バロチスタンは、パキスタン南西端に位置するパキスタンの最大の州。
西端はイラン、北端はアフガニスタンに接し、南はアラビア海に面する。
この辺りには、広大な泥の大地が広がり、生計を立てていくには、
相応の困難があると推察されるが、
隣接するインダス川流域には、有名なモヘンジョダロ遺跡が存在し、
肥沃な大地であることを窺わせる。
幹線道路沿いには、建設資材として重要なレンガ工場が並び、
現在でも、経済活動の一翼を担っている。
だが、工場といっても、木枠で型どった日干し煉瓦を野焼きするだけの簡素なもの。
運搬ではロバが活躍する。
州都カラチから西に進むと、浸食が進んだ奇形の景観が広がる。
そして地平線の遥か先に、チャンダーガップ(Chandargup)と呼ばれる泥火山(Mud Volcano)が見えてくる。
火山と呼ばれるが、火山活動とは別物のようだ。
地下の粘土層が地下水やガスなどとともに地表に噴出して形成されたもの。
この不思議な景観の山は、ヒンズー教の聖地でもある。
登ってみると、あたかも神々が降臨する舞台のように思えてくるから不思議だ。
頂上にある沼地の縁にはお供え物が並ぶ。
さらに進むと、イラン国境の峠へとつながる。
峠越えの道は険しく、アチコチに故障したトラックが放置されたままになっている。
ここは、パキスタンであるから、もちろん、”デコトラ”だ。
運転手たちが、思い思いの装飾を施している。
LPGを積んだタンクローリーも、よく見かけた。
「悪路を運ぶより、船で運んだ方が良いのでは?」とガイドに問えば、
多くは「イリーガル」だと答えた。
どうやら、複雑な事情がありそうだ。