルガク講座」を読んでのご指名とのこと。ありがとーござーっす。世の中、何がどうつながってくるかわからない。

  で、生コンクリート業界。県庁の隣にある事務局に行って取材してみると、なるほど、やはり厳しい状況。公共投資の削減などで、生コンの使用量は激減(ピーク時の平成2年から半減)している。価格も、仙台では一時の3割減まできている。
  どうしたらいいのか。やはり、
   1.問題の明確化(何が問題なのか、価格低下なのか、需要減なのか、後継者問題なのか、アウトサイダー問題なのか)
  2.要因分析
  3.ベスト・プラクティスの収集と、要因への対策
  という王道でいくしかない。そのためのキーワードは「コミュニケーション」である。

  生コンクリート業界は、構造的に利益がでない。理由は、ポーターの five force 理論で説明ができる。
  5forces.gif
  供給業者との力関係 → 負け (セメント業界は大企業でかつ寡占)
  顧客との力関係    → 負け (建設業者の多くは大企業かつ買い手)
  新規参入業者     → 強い (アウトサイダーといわれる非組合員)
  代替製品        → ?
  既存企業の敵対関係  → ? 

  実は、生コンの工業組合は、中小企業団体組織法に基づき、カルテルを行うことができる。なので、業界内での共通の問題意識が形成されれば、少なくとも上記の既存企業の敵対関係は解消される。ただし、カルテルで生き延びるのも先がないので、当然設備の集約(米の減反政策のようなもの)・合理化が必要になるが。

  地域は地域で課題は山盛りだが、個別の産業界に目を向ければ、そこにも課題は山積している。それぞれの政策担当者の問題解決能力が問われている。

 「打ち上げ」

2008-02-25 23:49:25 | Weblog
  10時、社会人学生リサーチペーパー(卒論)の口頭試問。
  福島県から毎日電車で通ってくる、相馬市役所のN君。
  まさに将来の相馬市を担う人材である。

  東北地方のすごいところは、他に大きな産業がないので(?)、自治体職員に優秀な人間がすごく多いこと。地域の best and brightest ってことですかね。
  となると、こちらも手加減をするわけにはいかない。真剣勝負。

  「固定資産税の増税が必要だとしているが、増税の根拠は?」
  「財政状況が悪化するというが、相馬市の発表では財政は回復するとなっているではないか。」
  「誰がこの案を採用すると想定して書いているのか。何の反応も考えず、単に“こうすべきだ”というのであれば、普通の学生と変わらない。社会人学生なら、増税案にどんな反発があるのか、首長はどう考えるか、議会はどう反応するか、ねらい打ちされる資産家からはどんな反発があるか、想像力を発揮しなくては。」

  ってな感じで質疑が進む。(注:やりとりはあくまでもイメージです。)
  「なぜ」「なぜ」とジャブを打ってコーナーに追い詰め、苦し紛れに答えた事実を逆手にとって体落とし。お疲れ様でした。


  午後はワークショップⅠの反省会。
  みんな頑張った。泳ぎ方も知らないで海に落とされ、よく泳いだ。
  「情熱」と「誠意」である程度の成果も出た。
  だが … 結果的には“理論と実践”の融合にはほど遠い指導内容だった。
  T先生からも、厳しいご指摘が。
  (またまたまたまたまたおっしゃるとおりの内容。)

  当初は、教えたいことが山ほどあった。
  経済学(マクロ・ミクロの基礎)、経営学(MBA)、社会学(特にフィールドワーク手法やグラウンデッド・セオリー、数理モデル)、文化人類学(特に社会におけるソフト・パワーの分析)、統計学(数字のトリックや仮説検定の基礎)、心理学(特に社会心理学)、行政学(行政組織論)、戦略論、社会医学 …
  人の動かし方、組織の動かし方、社会の動かし方、
  より実践的には、問題発見手法、情報収集手法、ロジック・ツリーやPDM、仮説検定モデル、新QC7つ道具、制度設計手法(法律の書き方とかも)、協調的交渉学、広報理論、empowerment理論、モニタリング手法などなど … 
  だが、教えられたことは予定の10%程度。
  最終成果も、当初想定から随分と遠い着地点だった。
  (最初は、複数の自治体をカウンターパートに、公共サービスの比較を行いレーダーチャートを作成する予定だった。それで派遣社員の企業適合モデルとのアナロジーで、各地域における比較優位を示すつもりだった。)

