先月20日の厚生労働省発表によると、認可保育所への入所を希望しても入れなかった待機児童は、昨年10月1日時点で全国に43,184人だったとのこと。ここで言う「待機児童」とは、上記の通り、認可保育所に入所希望を出しておきながら入所できなかった児童のこと。
では、認可保育所への入所申込みをしているかどうかを問わない『真の待機児童数(=潜在的にいる全ての待機児童数)』はいったいどのくらいいるのだろうか?
私が試算すると、概ね180万人〜360万人の規模となる。これほどバラツキがあるのは、試算の前提によって結果が大きく異なることを示している。もっとも、これは私の試算に過ぎないので、厚労省が公式に『真の待機児童数』の数を試算ないし把握しておくべきだ。
待機児童の解消が少子化対策や労働力確保策の点で喫緊の課題であること、今さら論を待たない。政策のターゲットになるべき『真の待機児童数』が、今は"認可保育所の入所申込み者"だけに限られている。これはもはや、不合理どころではなく不公平だ。
下の資料にあるように、毎年4月と10月の待機児童数では大きな差がある。4月集計と10月集計に違いがあるのは、年度途中での認可保育所申込みが4月の新年度入所で大幅に減るといった理由による。
この資料からわかるように、認可保育所の待機児童数では3歳未満が約9割を占めている。これは、年齢が低い児童ほど保育サービス供給量が少ないということだ。自分の周囲を見ても言えることだが、児童の年齢で大差がある保育サービス政策では少子化対策にも労働力確保策にもならない。
社会保障分野において高齢者対策分野から子ども子育て分野への予算配分を手厚くしていくとともに、実際の保育ニーズを重々踏まえた保育サービス供給体制を構築していくべきだ。
2017年4月に予定されている消費増税は嫌に決まっている。だが、これにより待機児童対策など子ども子育て政策に充てる財源が確保されるのであれば、許容せざるを得ない。社会保障は、高齢世代のためだけではなく、現役若年世代のためのものでもあると、我々は改めて認識していく必要がある。
<資料>

(出所:厚生労働省「保育所入所待機児童数(平成26年10月))
では、認可保育所への入所申込みをしているかどうかを問わない『真の待機児童数(=潜在的にいる全ての待機児童数)』はいったいどのくらいいるのだろうか?
私が試算すると、概ね180万人〜360万人の規模となる。これほどバラツキがあるのは、試算の前提によって結果が大きく異なることを示している。もっとも、これは私の試算に過ぎないので、厚労省が公式に『真の待機児童数』の数を試算ないし把握しておくべきだ。
待機児童の解消が少子化対策や労働力確保策の点で喫緊の課題であること、今さら論を待たない。政策のターゲットになるべき『真の待機児童数』が、今は"認可保育所の入所申込み者"だけに限られている。これはもはや、不合理どころではなく不公平だ。
下の資料にあるように、毎年4月と10月の待機児童数では大きな差がある。4月集計と10月集計に違いがあるのは、年度途中での認可保育所申込みが4月の新年度入所で大幅に減るといった理由による。
この資料からわかるように、認可保育所の待機児童数では3歳未満が約9割を占めている。これは、年齢が低い児童ほど保育サービス供給量が少ないということだ。自分の周囲を見ても言えることだが、児童の年齢で大差がある保育サービス政策では少子化対策にも労働力確保策にもならない。
社会保障分野において高齢者対策分野から子ども子育て分野への予算配分を手厚くしていくとともに、実際の保育ニーズを重々踏まえた保育サービス供給体制を構築していくべきだ。
2017年4月に予定されている消費増税は嫌に決まっている。だが、これにより待機児童対策など子ども子育て政策に充てる財源が確保されるのであれば、許容せざるを得ない。社会保障は、高齢世代のためだけではなく、現役若年世代のためのものでもあると、我々は改めて認識していく必要がある。
<資料>

