雲取山は東京都の最高峰。
立派な2000m峰(2017m)である。
遭難者事故が多いことで有名な上越国境稜線上の谷川岳(1977m)の標高を鑑みれば、登頂は決して容易でないことが推察される。
私が初めて頂を目指したのは高校時代。
当時のガイドブックにある国鉄青梅線の終着駅は「氷川駅」となっていた。
調べてみると、1955年に氷川町は古里村、小河内村とともに合併し奥多摩町が発足したが、駅名が奥多摩に改称されたのは1971年であったようだ。
終電で奥多摩駅まで行き、少しばかり仮眠をしてから、石尾根に取り付いて登山を開始した。
確か、六ツ石山辺りで御来光を仰いだと記憶する。
当時は、夜行列車の運行路線が多く存在し、「夜行日帰り」が一般的な登山スタイルのひとつであった。
七ツ石山から雲取山までは多少のアップダウンはあるが、程なくピークに到達する。
主稜線の一つの頂という感じで、隣接する飛竜山(2077m)よりも標高は低いが、東京都最高峰としてのブランドが輝いている。
頂上の展望を楽しんだ後、鴨沢に下る。
一日数本しかないバスを、時間を気にすることなく昼寝しながら待つことになるが、何ら苦にならず、逆に、楽しみとしていたかのようであった。
何かに急かされた毎日が、そうした時間の過ごし方を忘れさせてしまったのだとしたら、反省しなければならない。
最近はマイカー登山者が増え、小袖乗越に整備された駐車場利用により、雲取山への日帰り登山が可能となった。
山頂を目指すだけなら、それで充分なのだが、長沢背稜、三峰神社からのアプローチや飛竜山から奥秩父へ連なる稜線も、雲取山を楽しむためには、是非訪ねてみたいお奨めルート。
標高に因んで2017年に雲取山荘に宿泊すると、記念バッチが貰えるというので、久しぶりに訪ねた。
2月ということもあり、当然のことながら積雪があった。
日当たりのよい斜面は解け始めていたが、雲取山の北斜面は、一部アイスバーンとなっていたため、アイゼンを装着して雲取山荘へ下った。
そこへ、トレランの若者が軽装で登ってきた。
もちろん靴はトレランシューズ。
木の根っこを掴みながらツルツルの雪面に悪戦苦闘していた。
「あとどのくらいですか?」の問いかけに、
「頂上までは20~30分くらい。
そこからは南斜面なので雪は腐っているから大丈夫だけど・・・」と答えたが、
最近のトレランブームには、いろいろ課題がありそうだ。