  もう1回ワークショップをやらせてもらえば、今回の60点を80点にする自信はある。やはり誤差が生じた最大の要因は、「学生がこんなに忙しいとは思わなかった」ことに尽きる。もっと熱血教師でガンガンやれるものだと思っていたのだ。(前任者は、終わらなければ朝の4時までやったらしいし。) だが実際は、公務員試験の勉強もあり、学生を過度に拘束できなかった。構造的な問題でもあるが。


  加美町からワークショップメンバーにお米の差し入れが届く。家が農家でもあるI商工観光課長から。 
  
  玄米だ。どこで精米する?

  
  こんな桐箱入りの吟醸酒も。I農林課長から頂いたらしい。

  
  ともあれ、1年間お疲れさま。
  今回の反省も含め、来年の1年生にいろいろアドバイスしておくれ。
  まずは就活。健闘を祈る。   

 「第一回 仙台市防犯ボランティア交流会」

2008-02-24 22:15:35 | Weblog

  経産ゼミの「安全安心まちづくりチーム」による、防犯ボランティアの交流会。
  学生から、場所は県民会館だと言われたのでそちらに行くと工事中。
  … 仙台市民会館かい。違うじゃんか、もう。

  

  集まったのは仙台市内の防犯ボランティア団体。
   旭丘小学校、通町小学校、八幡小学校、ガーディアン・エンジェルスの方々(立町小学校、東二番町小学校、藤崎の方は都合が合わず欠席)。河北新報から3名の記者さんたちが参加。学生の中には、暴風で電車が止まってこれなくなった人も。
  
  
   小学校ごとに取組が微妙に違っていて面白い。たっくんの通っている八幡小学校からはT教頭先生もご参加いただいた(私服もかっこいい)。

  旭丘小学校(台原森林公園のとなり)では、防犯ボランティアは46人。うち女性16人、平均年齢73歳(!)、最高83歳(!!)。最初は有志10数人が、自発的にパトロールを始めたが、ブルゾンや腕章もなく、組織や名称を持たなかったため、自然消滅。その後も児童に関わる事件が多発したため、学校・PTAからの要望で、2004年7月に町内会役員を中心に発足したそうだ。
  
  今では児童・生徒と親しく挨拶を交わすようになり、クリスマスやバレンタインには、チョコとカードをもらったりするようになったそうだ。高齢のため、隊員のうち常に2~3人が入院してたりするそうだが、これからも頑張っていただたきたい。
  成功の秘訣は、
  「出来る人が、出来るときに、出来ることをする」
  「かわら版などで、頑張っている人を紹介してあげる」
  ことだそうな。
  例えば、同じように通学路で立つにしても、みんな子供がたくさん通るところに立ちたがる。みんな挨拶してくれるから。でも、子供があまり通らないところにも絶たなくてはならない。そういうところで頑張ってくれる人を、積極的にかわら版で取り上げて、みんなに見てもらう。empowernment の王道である。
  代表の方曰く「防犯とは、目の数である。
  
  通勤時に一般道が混雑して、車が抜け道として通学路に入ってきて危ない。これを防ぐ看板を町内会費で負担したり、ブルゾン・帽子・腕章などは仙台市のNPO補助金(最高年20万円)をもらったり。この制度は他の学校は知らなかったので参考になった。4月の市政だよりに募集案内があるのでは、とのことだった。要チェック。こういうお金は、「きっかけづくり」「活動維持の弾み」になり、非常に有効である。

  ガーディアン・エンジェルスは、米国で1979年に13人の若者がニューヨークの地下鉄のパトロールを始め設立された犯罪防止NPO。その後、ストリートでの犯罪の防止に貢献し、麻薬撲滅キャンペーンで全米に拡大された。日本でも1996年に設立。会員は300人で、年間活動費は6,000万円らしい。(認定NPO法人で、企業からの寄付は寄付金控除となる。)
  仙台でも、国分町での防犯活動、ビラはがし、落書き消しなど。
  http://www.guardianangels.or.jp/
  「不審者は外見ではわからない」
  「警察に通報しても、来るまでに15分かかる。その間、犯罪者をつかまえたら確保しておかなければならない。そういう訓練も受けている。」
  なるほどぉ~
  
