老健入所者の退所先希望 ~ 「自宅」は本人が20~30%であるのに対して、家族はたった4~9%・・・ 

2014-10-16 23:36:33 | 日記
いわゆる介護保険3施設とは、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム(特養))、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設(介護療養病床)がある。利用者数(平成24年10月現在)で見ると、特養が約49.8万人、老健が約34.4万人、介護療養病床が約7.5万人となっている。詳細は資料1を参照されたい。

今日開かれた厚生労働省・社会保障審議会の第6回介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会で配布された資料『介護老人保健施設の在宅復帰支援に関する調査研究事業(速報版)』では、老健入所者の事情などについて興味深い調査結果が示されている。

このうち、資料2では入所目的についての調査結果が出ており、本人の事情としては「リハビリテーション」が58.3%で最多、家族の事情としては「自宅介護の困難」が85.2%で最多。また、資料3では、退所先の希望についての調査結果が出ており、本人の約20~30%が「自宅」を希望しているのに対し、家族が「自宅」を希望しているのは4~9%程度。

老健は在宅復帰を本来目的とする施設である。利用者やその家族が本当に理解しているか、理解はしていても在宅復帰はもともと念頭に置いてはいないのか等々いずれにしても、老健が終の棲家となりつつあることは数字により示されている。本人と家族の意識の相違は、特に驚くことではない。実際に自分の周囲での出来事を考えれば、退所先として積極的に自宅で歓迎する家族の割合が少ないのは、大いに頷ける。切ない話ではあるが、それが現実というものだ。

特養が老健化することはないだろうが、老健が特養化することは今後ますます増えていくと予想する。それを見据えた政策転換を明確に打ち出していくべきだ。もちろん、介護財政の持続性維持が大前提となる。そのためには、介護保険事業の質と量の一方又は両方に関して、必要な合理化も進めていくことになるだろう。介護保険事業は、ナショナルミニマムであって、ナショナルマキシマムではない。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料


<資料3>

(出所:厚生労働省資料

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