特別養護老人ホーム ~ プライバシー保護と給付のバランス

2013-09-19 20:20:56 | 日記
昨日の厚生労働省・社会保障審議会介護保険部会(第48回)では、特別養護老人ホームに係る論点として以下の(1)~(4)が提起された。これらについて、介護保険財政の持続性を維持する観点からは、それぞれ以下の通りの方向で検討していくべきだ。

(1)特養への入所を希望しながら、在宅での生活を余儀なくされている高齢者も数多く存在していることなども踏まえ、特養については、中重度で、在宅での生活が困難である要介護者を支える施設としての機能に重点化を図るべきではないか。そのためには、既入所者の継続入所にも配慮しつつ、特別養護老人ホームへの入所を要介護3以上に限定するべきではないか。
(2)特養の重点化に伴い、特養で最期を迎える選択をする高齢者の割合は増加することが見込まれることから、今後、特養においては、看取りを行うことのできる体制をより一層強化していくべきではないか。

 → 特養の入所者構成については、中重度(要介護3~5)の要介護者比率が年々増加してきており、直近(平成23年現在)では約9割にまで上ってきている。この傾向を逆戻りさせることは合理的とは思えないので、中重度の要介護者への重点化は必然な流れだと言える。
 → 特養は『終の住処』である。看取りの体制強化は必須であろう。死亡場所については、病院である場合が8割弱で、特養など老人ホームである場合は1割にも満たない。これは必ずしも高齢者だけを対象とした統計ではないが、病院ではなく老人ホームが『終の住処』としての機能を更に発揮していくような工夫は、介護保険財政のみならず、医療保険財政の観点からも重要だ。


(3)あわせて、軽度の要介護者(要介護1及び2)を含めた低所得高齢者の住まいを確保していく必要があるが、どのような取組を進めていくべきか。

 → 政府の方針として特養を要介護3~5の人に重点化していく以上、要介護1・2の人の住まい確保について政府が責任を持って務めていくのは当然だ。住まいの本質は寝泊まりできるという居住機能であろう。であれば、特養の代替施設を更地から建設するのではなく、既存の空家の活用など新規の介護サービス事業の他、宿泊デイサービスなど居住機能を持つ既出の介護サービス事業などの有効活用を進めていくべきである。

(4)このほか、これまで特養の個室ユニット化を推進しているところであるが、現状、多くの多床室が存在しており、居室定員についても、一定数の自治体が、地域の実情に応じて、条例で多床室を認めているという実態に鑑みると、多床室の場合であっても、高齢者の尊厳を保持する観点から、プライバシーの保護に配慮をしていくべきと考えるが、どうか。また、この場合、多床室におけるプライバシーの確保をどのように図っていくべきか。

 → 特養の個室ユニット化は確かに推進されてきているようだが、はっきり言って、その方針は転換すべきだ。下の資料1~3を見れば明らかで、プライバシー保護の必要性は理解できなくもないが、そのために費用が相当嵩んでいることがわかる。これをこのまま推進しようとしても、介護保険財政の持続性を維持する観点からは容認されないのではないか。プライバシー保護と給付水準を天秤にかける必要があるが、答えは自明である。プライバシー保護を理由とした給付水準高止まりは容認され続けるべきではない


<資料1>

(出所:厚生労働省)


<資料2>

(出所:厚生労働省)


<資料3>

(出所:厚生労働省)

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