    各団体の取組を紹介いただいたあと、フリーディスカッション。
  
  「お金」「人」「情報」「目標」について、さまざまな意見が出された。
  八幡小学校では3K(気軽に、気長に、危険がない)で取り組んでいくとのこと。

  やはり最大の問題は“危機感の欠如”と“当事者意識の欠如”である。
  「体感治安」という言葉があるそうで、いろいろな報道があって、人々の治安に対する関心は高まっている。だからよけいに治安が悪化している感じを受けるが、実際の犯罪率はそんなに変わっていないのだそうだ。
  体感治安が悪化することで、危機感は高まっているだろうが、当事者意識はどうか。当事者意識が高まっても、どうしたらいいかわからないとダメ。きっかけがないとダメ。(法則どおり)


  参加した皆さんからは、「面白かった」「またやってほしい」という声をいただいた。
  学生リーダーは、「ポラリス仙台という防犯関係の団体があるので、第2回をそこと共催して、今度は今回来られなかったところも呼んで、第3回以降はポラリス仙台でやっていただく、という方向で調整したい」とのこと。ほぉ、ちゃんと sustainability (継続性)についても考えおるではないか。ご立派。
 


 「戦い済んで」

2008-02-23 22:00:07 | Weblog

  久しぶりのまるまる休日。
  午前中は子供達と小学校の運動場へ。

  午後は斎藤さんの予想どおり急に天気が崩れ、暴風に。
  最大風速は仙台でも秒速20mを超えたらしい。
  … ってことは時速72kmかい。看板飛んできたら死ぬなぁ。
  ベランダでは、灯油のポリタンがはね回ってるし。


  昨日の河北新報(宮城面トップ)に、提言の記事が出ていた。
  門田さん、ありがとうござーっす。
  
  この新聞を見て、大学院にも何件か問い合わせが来たらしい。
  リーダーの青木君(写真左)は、この記事を持って就職活動をするそうな。
  よかったよかった。

  だが、これはワークショップの終わりであっても、加美町活性化プロジェクトの終わりではない。加美町の活性化は、まさにこれから始まるのである。今回のワークショップでは、行政に火をつけることはできたが、この火はまだ住民側に届いていない。それどころか、役場の若手にもまだ届いていない。
  下野目地区の区長さんは「町にお願いしてもだめだから」と、地域で自主的にバス停付近の歩道の除雪を始めたそうだ。こうした種火を消さないように、周りが気づき、期待し、賞賛し、見守る必要がある。マラソンだって、沿道の声援があるから走っていられるのだ。

  地域活性化の燃焼法則
  ①活動のきっかけを与える(火種)
  ②具体的な成果を出す(燃えるモノ)
  ③周りが応援する(酸素)

  地域の課題解決に取り組む人をリストアップし、毎年成果発表会をし、優秀団体を表彰する。そうした活動を町全体で少しずつ広げていけば、必ず100年後には日本一の町になる。QCサークルが職場に導入され、広がる過程と同じ。QCサークルが広がって、日本製品の品質は世界一になった。ということは、世界一の町になるのも不可能ではない。

  学生達の熱い戦いは終わった。
  これからは教官の出番である。
  権限も、予算もない。あるのは情熱と誠意のみ。
  果たして「至誠天に通ず」るだろうか?