(出所:厚生労働省「保育所入所待機児童数(平成26年10月))
毎月20日、総務省統計局が発表している人口推計。平成27年3月報の概要は次の通り。
【平成27年3月1日現在(概算値)】
・総人口 1億2691万人(前年同月比▲22万人(▲0.18%))
【平成26年10月1日現在(確定値)】
・総人口 1億2708万3千人(前年同月比▲21万5千人(▲0.17%))
・0~14歳人口 1623万3千人(前年同月比▲15万7千人(▲0.96%))
・15~64歳人口 7785万人(前年同月比▲116万人(▲1.47%))
・65歳以上人口 3300万人(前年同月比+110万2千人(+3.45%))
・日本人人口 1億2543万1千人(前年同月比▲27万3千人(▲0.22%))
これだけでも様々なことが読み取れる。総人口に関しては下の資料1の通りで、年齢層別で見ると、若年層が減り、高齢者層が増えている。少子高齢化が確実に進行しているのだ。こうした実態が、労働力確保のための移民政策を着想させていく。移民政策は、政治的には実現性が極めて乏しいだろうが、政策的には十分あり得る話だ。
総人口推移は下の資料2のようになる。支える側と支えられる側の面積比が逆転しているので、それを踏まえた社会保障制度に変更していく必要がある。今からでも遅くはない、などと悠長なことを言っている場合ではない。実は遅きに失している部分もある。
若い親が幼子を育てる時代は永久に続くだろうが、年老いた親を働き盛りの子どもが支える時代は終わらせなければならなくなるだろう。現行の社会保障制度が行き詰ろうとしているのは、現行制度の発案時の人口ピラミッドの形が変形してきているからだ。
<資料1>

(出所:総務省統計局「人口推計 平成27年3月報」)
<資料2>

(出所:国立社会保障・人口問題研究所HP)
【平成27年3月1日現在(概算値)】
・総人口 1億2691万人(前年同月比▲22万人(▲0.18%))
【平成26年10月1日現在(確定値)】
・総人口 1億2708万3千人(前年同月比▲21万5千人(▲0.17%))
・0~14歳人口 1623万3千人(前年同月比▲15万7千人(▲0.96%))
・15~64歳人口 7785万人(前年同月比▲116万人(▲1.47%))
・65歳以上人口 3300万人(前年同月比+110万2千人(+3.45%))
・日本人人口 1億2543万1千人(前年同月比▲27万3千人(▲0.22%))
これだけでも様々なことが読み取れる。総人口に関しては下の資料1の通りで、年齢層別で見ると、若年層が減り、高齢者層が増えている。少子高齢化が確実に進行しているのだ。こうした実態が、労働力確保のための移民政策を着想させていく。移民政策は、政治的には実現性が極めて乏しいだろうが、政策的には十分あり得る話だ。
総人口推移は下の資料2のようになる。支える側と支えられる側の面積比が逆転しているので、それを踏まえた社会保障制度に変更していく必要がある。今からでも遅くはない、などと悠長なことを言っている場合ではない。実は遅きに失している部分もある。
若い親が幼子を育てる時代は永久に続くだろうが、年老いた親を働き盛りの子どもが支える時代は終わらせなければならなくなるだろう。現行の社会保障制度が行き詰ろうとしているのは、現行制度の発案時の人口ピラミッドの形が変形してきているからだ。
<資料1>

(出所:総務省統計局「人口推計 平成27年3月報」)
<資料2>

(出所:国立社会保障・人口問題研究所HP)
昨日、財務省と経済産業省はそれぞれ、日本政策投資銀行(政投銀)と商工組合中央金庫(商工中金)の完全民営化を事実上行わないための法案を国会に提出した。完全民営化とは、政府が株式の全部を処分することを意味する。正式な法案の国会提出について報じているのは現時点で日本経済新聞と時事通信だけ。

