
"The Corporation"
2004年カナダ
監督)マーク・アクバー ジェニファー・アボット
出演)マイケル・ムーア ノーム・チョムスキー レイ・アンダーソン
満足度)★★★ (満点は★5つです)
UPLINK Xにて
法律上、「法人」という形で人格を認められている企業。「彼等」を人間に見立て精神分析するとその結果は人格障害(サイコパス)ということに!
多数の企業家や知識人にインタヴューを重ね、企業の破綻した「人格」を検証するドキュメンタリー。
「他人へのおもいやりがない」
「利益のために嘘を続ける」
「人間関係を維持できない」
「罪の意識がない」
「他人への配慮に無関心」
「社会規範や法に従えない」
これ、全てこの映画の中で指摘された企業の人格診断結果です。
偽装建築、保険金未払い、粉飾決算・・・。今年も様々な企業犯罪があったわけですが、この結果を聞くと、すごく腑に落ちますよね。この映画は主にアメリカの企業を対象に検証を行っているのですが、日本の企業にも全然当てはまる。資本主義と国民性は関係ない、というのがよくわかりました。
ここまでは普通の感想なわけですが、やはり考えてしまうのは、僕も含めて多くの人がこの「人格」の破綻した企業の一構成員である、ということです。映画の中の、言語学者であり社会批評家でもあるノーム・チョムスキーの指摘に曰く、「就いている職業と個人の人格は関係ない」。
つまり、善良な人間でも、ひとたび企業の1プレーヤーとして振舞うときには、やはりその破綻した企業の「人格」にあわせて行動してしまう、ということです。
企業の「人格」に自分を同化させすぎたとき、そしてそこに何の疑問を持てなくなったとき、そういうときこそ危険なんですよね、きっと。最近の企業不祥事を見ていると本当にそう思いますし、自分も戒めなければならないことだと思います。
などと色々なことを考えさせられる骨太なドキュメンタリーなのですが、映画として観た場合、どうなんでしょう。ちょっと真面目すぎる気がします。スクエアな学生の卒業論文を読まされているような趣。
もうちょっとケレン味があるともっと面白かったような気が・・・。
この映画、出来たら、三夜連続のドユメンタリーで多少の補足も入れながら、TVで放送して欲しいな。。と感じました。
カナダの映画製作は恵まれてますよね。
こちらの映画評は大好きな映画が沢山あって
とても嬉しく思いました。
>三夜連続のドユメンタリーで多少の補足も入れながら、TVで放送して欲しいな。。と感じました。
確かに映画館でこれだけの情報量を一気に浴びるのはエネルギーが必要ですね。まあ、それが映画の醍醐味、というところもあるのですが・・・。
また、『ザ・コーポレーション』日本版があっても面白そうですね。どこまで取材が出来るんだろう?
>こちらの映画評は大好きな映画が沢山あって
ありがとうございます!
またお越し頂ければ嬉しい限りです!