 


 「法学と心理学」

2008-02-22 23:57:24 | Weblog

  午後は県庁地域振興課へお礼参り。
  Gさんからは「加美町の課題は何ですか? それに対応した提言なんですか? これではどこの町にも言える提言ではないか」との指摘あり。
  ん~ さすがGさん。一瞥しただけでポイントを見抜いている。

  「もっと思い切った提言でもよかった。住んでない人間が無責任なことは言えないと言い出すと、何も言えなくなってしまう。」
  これもおっしゃるとおり。

  ま、逆に言えば汎用性ある薬。対症療法というか、加美町の一つの病気を取り上げてどうこういうのではなく、住民活動のサポート=「地域住民の問題解決能力の向上」は、根源的な、漢方薬的な処方箋なので。

  昨日、別件で加美町にいたMさんからは、「農家の手取りが1俵1万円を切って、教育費や給食費が払えなくなっているところもある。農家の家計はかなり深刻。」とのお話も。米農家の台所は年々悪化し、加美の域内経済にボディーブローのように効いてきている。
  となると、とても住民活動の余裕などない? いや、住民活動でお金を稼ぐことを考えるべき。コミュニティビジネスやソーシャルビジネスなど。経産省にも、ちょうどパブリックコメントを求めているソーシャルビジネス報告書がある。
  http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=595208004&OBJCD=&GROUP

  
  15時から、名古屋大学菅原先生による特別事業「民事訴訟と心理学」の講義に出席。
  これは証言の正確性(知覚→保持→抽出の各段階でどんどん記憶は変容していく)における心理学的分析、紛争解決における心理学の効果等を盛り込んだ、いわば法学と心理学の融合的学術分野である。
  
  例 : 正確な事実認定 = 認知心理学、生理心理学の応用
       紛争解決 = 社会心理学、臨床心理学の応用     のように

  
  例えば、この絵も、人の顔の絵を見た後ではメガネをかけた人に見え、動物の絵を見た後ではねずみに見える。有名な「婦人と老婆」と同じ。

  3001.jpg

  紛争解決については、裁判外紛争解決手続(ADR:Alternative Dispute Resolution)があるが、こうした分野でもいかにしこりなく双方を納得させるかには心理学的手法が必要になってくるだろう。

  菅原先生は、米国でこうした法学と心理学の融合分野を学び、司法研修所でも講義をされたという。時代の流れを感じる。
  面白いのは、菅原先生がこの分野を研究したきっかけは、大学博士課程時代の指導教官だった林家教授が、学生時代に読んだ「現代心理学」(千輪浩:著)に非常に感銘を受け、その分野を研究したいと思っていたができず、たまたま学生の菅原氏に「やってみたら」と言ったからだという話。
  講座制の魅力というか、教官が大所高所から欠けている研究分野を見つけ、学生にやらせるというスタイル。学生には自由がなく、いい迷惑だが、結果的に学問分野を広げる効果があるということだ。工学系の世界ではよくあるが、文系でもそうなのか。研究者は、何でも自分の好きな分野をやればいいわけではなく、社会のニーズのある分野を研究すべきだという良い事例といえる。

  20世紀までは、学問の歴史は「細分化」の歴史だった。
  21世紀は、「融合の時代」と言われるだろう。
  菅原先生は、法学と心理学の融合で。
  きらせんは、社会学と医学の融合で。
  学問と世界への「お役立ち競争」、負けてはいられない。 
  


 「アグリ・ドリーム」

2008-02-22 22:59:44 | Weblog

  農政ワークショップ大詰め。
  残る会議は2回。25日は自分は学生の論文審査試験と重なっているので、今日が最後の農政ワークショップとなる。

  プレゼンの全体の流れを整理。
  「最後にキャッチフレーズ」がほしいという話になり、アイディアを募集。
  でたのは … 

  富国農政(明治時代か?)
  農政入魂(体育会系か?)
  脱バラマキ宣言(田中元長野県知事か?)
  おいしいお米をいつまでも(加山雄三か?)
  美しい農業へ(安倍対策か?)
  農政民営化 (小泉対策か?)

  人気があったベスト3は …

  「アグリ・ドリーム」
   JRAか? でもいいかも。農家の応援するアグリ・ドリームが天皇賞で勝つ。
   沸き上がる歓声… 農家の夢をのせて

  「米の力を信じようぜ日本! ~ 農政レボリューション2008
   米の力が、米国の力だったら … ちょっとブラック 

  「農政改革2008 ~ そして伝説へ」
   伝説って … 終わっちゃうじゃん


 「報告会・番外編」

2008-02-21 23:54:17 | Weblog
  さて、その後の当日の動き。

  
  今回窓口となって下さった農林課の皆さん、門脇さん、加藤さんらと、「なんぶ亭」にて昼食会。
  農林課の猪股課長には、行き先行く先で本当にお世話になった。今野補佐には実務面でのアドバイスをいただいた。そして、学生の「心のふるさと」である伊藤補佐。伊藤さんがいなかったら、学生のモチベーションは持続できなかったに違いない。
  
