金木病院

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救急再開の現場記録!

消え逝く病院

2007年02月03日 07時05分20秒 | 青森県の医師不足
大畑診療所常勤医ゼロ
県派遣医師3月末異動へ 後任の可能性低く
『東奥日報』(07.2.2)http://www.toonippo.co.jp/

一部事務組合下北医療センターの大畑診療所(むつ市大畑町)で、唯一の常勤医である県派遣医師が三月末で異動になる見通しであることが一日、分かった。県が後任を派遣する可能性は低いとみられ、四月以降は、むつ総合病院などの医師が交代で診療に当たることになりそうだ。同センターや県などは来週にも、今後の診療体制や県の支援策などを話し合う。
大畑診療所は、旧大畑病院時代の二○○三年七月、二人いた常勤医が病院を去ったため、同八月から県が特例で常勤医を派遣してきた。
○ 四年に医師が複数となったが、診療所に転換した○五年から再び常勤医一人体制となった。入院患者を受け入れられないため、十九床の病床は実際は機能していない。月曜以外は、むつ総合病院からの診療応援を受けながら内科、外科診療を受け付けている。外来のほか、訪問診療も行っている。
県医療薬務課は、これまでの医師派遣を「緊急避難的な特例」と強調した上で、今後は地元の意向を確認しながら支援策を検討する考えだ。
大畑地区からは「訪問診療は継続されるのか」「日替わりの医師派遣で患者との信頼関係はどうなるのか」などの不安の声も上がっている。
同センターは大畑診療所への指定管理者制度導入も視野に入れており、今後の運営形態などを幅広い視点から探る検討委員会を近く設置する。委員は、地元の住民や関係団体など約十人。

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旧大畑町はむつ市から約20kのところにあり、市町村合併でむつ市大畑町となった。ここに合併以前の第3次大畑町振興計画 基本計画<基本計画>がある。「医療の充実」の「現状と課題」では、

 昭和46年4月に一部事務組合下北医療センター(1市3町4村)が設立され、下北圏域における医療水準は、基幹病院であるむつ総合病院を中心に大きく向上しました。当町における医療体制は、大畑病院が開設以来、保健医療の中核拠点として地域住民の医療確保と、その水準の向上に努めており、病院改築事業に伴い、高度医療機器の導入により、近年の高齢化、疾病構造の多様化、住民の健康管理に対する高まりから医療に対する要請は一段と強くなる中、高度で専門的診療にも対応できる体制の確立を図らなければなりません。
http://www.net.pref.aomori.jp/seisakunet/link/database/1291/chap/3.html

とあり、当時地域医療の充実をめざしていたことを考えると、大畑病院→大畑診療所→常勤医ゼロという現在のジリ貧はとても地域住民の納得のゆくものではないと思われる。建物も(写真参照)立派だし、この病院が旧大畑町当時めざした機能が実現すれば、住民の不安は解消し中核病院「むつ総合病院」がかかえる諸問題---医師の過酷な勤務状況や患者に強いられている不便さ---も同時に解決されるはずだった。大畑に中核病院構想のあやうさが端的に顕れていると言っても過言ではあるまい。

「医師不足」という札一枚で切り捨てられる住民はたまったものではない。