伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ192

2021-04-20 15:26:12 | ジャコシカ・・・小説

途中でバラしたと残念がったが、手元に来てから「何か釣れてる!」と叫んだ。

 

 上がったのは小型のガヤだった。

 

 「なんだ」

 

 千恵は二度がっかりしている。

 

 「ガヤを馬鹿にするな。そいつはエゾメバルと言って煮魚にして旨い、メバルの仲間だ」

 

 高志が注釈した。

 

 「昔こればっかりしか釣れなくて、うんざりしたものね。釣れ出すとがやがや、がやがやで止ま

 

らない」

 

 「棘棘だから注意してよ」

 

 清子か言う。

 

 言い終わらないうちに、今度は彼女にアタリだ。手元が何度も引かれて止まる。

 

 「大物かな」

 

 あやが自分のエサ付の手を止めて、海面下を窺う。

 

 千恵も同じ言葉を反復して首を伸ばす。

 

 獲物は水面下で黒い影を引いて、激しく横に走った。

 

 「アブラコだ」

 

 高志が断を下すように言った。

 

 「これもサシミだね」

 

 千恵が嬉しそうに笑う。

 

 「いいポイントだ」

 

高志は言って、ゴロタ石を結えたアンカーを投げ入れた。高志がアンカーのロープを繰り出して

 

いる間に、千恵にまたアタリだ。


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