  午後は2台に分かれ、各方面への挨拶まわり。
  1台は「なんぶ亭」の女将さん、みやざき特産市などへ。
  門脇さんからは、その後中新田名産のネギが届いた。ごちそうさまです。

  こちらは小野田へ。JA青年部長の佐藤圭介氏、やくらい振興公社の早坂専務らにご挨拶。
  途中、やくらい土産(どさん)センターで野菜を購入。
  
  TBC「ウォッチン!みやぎ」の斎藤さんのサインを発見。斎藤さんは、昨年3月だけでなく、2003年にも来られているらしい。

  
  えごまアイス。ちなみに「ごま」アイスもある。えごまもおいしいが、初心者には「わさび」がおすすめ。

  
  美しい薬莱山の夕暮れ。

  加美商工会事務局、商工会青年部高橋部長らにもご挨拶。
  その後6時から町長以下町幹部の方々との懇親会。(実費負担)
  
  かなり皆飲んだらしい。次々といろんな事実が明らかに。

 ・ いつも厳しいコメントをする某課長は、実はイベント好き。飲み会も大好き。
 ・ 某課長は、空手四段で瓦を10枚割ったことがある。(手がすごい)
 ・ その課長は農家をやっていて、秋にはお米をリーダーのところに送ってくれる。
 ・ その課長は8万円もする炊飯器でお米を炊いている。その炊飯器で炊くと、ごはんがむちゃくちゃ旨いらしい。ちなみにメーカーはこちら。
  http://www.e-life-sanyo.com/highlife/index.php
 ・ 加美町を調べるうちに「地元の冴えない町もひょっとしたら可能性があるかもしれない」と思ったらしい。なぜ??
 ・ 学生OとFが、某課長に飲まされ、ツブれたらしい。
 ・ 本気で加美町に就職しようかと悩んでいる学生がいるらしい。
 ・ きらせんはストレスで体重が過去最高を記録したらしい。

  … いろいろ他にもあるが、記憶をなくしたようで。

 「かみまちワークショップ・政策提言報告会」

2008-02-21 23:24:51 | Weblog

  公共政策ワークショップB(地域活性化ワークショップ)の最終報告会。
  1年間の総決算である。

  雪のちらつく中、朝7時半に片平キャンパス前集合。
  気合いを入れて、加美町に出発。

  途中、加美町のセブンイレブンにご挨拶をし(野菜朝市への協力依頼)、
  9時15分、加美町役場へ到着。
  
  カミのご加護か、心配されていた吹雪もなく、快晴。

  10時、開会。
  会議には、佐藤町長以下、町の幹部の方々、加美農業高校の遠藤農場長、浅野先生、農村生活研究グループの門脇さん、産直野菜の農事法人「さんちゃん会」代表の加藤さん、グリーンツーリズム推進会議の後藤さん、マスコミの方々。宮城県庁からは地域振興課の佐藤さんが参加してくださった。

  佐藤町長からは、「最初はどこまでやってくれるかと半信半疑だったが、若い皆さんの感覚で加美町を切っていただいて、大変参考になった。ここで終わるということなく、これからも末永くおつきあいしていただきたい。」旨のご挨拶。

