ちびたの日常

のんびり息子と猫たち&イギリス人ハニスケと

感動させられた一言

2008-05-21 | バンド活動など
私は絵を描くことが小さい頃から大好きで、学校でも自然と図工が得意だった。中学でも通知表では美術が5以外取ったことがなかったし、ほかに夢中になれると言い切れるものに心当たりはなかった。
高校の頃、何かの展覧会に出展することになって電車に乗って延岡まで偵察に行った。
みんなすごくて圧倒されると同時に、自分のレベルで満足しそうになっていたことがはずかしくなった。
帰ってから題材のことで毎日悩んだ。
「私が一番嫌いなものと格闘しよう」と決めた。
生きていくためのしょうがない矛盾。と言うテーマで牛の頭の骨を描くことにした。
するとその骨と向き合うたびに いろんなことが頭をよぎり始めていちいち筆が止まる。
この世に生まれてお母さん牛と幸せだった頃の子牛。スキップしているように母牛にじゃれていて、まるでこの時間がずっと続くだろうと思えた頃の子牛。
ある日突然知らないおじさんに連れて行かれて、トラックの荷台からお母さんを呼んでももう二度と会えなかった子牛。
新しい友達と並んで食べた牧草。
そしてうすうす感じていた危険な臭いがするトラックに自分が乗せられる日、力一杯踏ん張っても乗せられて住んでいたところがどんどん小さくなる感じ。
そして、今私の前にあるこの骨。
筆が止まっては振り切って描いたことを覚えている。
時間がなくなって夜になって、骨と2人で向き合っていると そのうち供養でもしているような気分になってきた。
無造作になぜかあるはずのないテーブルの上に置かれて私がその抜け殻を描くことになった。
その絵は入選してしばらくどこかの施設に飾られてから私の所へ帰ってきた。
私の仲間は「あんたの絵はなんか怖い」と言っていた。私の母も「部屋に飾らないで気持ち悪いから」と言った。
その絵を見たある学校の先生が私にとってある意味一番の誉め言葉を言ってくれた。
「気持ち悪く描いているのでなくてもここまで虚無感がでるとまるで骨が言いたいことを見えるようにした感じだな」
これは私の宝物の言葉だ。
『言いたいことを見えるようにする』
これはこのころから後の私の絵に対する方向性を見つけるヒントになった。


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1 コメント

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Unknown (Anne)
2008-05-21 23:07:33
絵が上手い人は尊敬します
私も図工や美術は大好きだったのだけど
上手く無いので残念...

よくアメリカで言われるのが
子供が描く絵にはその子供のうちに秘められた言葉とか出てくると言われて
黒い色ばっかりとか使いたがる子供は何か悲しい事を思っていて
でも口に出さずに絵で表現すると聞いた事があります

骨の絵も色んな思いを絵として表現していくのだけど、、
ほんとにあまり見える事の無い題材ですよね
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