ポリティカルセオリスト 瀬戸健一郎の政治放談

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拝啓、教育委員様~教育委員会の職務権限って?

2007-12-26 23:51:02 | 市議会議員として

拝啓 草加市教育委員会委員様

師走の候 ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。また、日頃から草加市の教育、文化、スポーツの振興に多大なるご活躍をたまわり、心から敬意と感謝を申し上げます。

さて、私は現在懸案となっております、「教育委員会の職務権限の特例に関する条例」(案)について、たいへん関心がございます。以下、乱文・乱筆、ざっぱくではございますが、思うままにまかせ、一筆さし上げたく存じます。

「教育改革は成果が出るのに時間がかかるから、選挙公約にはあまりなじまないのではないか。」というアドバイスを17年前、28歳で初めて草加市議会議員に立候補することを決意した私にある先輩からいただいたことを思い出しています。

大学在学中から、その身分を伏せて大手英会話スクールで一般英会話コースをフルに担当していた私にとって、実社会で役に立つ教育のあり方を論じたくて仕方がなかった時代の出来事でした。

議員に当選してからも、AET(現在のALT)の増員や獨協大学オープンカレッジの実現など、教育と実社会との接点に関わる分野について、学校教育にも社会教育にも積極果敢にものを言ってきたのが瀬戸健一郎初期の活動分野でした。

その間、時代は社会教育から生涯学習へとコンテクストがシフトしていきましたから、私の主張はその時代の流れとマッチしていたのかもしれません。

教育は学校だけでやるものではない。生涯学習という思想は、生涯学び続ける社会を意味している。だから、教育はもはや教育委員会だけの仕事ではないんだという考え方に私自身が立っていたのも事実でした。

草加市で教育委員会の2部制という論議が高まった時にも、教育長は教育を司る事実上の独立行政機関の長なのだから、その組織に複数の部局が存在していなければ、多くの市民は教育長が市役所の部長級職員と同列であると誤解しかねない。教育長は独立行政機関の長であるから、部長たちを束ねて、その職務権限の仕事を最大限に発揮できるように組織も拡充しなければならないと議論したものです。

それは教育委員会の職務が、もはや学校現場だけでは完結しないほど大きなものなのだという信念からのものでした。

※教育委員会とは、複数の教育委員の合議体で、教育委員長がそれを代表し、教育長がその事務を統括しています。つまり合議体としての教育委員会の意志が独立行政機関としての教育委員会の原動力であり、これが尊重されているか否かが、その存在理由を左右しています。

結果的に草加市教育委員会は学校教育部と生涯学習部の2部制で以来、今日まで、草加市の教育、文化、スポーツの振興を使命として独立行政機関としての職務を大いに発揮してきて下さいました。

教育委員会が事実上担当する職務権限の範囲が広範であるなどの理由から、それまで学校教育関係者、簡単にいえば教職経験者が多かった教育委員会の組織に、PTA関係者を1名入れなければならないといった法改正もありましたし、特に草加市では幅広い分野でご活躍された人材が、歴代、教育委員をお務めいただいており、これは私の誇りとするところでもございます。

その教育委員会の職務権限の内、文化とスポーツの振興に関わるものが、今年6月の法改正で、来年の4月から市長部局に移すことができるようになりました。これにともない、草加市でもこれらの権限を市長部局に移すことが急に進められようとしています。これまでの草加市における教育委員会の役割と使命とは何であったのか、その伝統と歴史が今、教育委員会自らの手でどのように総括されようとしているのか、私は重大な関心をもって、草加市教育委員会の議論に期待いたしております。

私は、議員でもありますから、このような時代の潮目に草加市政が乗っていくことについて、一定の理解はしているつもりですが、草加市教育委員会のあるべき姿、草加市の教育のあるべき姿が明確になるための議論は、これらすべてに優先するべきと信じています。時流に流されることは断じて許されません。

「知・徳・体」を一体的に施策や事業の体系に組み込んでこそ、草加市の教育環境が豊かになり、教育の質が向上します。ともすると政治が介在する市役所の事業に積極的に参加しない市民も、教育委員会の事業にならば協力してくれるという現実を無視してはいけないのではないでしょうか。

ですから、これまで協力関係にあった多くの関係市民、関係団体、関係機関と十分に対話の機会を設けて意見交換をし、さまざまな事務を調整しながらコンセンサス形成する「いとま」が何よりも肝要なのだと思います。

明日の草加市教育委員会での議論に注目いたしております。ご多用にも関わらず、最後までお読みくださり、誠にありがとうございました。

末筆ながら、教育委員各位のご健勝とご多幸をお祈りいたします。よい年をお迎えください。

敬具

追伸 私は東松山市でスポーツ振興に関わることを市長部局から教育委員会の所管に今年、戻したように、財団法人草加市文化協会の所管も市長部局から教育委員会の所管に戻してもいいのではないかと考えはじめています。私は草加市教育委員会が他の自治体で問題になるような形骸化された存在になってしまう恐れよりも、真に教育、文化、スポーツのすべてを委ねられ得る実効性の高い、日本一の教育委員会になっていく可能性に期待する一人であることを申し添えさせていただきます。

2007年12月26日

瀬戸健一郎
Kenichiro Seto
草加市監査委員
Soka City Auditor
草加市議会議員
Soka City Councilor

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