  続いてリーダーの青木君から報告書の手交。
  
  
  きらせんからもご挨拶。まずは学生のつくったビデオを上映。
  きらせんに気を遣って(??)か、BGMの最後は小田和正の『キラキラ』。

  「たった6ヶ月で何がわかるか、という声もあるかもしれない。だが、学生には学生ならではの気づきがある。東京に何年も住んでいて、東京タワーに登ったことがない人だっている。」
  「ビデオにあるように、日本中が悲鳴を上げている。でも、誰も助けてはくれない。他力本願ではダメ。自分でなんとかするしかない。」
  「では住民活動はどうなのか。自分の時間やコストをかけて、地域のために動くことは、非合理的なこと。にもかかわらず、なぜ町のために動くのか。それはこの町が「好き」だから。」
  「美しさが加わる、加美町という名前はすばらしい。日本には“美しい村連合”というのがあって、北海道の美瑛町など11の市町村が加盟している。加美町もこうした町に負けないように美しい町になってほしい。木より森、森より山。遠くの目標があれば、迷わずまっすぐ歩いていける。」
  「佐藤町長は、昨年6月29日の所信表明演説で『戒石銘』という二本松藩の教えを引用され、『爾の俸、爾の禄は民の膏なり、民の脂なり。下民は虐げやすくとも、上天は欺きがたし』と心構えを示された。こうしたリーダーに率いられて、この町が良くならないはずがない。佐藤町長は選挙公約で『加美町は一つ、加美町の未来をともにつくろう』と説かれたが、我々がその「とも」の一員になれれば幸いである。」

  いよいよ本題の学生からの発表。
  

 ・地域の課題解決を住民自らが行う、その力を高めることこそが「地域活性化」
 ・地域の人々が、自ら課題解決に取り組む活動を『住民活動』とし、
  1.「日本一住民活動が活発なまち!」を目指す
  2.住民活動をサポートする部署を役場に設ける
  3.「加美町住民活動支援センター」の設置、「みやざき特産市と地元高校生との連携」、「省庁人事交流制度への応募」など、具体的なメニューを一つずつできるところから始め、「小さな成功」を積み上げていく

  この他にも、学生の「気づきリスト」を提示。これには「地域のタテの壁」(3町の意識)、「ヨコの壁」(JAと商工会が一緒に取り組まない)、「仙台マラソンとやくらいマラソンが1週間しか空いていない」、「加美町おばちゃんマップがほしい」、「カミワザ職人10選をつくってみては」、など80項目以上のコメントが盛り込まれている。

  続いて会場からの質疑。
  「調査をされて、加美町に実際に住んでみたいと思う人はいるか」

  … おっとぉ。いきなり後藤さんキワドイ質問。これでもし場が凍りついたら、
  “異議あり。裁判長、ただ今の質問は学生の情熱をことさらに試そうとするものであり、「汝試すなかれ」という教えに反するものであって…”
  と口を挟もうかとも思ったら、3人が手を挙げた。おいおい、マジですか? 嬉しいけど。

  「理由は?」
  「ごはんがおいしいからです。自分はごはんがおいしくないと生きていけないので。加美町のごはんは最高です!」
  う~ん、見事なスレちがい答弁である。場の空気もなごみ、次の質問へ。


  後藤さんの指摘は全くごもっとも。外部者として関わるのと、実際に住む、永住するのは全然違う。「偉そうに町に入ってきて、上っ面の話だけ聞いて、“いいですね”“素敵ですね”と言い放って帰って行く、よそモン」じゃない覚悟はあるのか、と聞きたくもなるだろう。
  だが、「好き」というのと「結婚してもいい」とは違う。「住んでみたいと思うか?」と問うことは、「住む気がなければ調査もくるな、関わるな」とも聞こえるが、それでは外部の力を得ることはできない。好きだから、外にいて、外から応援することだってできる。(東京で有名になって加美町を紹介してもいいし。コンサルタントが社長に乞われて会社に入社すると、社長に会うこともできなくなったりするから、中に入ればいいってものでもない。)

  他から入った人が「ヨソ者」扱いされるのは、どこの地域も同じ。だから、受け入れる側の体制整備が必要なのだ。丸森町の筆甫(ひっぽ)地区が移住者が多いのは、先輩の移住者がいろいろと世話をしてくれるから。
  
  で、自分は住めるのか? 縁と仕事があれば Yes だろう。
  家族は反対するけど、一軒家がもてるだろうし。
  冬は隣の家に行く途中に地吹雪で遭難するかもしれないけど、電車の通勤地獄はなさそうだし。
  合唱団「響」もあるし。
  なにより、受け入れてくれそうな人がたくさんいるし。


