"Opal Dreams"
2005年イギリス/オーストラリア
監督)ピーター・カッタネオ
出演)クリスチャン・ベイヤース サファイア・ボイス ヴィンス・コロシモ ジャクリーン・マッケンジー
満足度)★★★★☆ (満点は★5つです)
恵比寿ガーデンシネマにて
オーストラリアのオパール鉱山の町・クーパー・ペディ。アシュモル(クリスチャン・ベイヤース)とケリーアン(サファイア・ボイス)の幼い兄妹は、オパール掘りの父親の元暮らしている。空想の友達ポビーとディンガンと遊ぶケリーアンに兄のアシュモルはいつもイライラし、両親も心配気味。
そんなある日、ケリーアンは、ポビーとディンガンがいなくなったと言い出す。二人を探す振りをする家族だったが、空想の友達を見つけることはできず、父親レックス(ヴィンス・コロシモ)は盗掘の疑いまで掛けられてしまう。
元気を無くして次第に衰弱してゆくケリーアンに、最初はバカにしていたアシュモルも必死にポビーとディンガンを探し出そうとするが・・・。
原作は「21世紀の星の王子さま」とも言われベン・ライスの児童小説。
子供が空想の友達(imaginary friend)を持つことって結構あるそうです。僕自身に思い当たるフシは無いのですが、そういえば、特に欧米の小説や映画にはたまにこのモチーフが使われていたのを思い出します。例えばスティーブン・キングの『シャイニング』。”輝き”と呼ばれる特殊能力を持つ少年は、いつもこのimaginary friendに話しかけていました。
まあ、こういう、いわば子供の他愛ない思い込みというのは、子供が成長するとともに(イノセンスを失うとともに)忘れられてしまう訳ですが、この映画の感動してしまうところは、この子供のイノセンスが家族を救い、ひいてはささやかながらも頑なな大人たちの地域コミュニティーを救ってしまうところです。
美しくも荒涼たるオーストラリアの風景を舞台として繰り広げられるそんなプロット、何とも魅力的なのですが、結局こういう映画でポイントになるのは何と言っても子役俳優の演技力、というか存在感なんですよね。これを外すとどんなに良い題材でも全くダメな映画になってしまう。その点でこの映画は完璧。文句のつけようが無い。想像力豊かなケリーアン、妹を救うべくポビーとディンガンを探しまわるアシュモルとも説得力のある演技です。
とくに、アシュモルを演じたクリスチャン・ベイヤース。妹のimaginary friendを疎ましく思っていた彼が、最後には衰弱する妹の為に一所懸命になる姿、その健気な様が心を打ちます。子役俳優が大成するのってあまり見ませんが、この子は「もしかしたら・・・」と思わせる存在感を感じました。
時にユーモラス、時に乱暴な鉱山町の労働者たちの描写もカッタネオ監督らしい演出で魅力的。ガサツな町の環境とケリーアン&アシュモルの無垢さがコントラストを成し、さらに良い味を出しています。
単館上映というのはちょっと勿体ない、温かい映画。
原作も読んでみようと思います。