金木病院

太宰治のふるさと津軽の金木町。危機に瀕した金木病院がみんなの協力でもちこたえました。

救急再開の現場記録!

搬送先決まらず死亡

2007年07月18日 08時58分38秒 | その他
トリアージの難しさ 病院が二転三転、女性死亡

「救急車が来られない」「受け入れる病院がない」。柏崎市に隣接する刈羽村の倒壊した家屋から救助された五十嵐キヨさん(79)は、受け入れ先の病院が二転三転し、ひん死の状態で救助されてから約1時間後に病院に収容されたが、死亡した。災害時にどの患者を優先的に病院に収容するかという「トリアージ」の難しさを突き付けた。

地震で五十嵐さん方2階建て家屋は1階部分が完全に押しつぶされた。「キヨさんがいない」。近所の人たちは五十嵐さんがよく行く畑などを探したが見当たらず、近所の約30人がチェーンソーなどで倒壊家屋をかき分け、16日正午ごろに五十嵐さんを助け出した。

五十嵐さんはうっすらと目を開けるが、どんどん意識が遠のく。救急車を要請したが、来られないとの回答。村には常駐する救急車はなかった。急きょ、消防団の消防車に先導された軽トラックで搬送することになった。地震で隆起し、亀裂が走る道は思うように進めない。刈羽郡総合病院に向かったが「医者が足りない。受け入れられない」との無線連絡が入った。同病院は負傷者であふれかえっていた。

次に長岡赤十字病院に転進したが、ここも「いっぱいでだめ」。反対側から来た救急車を強引に呼び止め、すでに乗っていたけがの患者と乗せ替えてもらい、最終的に柏崎中央病院に収容されたが、間もなく息を引き取ったという。

近所の男性は「道の状態がよく、搬送先が二転三転しなければ間に合ったかもしれないのに…」と肩を落とした。

五十嵐さんを搬送したトラックの男性は「いつもにこやかないい人だった。もっと早く運んであげられれば助かったかもしれないのに…」と肩を落とした。

『産経新聞』(2007/07/17 11:04)

http://www.sankei.co.jp/shakai/jiko/070717/jko070717013.htm

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患者の優先順位「トリアージ」の難しさと括っているが、実際は医療費削減策によって生じた救急体制の脆弱さを指摘すべきだろう。

新潟も他と同様に医師不足に変わりは無い。また緊急医療を担った赤十字病院も先の報道で医師不足に苦しんでいる。

「たらいまわし」によって患者が亡くなる。こんな悲劇はくり返してはならない。

因みに、中越沖地震で放射能漏れを起こした柏崎原発だが、住民の強い不安・要請にもかかわらず、「活断層は無い」(御用学者による調査)と押し切って運転されてきた。いま世界最大規模のこの原発施設の直下に活断層があることが明らかになったが、いったいどう言い訳をするのだろうか。また、ここで発電された電力は首都圏に送られているという。地元に不安を押し付け、利益は中央がいただくという構図はまさに地域住民を無視したものだ。

新潟県中越沖地震は、そのひび割れから、利益優先・住民軽視というこの国の実態をいみじくも明らかにしたと言える。人災は避けることができるはずだ。