  会議では、加美農の先生方から温かい言葉をいただいた。
  門脇さんは、自分の写った河北新報の元旦の記事をとても喜んで下さった。
  加藤重子さんは、毎週木曜日の「藤崎」での出張販売で、パンフをくれれば加美町の宣伝をもっとするとエールを送ってくれた。
  月例報告会で手厳しいコメントをしていた課長さんも、「最初はひやかし半分かと思っていた。これからは我々がバトンを受け取って走り出すので、倒れていないか給水活動に来て欲しい」と言って下さり、感激した。(最後まで厳しいコメントの課長さんもいたが。でも、そのコメントは正しい。) 
  また、県庁からの佐藤さんも、「加美町の課題が何かがはっきりしない」と指摘しながらも、「授業の一環を超えた学生の皆さんの取組に感銘を受けた。同じ仕事を給料をもらってしている自分として敬意を表したい。」との言葉をいただいた。
  これまで支援して下さった方々に、ただただ感謝である。  


  今回の提言のうち、2.については、4月1日に加美町の横断的課題や住民活動のサポートを担当する「政策推進室」が設置されることになり、「省庁人事交流制度」も来秋の募集に応募することが決まっている。
  平成16年度に開設された東北大学公共政策大学院の過去4年間の政策提言のうち、このように実際に採用されたのは初めてではあるまいか。8人のメンバーの情熱と誠意の賜物である。自腹を切ってレンタカーを借りて、毎週加美町に通った彼らの努力を素直に称えたいと思う。

  「たかが6ヶ月で町の何がわかる」「自分のところにはこなかったじゃないか」「お客さんだから良いことしか言わないだけ」など様々な批判もあるだろう。だが、彼らの行動が、決断がなければ何もなかったのである。彼らが無から有を作ったことは変わりない。7月の時点で彼らが加美町を選ばなければ、こうした出会いと広がりはなかったのだから。
  バトンは加美町の役場の人々に渡った。あとは、そのバトンの起こす波が少しずつ町の人々に伝わって行くことを祈るのみである。


  … 学生はこれで授業は終了し、就職活動と公務員試験勉強に邁進する。
  でも自分は来週も加美町へ。


 「機銃掃射」

2008-02-19 23:00:23 | Weblog

  昨日に続き、農政ワークショップ。
  今日はU先生がアドバイスにお越しくださる。

  学生は、果敢に竹槍で海野先生に挑むが、結果は明らか。
  
  機銃掃射で全滅。

  「キミぃ、その話はこういう経緯があるってこと知ってんのかい?」
  「ボクは東京穀物商品取引所にも行ったし、ニューヨークマーカンタイル取引所にも行ったことがあるが、先物はそんな簡単じゃないよ。政府が今回みたいに米買上を34万トンもするような介入をして、先物取引なんて成り立たないんじゃないか。」
  「生産調整を強化するっていったって、誰が実際にするんだい? 農協だってできないって泣きついてきてるんだぜ。」


  圧倒的な経験と知識の差の前に、学生達はことごとく撃ち倒されていく。
  残る期間は1週間。彼らは再び立ち上がれるのか??

  
  「プロを相手に政策提言などおこがましい。その道を何十年とやってきても結局解決できない問題なんだから。」
  こういう意見も確かにあるだろう。だが、素人ならではの着眼点もあるだろう。中立的な立場である学生だからこそ、誰も言えない本音をズバリ指摘することもできる。政策のFIS(実現可能性、効果、持続可能性)は足りなくても、ここがおかしいんじゃない?といった問題提起は可能なはず。それも重要な論点である。

  
  生協の食堂で昼飯を学生と食べていると、前を通った生協のパートさんが、下に落ちているゴミをさっと拾っていった。美しかった。さりげにこういうことが当たり前に行われる職場はすばらしい。
  学生からは、法学部の試験についてクレームが。なぜ答案を返却してくれないのかと。書いた答えの、どこがおかしくて、どう書けば良かったのかが、最後までわからない。模範解答も出ないし …  とのこと。ふーん、そうなんだ。たしかに答案を返さないのが当たり前。説明責任、教育責任を果たしていないと言われると … でも、現実的に200枚以上の答案をチェックして、その点の説明責任を求められるとこれまたつらいものがある。かといってマークシートでは味気ないし。(学生はマークシートの方が学習到達度がわかっていいとのことだった。そういうもんかなぁ。)