(出所:日本経済新聞)
法案の内容を端的に言うと、政投銀と商工中金について、2015年度から約5~7年間を期限として政府保有株式の全部を処分すると規定しているが、危機対応業務や成長資金供給のためにこの期限を事実上なくすよう改正しようというもの。これを法案の条文ではどう書かれているのか、一般にはあまり眼にすることはないだろうが、案外面白いので紹介しておくと、次の通り。
◎政投銀:「平成27年4月1日から起算しておおむね5年後から7年後を目途として、その全部を処分するものとする」→「できる限り早期にその全部を処分するものとする」に改正
◎商工中金:「平成27年4月1日から起算しておおむね5年後から7年後を目途として、その全部を処分するものとする」→「できる限り早期にその全部を処分するものとする」に改正
両方とも同じ条文だが、これは財務省と経済産業省ですり合わせたからであろう。それは良いとして、面白いのは条文の書き方。株式処分の期限を「平成27年4月1日から起算しておおむね5〜7年を目途として」いたのを、「できる限り早期に」に書き換えた。これを読むと、一般的な感覚としては、「平成27年4月1日から起算しておおむね5〜7年」である平成32〜34年に全部処分する予定を、「できる限り早期に」(つまり平成32年よりも早い段階で)全部処分するので、完全民営化時期は早まったと思うのではないだろうか。
しかし、そうではない。役所の感覚からすると、この場合の「できる限り早期に」というのは、『期限を撤廃したのだから事実上の無期延期』と同義なのだ。危機対応業務や成長資金供給は、永久に必要だからである。「できる限り早期に」の「できる」時期は永遠に来ない。
こういう条文の書き方はかなりトリッキーではあるので、決して褒められるものとは思えない。しかし、法案の趣旨は決して不適格ではない。むしろ、政投銀や商工中金のような官営金融機関を完全民営化しようとする方が冷静さを失っていたとさえ思う。官営組織の民営化が流行ったは、小泉純一郎政権時代に過熱した“郵政民営化路線”の名残であろう。10年前に「改革」と思われていたものであっても、10年後の今になって冷静に考えると「改悪」であると気付くものも数多ある。「改革」には想像力が必須なのだ。
官営金融機関を廃止しても、危機対応業務や成長資金供給は政府補助付きで民間金融機関に委ねれば足りる、という話もなくはない。しかし、官営金融機関の廃止後に、危機対応業務や成長資金供給を最も合理的に行う体制とはどのようなものかを検討した結果、現行の官営金融機関の存続が是となれば、それが最善の解となる。危機が起こった時にあたふたするよりも、危機対応専業の機関を保有している方が、政府としても何かと便利ということだ。
少子高齢社会に突入し、それが今後当面の最大の政策課題であることを考えると、“規制緩和・自由化・民営化”を絶対善とする思考回路を停止させる必要がある。このまま低成長が続くとなると、“狭義の自由化・民営化”どころか、“広義の規制化・官営化”への政策ニーズが高まる分野が増えてくるはずだ。現に、そうなっている。社会保障が国民経済社会の安全網である以上、そうなっていくのは自然なこと。好ましいことではないが、不自然なことではない。

(出所:日本経済新聞)
法案の内容を端的に言うと、政投銀と商工中金について、2015年度から約5~7年間を期限として政府保有株式の全部を処分すると規定しているが、危機対応業務や成長資金供給のためにこの期限を事実上なくすよう改正しようというもの。これを法案の条文ではどう書かれているのか、一般にはあまり眼にすることはないだろうが、案外面白いので紹介しておくと、次の通り。
◎政投銀:「平成27年4月1日から起算しておおむね5年後から7年後を目途として、その全部を処分するものとする」→「できる限り早期にその全部を処分するものとする」に改正
◎商工中金:「平成27年4月1日から起算しておおむね5年後から7年後を目途として、その全部を処分するものとする」→「できる限り早期にその全部を処分するものとする」に改正
両方とも同じ条文だが、これは財務省と経済産業省ですり合わせたからであろう。それは良いとして、面白いのは条文の書き方。株式処分の期限を「平成27年4月1日から起算しておおむね5〜7年を目途として」いたのを、「できる限り早期に」に書き換えた。これを読むと、一般的な感覚としては、「平成27年4月1日から起算しておおむね5〜7年」である平成32〜34年に全部処分する予定を、「できる限り早期に」(つまり平成32年よりも早い段階で)全部処分するので、完全民営化時期は早まったと思うのではないだろうか。
しかし、そうではない。役所の感覚からすると、この場合の「できる限り早期に」というのは、『期限を撤廃したのだから事実上の無期延期』と同義なのだ。危機対応業務や成長資金供給は、永久に必要だからである。「できる限り早期に」の「できる」時期は永遠に来ない。
こういう条文の書き方はかなりトリッキーではあるので、決して褒められるものとは思えない。しかし、法案の趣旨は決して不適格ではない。むしろ、政投銀や商工中金のような官営金融機関を完全民営化しようとする方が冷静さを失っていたとさえ思う。官営組織の民営化が流行ったは、小泉純一郎政権時代に過熱した“郵政民営化路線”の名残であろう。10年前に「改革」と思われていたものであっても、10年後の今になって冷静に考えると「改悪」であると気付くものも数多ある。「改革」には想像力が必須なのだ。
官営金融機関を廃止しても、危機対応業務や成長資金供給は政府補助付きで民間金融機関に委ねれば足りる、という話もなくはない。しかし、官営金融機関の廃止後に、危機対応業務や成長資金供給を最も合理的に行う体制とはどのようなものかを検討した結果、現行の官営金融機関の存続が是となれば、それが最善の解となる。危機が起こった時にあたふたするよりも、危機対応専業の機関を保有している方が、政府としても何かと便利ということだ。
少子高齢社会に突入し、それが今後当面の最大の政策課題であることを考えると、“規制緩和・自由化・民営化”を絶対善とする思考回路を停止させる必要がある。このまま低成長が続くとなると、“狭義の自由化・民営化”どころか、“広義の規制化・官営化”への政策ニーズが高まる分野が増えてくるはずだ。現に、そうなっている。社会保障が国民経済社会の安全網である以上、そうなっていくのは自然なこと。好ましいことではないが、不自然なことではない。
「認知症コスト」と「健康維持コスト」 ~ 認知症予防にどのくらいのコストをかけるべきか?
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http://www.gadgetwear.net/2015/01/blog-post_28.html
ライブドア・ニュース
http://news.livedoor.com/article/detail/9721994/
夕刊アメーバニュース
http://yukan-news.ameba.jp/20150128-7/
ビッグローブ・ニュース
http://news.biglobe.ne.jp/economy/0128/gdw_150128_4775345246.html
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今日、平成27年度政府予算案が閣議決定された。毎度のように、何ら修正されることなく国会で成立すると見込まれる。一般会計の歳出の構成とこれまでの推移は、それぞれ下の資料1・資料2の通り。
社会保障、国債費、地方交付税交付金等の順で、その他の費目の水準と合わせて、これらは近年殆ど変わっていない。社会保障関係費と国債費はともに拡大してきているが、その他の費目は概ね横這いで推移してきていることがわかる。国債費が積み上がった理由は、必ずしも社会保障関係費の増加だけではない。1990年代に景気対策の名目で頻繁に公共事業を多発したことも大きな理由の一つだ。
今は公共事業関係費はピーク時に比して6割程度削減されている。代わって大きな比重を占めているのが、社会保障関係費。今後は、社会保障関係費を全体として削減するとともに、個別には子ども子育て財源の確保のために、高齢者向け予算を特に合理化していく以外に道はない。
<資料1>

