ストラバイトSOS!

愛犬・愛猫の尿の中にキラキラ光る粒々(ストラバイト)が見えたらSOSです。尿のpHチェックに特許pHスティックをどうぞ!

[006 「ストラバイト結晶」は誤称です]

2008年08月15日 07時31分15秒 | 犬・猫
 「ストラバイト結石」という呼び方は間違いだ、「ストラバイト由来の結石」と呼ぶのが正しい。獣医業界雑誌「小動物臨床」(2005年1月号、山水書房)に発表してから3年半が経ちました。その頃は、まだ耳にしなかった「ストラバイト結晶」などというヘンなコトバが、またもや性懲りもなく流行りだしたようです。
   言い出したのがどこの誰だか知りませんが、ストラバイトというコトバの由来を知らないが故の無知の産物だと思われます。
   昔、サケ缶やカニ缶などの缶詰業界で注目されたのは、缶詰を食べるとき、口の中でガリッと邪魔になったガラス状の結晶です。von STRUVITEという貴族の領地の缶詰工場で最初に発見されたという説があります。これが本当かどうか確認しておりませんが、その異物は欧米の缶詰業界でstruviteと呼ばれ、日本の缶詰業界ではストラバイトと翻訳されました(水産百科事典に明記)。
 struviteの成分を化学分析し、結晶の正体は缶詰内で魚骨やカニの甲羅から溶出したリン酸塩類であること。缶詰内の環境がpH7.0以上になると、燐酸+アンモニウム+マグネシウムが結合して目に見えない微細(数ミクロン)な結晶を析出することが判明しました。しかし、速やかに胃液に溶けてしまうので、食品安全法の取り締まり対象にはならなかったのです。
   これが歴史上の事実です。だから、「ストラバイト結晶」という呼び方は二つの誤りを冒しているのです。
①ストラバイトとは、口の中で噛むとガリッとなる大きな結晶のことであるからして、顕微鏡でなければ見えない微細な燐酸アンモニウムマグネシウムをストラバイトと呼ぶのは間違いです。因みに、医学領域では「三重燐酸結晶」と呼ばれてます。
②ストラバイトとは、口の中で噛むとガリッとなる大きな結晶のことであって、燐酸アンモニウムマグネシウムのことをストラバイトと呼んだのではありません。ここを勘違いし、ストラバイト=燐酸アンモニウムマグネシウムと誤解したものだから、「ストラバイト結晶」などというヘンなコトバを作ってしまったんだろうと思われます。
  恥さらしな誤称は早急に廃止すべきです。  文責:Dr.中島健次(獣医師)