学会の理事会の前に、府中市美術館で開催中の「画家・新海覚雄の軌跡」展を見に行った。
半世紀以上前の社会主義リアリズム絵画をノスタルジックに振り返る展示かと思ったら、そんなものではなかった。絵が力強い。強すぎる。人物の量感が圧倒的で、とてつもない存在感が伝わってくる。
戦後の作品には反米の姿勢も顕著で、当時の左翼運動というのは対米戦争の続きでもあったこと、「真の独立」が模索されていたことが、よく分かる。押し付け憲法反対と叫ぶ若者は、こういう作品をぜひ見てほしい。安易に時流に追従するのではなく、日本人もまたアメリカとソ連の間に裂かれたことを、再確認してほしい。