きらせん

仙台のきらめき










東北大学公共政策大学院准教授
佐分利 応貴

 「トラ・トラ・トラ」

2008-03-29 22:16:09 | Weblog
  久々の傑作である。

  1970年に制作された米国映画「トラ・トラ・トラ」。
  ゴードン・W・プランゲの原作を基に日米合同で作られた真珠湾攻撃秘話、日米開戦前史。約40年前に作られたとは思えないほどの出来であり、米国映画なのに日本軍が主役、しかもヒール(悪役)でない。そのため興行的には大失敗したらしいが、もしこの映画を米国中が見れば、米国人の日本人観が根底から変わるのではないかとさえ思ってしまう名作である。

  太平洋戦争の開戦史を研究する人間として、この映画を見ていなかったことを恥ずかしく思う。多くの日本人が知らない事実にも触れられており、非常に勉強になる作品。

  トラトラトラ! (ベストヒット・セレクション)

 「イベント前夜」

2008-03-06 23:56:49 | Weblog
  今日の河北新報に塩竃プロジェクトの記事が。
  4日の試作会に来られた阿部記者の記事。ありがと^ござーっっす。

  
  イベントは、7日(金)17:00~20:00、8日(土)10:00~17:00 場所は塩竃神社の隣の「亀井邸」にて。本塩釜駅から徒歩10分ぐらい。ぜひお越し下さい ~

 「まぐまぐバーガー」

2008-03-04 22:25:35 | Weblog

  塩竃活性化プロジェクト。
  7日、8日に販売する「まぐまぐバーガー」と「塩竃ぼんぼん」の試作会。

  
  まぐまぐバーガーは、まぐろのたたきをタマネギとショウガと牛乳で味付けしてハンバーグを作り、パンにはさむ。包丁でやったらかなり大変な作業。80個のパティを作るのに3時間。

  
  手は血まみれ。
  「昭和くせー」ならぬ「魚くせー」。

  女子高生も叩いてます。
  

  炒めてます。
  

  さすがの手際。きらせんも何か手伝いを … と思ったが、能力不足でタマネギ炒めしか手伝えなかった。
  まぁ、でも、女子校で調理実習に参加した経産官僚はたぶん前代未聞。
   … っていうか他にいたらコワイ。

  こちらは、カップにホットケーキを入れていろいろトッピングできるスイーツ。
  
   さくらかな?

  調理中、隣の塩竃高校(男子校)のO先生が来訪され、当日の会場展示用のさくらのポスターを貸して下さった。
  
  さっすが写真部。色遣いも鮮やかな本格派。
  
  ちなみに、写真部顧問のO先生は、塩竃のさくらマップを市民グループ「塩竃を桜でいっぱいにする会」で作られたとのこと。河北新聞などでも紹介された。
  

  こちらが桜マップ。
  
  日本の桜は、原生種は6群10種らしい。ソメイヨシノは、10種のうちの大島桜と江戸彼岸が交配されたものだとのこと。塩竃神社には、原生種4種の他、ソメイヨシノ、五所桜、枝垂(しだれ)桜など合計17種類の桜が植えられており、塩竃桜は天然記念物に指定されているそうな(27本)。塩竃桜は1つの花に40~60枚の花びらがあるそうで(上記写真)、とても美しい。5月には絶対見に行かねば。
  この桜マップ、裏?に塩竃神社の地図と、どこにどの種類の桜が植えてあるかが記されている。すっばらしい。さすが理科の先生。ちなみに、このマップは授業の教材で使うとのこと。原生種6群10種は試験にも出るらしい(!)。

  さて、やっと完成しました。
  
  まぐまぐバーガー。
  パンはバンズでなく、食パンにしたそうな。食べ比べてこれが一番おいしかったらしい。

  
  「ミニカプ」。
  トッピングが鮮やか。

  とはいえ、まだまだ開催まで課題はトッピング大盛り状態。
  学生の突破力に期待しよう。
  … とはいえ、突破の途中で関係者の方々に迷惑をかけてはいけない。
     社会のルールも一緒に知ってもらわねば。
    


 「憲法学者の役割」

2008-03-03 22:23:30 | Weblog

  ほんっっっっっっっとに久しぶりに平和な一日。
  貯まっていた書類整理、録画していたニュースのチェック、積んでた本の読破など。みるみるきれいになっていく。(しっかし、なんでこんなに貯まるまで…)

  
  夕方、書類を取りに事務局に寄ると、慶応大学に来年度から移籍される山元先生の最終講義(最終奥義ではない)の案内がボックスに。えーっ? 今日?? しかも、もう始まってるじゃんか。
  
  慌てて講義室に飛び込む。
   
  テーマは「〈グローバル化〉の中の憲法学」。

  レジュメがイケてる。
  いきなり

  日頃の生活
    研究活動と教育活動をかねる大学における実定法学研究者教員である山元の仕事一覧(各種学内学外雑用諸業務を除く)←「雑用」には二重取り消し線が

  ①研究活動の遂行
     … (略)
  ②国際交流活動 (略)
  ③研究者の育成           ← 大学院生の教育らしい
  ④学問についての基礎的な教育  ← 学部生の教育らしい 
  ⑤「予備校教師」           ← 法科大学院生の教育らしい 

