金木病院

太宰治のふるさと津軽の金木町。危機に瀕した金木病院がみんなの協力でもちこたえました。

救急再開の現場記録!

RAB「医師確保の取り組み」

2007年02月04日 07時40分21秒 | 青森県の医師不足
2月3日17:30地元TV局RABが「シリーズ”輝く未来を築くために”『医師不足の取り組み』」という番組を放送した。企画は青森県。

女性アナウンサーが進行役で、聞き手は金八先生のおまわりさん役の鈴木正幸さん。ボケ味で有名な俳優さんだが、この深刻なテーマに「笑い」を持ち込むのは違和感がある。

下北地域の医療は中核病院構想によって崩壊寸前である。大畑病院(既報)は消えつつあり、むつ総合病院は医師不足と患者の集中によって限界に達している。地域住民は医療切捨てによって悲惨な状況に置かれている。一方、丸山大間病院院長は「マンパワーを集約し中核病院構想を推進」すべきだと主張する。佐井地区では病院への移動手段もいまだ確立されていない状態。地域の病院を奪われた住民の不安をよそに中核病院構想にひた走る下北の医療。聞き手が「下北頑張ってる。頭が下がる」と言ったとき女子アナが笑ったが不謹慎極まりないことだ!

外が浜中央病院秋山院長の取り組みや深浦町国保関診療所「赤ひげ先生」柳ドクターの活動も紹介されていたが、角度が逆だ。かれらは県のお粗末な医療施策のなかで地域医療を死守しているのが現実だ。まるで県が推進しているような誤解をまねきかねない取り上げ方はいかがなものか・・・。

鈴木正幸さんの「お互いがお互いの立場に立って考えることが大事」という発言にはのけぞった。これじゃ自分の立場を貫くという意味ではないか。「お互いが相手の立場に立って考えることが大事」なのだ。日本語としておかしい。しかし本音なのだろう。住民の願いを無視し、県は県の方針をどんな犠牲をもってしてもやりぬくという決意表明に聞こえた。空恐ろしいことだ。

番組の最後に5分ほどの寸劇が挿入されている。

栃木県出身で弘前大学医学部卒の鈴木研修医に、患者は青森に残ってもらいたいと願っている。「青森っていいどこ、としゃべりつづけるしかない」(患者のつぶやき)
医師、研修医、看護師の三人の雑談場面に変わる。
医師「なぜ医師になったの?」
鈴木「自分以外のだれかのために生きたいとおもったから」「救急センターをたくさんつくって、ローテーションで医者を回せば医師不足なんかすぐに解消すると思うんですけどね」
医師「そんなに簡単かな?」
看護師「でも、いいかも知れませんね、それ!」
医師「で、青森に残るの?」
鈴木「はい、青森に残ろうと思います。青森の人の『親切の構造』です」
(患者のつぶやき)「言葉より先にある気持ちっこ、これが青森のいいところ!青森県に一回住んでみて。絶対後悔しないから・・・」

もはやなにをかいわんやである。深刻な医師不足に対してなんら有効な対策を講じてこなかった青森県。泥縄の如き中核病院構想。非人間的地域医療の切捨て。これらの問題を根本から改善しなければ青森の医療は成り立たないのに、意味不明の「人情論」でくくるという神経はどうかしている。

実に後味の悪い番組だった。