金木病院

太宰治のふるさと津軽の金木町。危機に瀕した金木病院がみんなの協力でもちこたえました。

救急再開の現場記録!

マスタープラン

2006年12月26日 06時02分58秒 | その他
199億円をかけて建設予定の「中核病院」は、地域の医療体制リストラ構想(「西北五地域における自治体病院機能再編成マスタープラン」)に基づくものである。

この「マスタープラン」が市民にどれだけ理解されているかといえば、甚だ心もとない。簡単にいえば五所川原市郊外漆川に最新設備の大病院(中核病院)を置き、周辺の病院を診療所化して後方支援体制をとるというものだ。中核病院は常勤ドクター55名体制で運営される計画だ。

青森県の医師充足率は43%と全国でだんとつ最下位のおりから55名を確保し維持できるかどうかという不安は大きい。いま金木病院がたった2名の医師すら確保できない現実は重い。それはさておき、この中核病院の収支予測を見ると、「収入は最大限に見積もり支出は最小限に見積もる」というなんとも危うい計画なのだ。それはこのプランを策定した検討委員会自身が次のように述べていることでも明かだ。

◆ 総括(「マスタープラン」pp34-35から引用)
このように本収支計画における中核病院の収支について、毎年度純損失の発生は避けられず、累積欠損は生じるものの、経営上問題とされる不良債務の発生は10年スパンで見ると回避できる見込みとなっている。
しかしながら、このことは、医師が100%充足されるとともに、病床利用率を92%で維持し、病病連携・病診連携を、地域連携クリティカルパスや医療情報ネットワークなどのツールを活用しながら積極的に進め、在院日数の短縮化を図り、密度の濃い医療を集中して提供できる態勢が整備されることが必要条件と考えられ、その結果、一般病床の入院診療単価が青森市民病院や八戸市立市民病院と並ぶ程度の単価水準(40,800円/日)となることを前提に可能となる試算であることに留意する必要がある。また、経費のうち最も多くを占める人件費の算定に当たっても、公務員の給与構造改革を踏まえ、原稿の圏域内平均給与に比較し2%減額して算定していることも試算上、健全経営が確保できる要因となっている。(以下略)

これに続き、地域の現状では入院診療単価は34,500円程度であることや、一般病床利用率は85.5%であることが述べられている。ハードルは高い。以上収入計画だが、支出計画ではわたしの読み違えでなければ医師の平均給与を14,000,000円(年収)程度としている。あり得ない数字だ。深刻な医師不足時代に、この給与で55名もの常勤医師を確保・維持できるわけがない。

このプランを経営分析の専門家にチェックしてもらったのだろうか?これだけの大事業が失敗すれば、地域は多額の債務に苦しむことになる。目標の七~八割程度で成立の見込みがなければ一般企業はとてもリスクが大きすぎて手をだすまい。もしも中核病院構想が頓挫すれば、地域の医療は完全に崩壊し、病院機能を奪われた地域の医療施設がわびしく点々と残るだけだ。そんな光景は見たくない。

より現実味のある綿密なプランの作成とその詳細な説明を当局にお願いしたい。

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