  などと始まっている(←は筆者注)。
  ⑤では「先生!授業では、司法試験に出るところだけやって下さい。あとは無駄です。」「芦部説以外教えないで下さい。頭が混乱しますから! そういわれるのがいやなら、自分の説を通説にして下さい!」 みたいな人もいるらしい。ロースクールって、ホント大変ですねぇ… 学生も先生も。これぞ「人間疎外」の完成型。みんなが「おかしい」と気づいているのに、そのまま必死に不幸になっていく制度。大学入試と同義である。
  教育を大学院生、学部生、法科大学院生と分けるあたりは「なるほどぉ」という感じ。ちなみに大学側の教員評価の基準は、「研究」「教育」「内政(大学経営への参画)」「社会貢献」の4つを対象とすることとなっている。

  講義は非常に面白く、何より山元先生のパッション(情熱)が伝わってくるのが良かった。さすが法学部生人気No.1(もう一人は河上先生らしい)。ひたすらしゃべって90分きっかりで終わって、しかも飽きさせない。プロだなぁ…。
  「グローバル化」をbuzzword(素人を煙に巻く専門用語)とし、それによって生じた具体的な法現象、憲法学に与えた影響等をまとめてあるのが、個人的には非常に興味深かった。なるほど、確かに規制・制度の国際的ハーモナイゼーション(調和)により、国内法の自律性が損なわれていく。これまでの国家主権等の諸観念が動揺する。
  また、「憲法改正問題は、その社会のその時点の、最高の政治的選択」という有名憲法学者の言を取り上げ、「憲法改正より重大な政治的な帰結をもたらす政治的事件はありうる」「フランスなどは毎年のように憲法が改正される。日本のように改憲が最高度に重要な政治的な問題というのは、こけおどし的な決めつけの気配がある」とバッサリ。痛快である。確かにそのとおりだと思う。憲法はよりよい社会のための手段に過ぎない。ところが、今の議論は憲法自身が目的化している。

  最後は拍手の鳴りやまぬ中での花束贈呈。
  
  山元先生、長い間お疲れ様でした(疲れたのは雑用のせい?)。

  講義終了後に『憲法学者の社会的役割とは何か』をお聞きしたところ、
  ①法の支配のチェック(憲法の主旨に則った法運用がなされているか)
  ②望ましい法体系の提示(憲法等がいかにあるべきか)
  ではないか、と丁寧にお答え下さった。加えて教育であると。
  さすが教育熱心な先生である。
  これに対し、世の多くの憲法学者は「テレビに出て、これは正しい、これは正しくない、と決めつけること」が役割だと勘違いしているような気がしてならない。
  
  もっと早くに、普段の講義から傍聴させてもらえば良かった。
  「他の先生の講義を聴くのは失礼だと言われたので … 」
  「そんなことないですよ。全然構わないと思いますよ。」
  そっか。せっかくすぐ隣で一流の講義を聴けるのに、もったいない。
  来年度はいろんな先生の講義を聴かせていただこうっと。



  さて、3月3日はひな祭り。
   ん? 誰だキミは。
  
  ひな祭りには「ちらし寿司」と「蛤汁」だそうな。なんで??
  そんなの食べたことないっす。
  
  30年前ぐらいから広がったらしいが。
  慣習・風習の歴史は面白い。いつから始まったのか、どう広がったのか。バレンタインデーやホワイトデーなど、人工的に作られた社会の慣習を調べてみると、「社会生理学」「社会免疫学」の高度化に役に立つだろう。例えば「○○の日」ってのは、問題を風化(埋没化)させない薬の一つ。広島の平和記念日とか、北方領土の日とか。


 「地域で考え子ども守る」

2008-03-01 23:23:31 | Weblog

  河北新報に、24日に開催された「防犯ボランティア交流会」が大きく掲載された。
  交流会に直接は関係ないが記事中「東北大学公共政策大学院」の名前も入っており、少しは宣伝になったかも。

   「不安社会」取材班の藤田さん、皆さん、ありがとうございます。リーダーの舟橋君、石田君、お疲れさん。良かったね。

  


  子どもを守るといえば、最近観た「約束の旅路」は良かった。
  http://yakusoku.cinemacafe.net/
  原題は「Va, vis et deviens」(行け、生きよ、生まれ変われ)
  2005年フランス映画。
  スーダンの難民キャンプに逃れてきたエチオピア人の母が、ユダヤ教徒ならイスラエルに脱出できると聞き、生き残ったキリスト教徒の息子をユダヤ教徒の女性に託してイスラエルに送り出す。仮母はイスラエルで病死し、シェロモと名づけられてユダヤ人として生きる少年は、あるイスラエル人家庭の養子になるが …

  母親の絶対愛とは、民族とは、宗教とは … さまざまな切り口から楽しめる名作。星4つ。