(出所:財務省資料)
<資料2>

(出所:財務省資料)
社会保障、国債費、地方交付税交付金等の順で、その他の費目の水準と合わせて、これらは近年殆ど変わっていない。社会保障関係費と国債費はともに拡大してきているが、その他の費目は概ね横這いで推移してきていることがわかる。国債費が積み上がった理由は、必ずしも社会保障関係費の増加だけではない。1990年代に景気対策の名目で頻繁に公共事業を多発したことも大きな理由の一つだ。
今は公共事業関係費はピーク時に比して6割程度削減されている。代わって大きな比重を占めているのが、社会保障関係費。今後は、社会保障関係費を全体として削減するとともに、個別には子ども子育て財源の確保のために、高齢者向け予算を特に合理化していく以外に道はない。
<資料1>

(出所:財務省資料)
<資料2>

(出所:財務省資料)
各紙などで既報の通り、来年度予算案において介護報酬改定率は▲2.27%で決着する見通し(資料1)。介護財政は以前から逼迫しているが、今後更にその傾向は悪化することは明らかとなっている。今回の介護報酬改定において改定率が大きなマイナス幅になったことは、介護産業界にとって打撃かどうかというよりも、要介護・要支援の高齢者を抱える現役世代の家庭にとって打撃かどうかを注視していく必要がある。
▲2.27%とは、介護保険サービス市場規模の自然増から約2300億円の減額と計算される。介護市場について、介護保険サービス市場に限って考えると、公的財源に限度があるので、その限られた財源の分捕り合戦となる。それは、他の公的サービス市場においても類例は多々ある。保育市場などは最たる例だ。
では今後、介護保険サービス市場はどのように展望していくべきかとなるが、ヒントを与えるのは介護保険サービス市場の実態と財源の見通しであろう。概ねの傾向として、「施設」より「居宅」が伸びており、「地域密着型」も増えつつある(資料2)。介護財政面からの費用対効果を重々ふ踏まえた介護保険制度に適宜改正していく必要があるが、これまでは必ずしもそうでない部分もあった。
介護報酬がプラス改定だろうがマイナス改定だろうが、介護保険サービスへのニーズは増えてきた(資料3)。今後当面はこの傾向は続くであろうから、介護保険サービスの費用対効果を今までよりも相当高めていかないと、介護保険制度の利用者ないし利用希望者どうしで格差が更に広がるだろう。結論から言うと、介護保険サービスの量を減らさないためには、介護保険サービスの質を減らしていくしかないのではないか。
来年度から、介護財政の範囲内での介護規制の緩和を真剣に模索していくべきだ。介護の世界は、とかく美辞麗句の精神論が蔓延しがちに見える。だが、「介護はビジネス」との割切りが公式の場で堂々と語られていく必要性が出てくるはずだ。介護報酬のマイナス改定で介護事業者が淘汰される可能性を懸念する介護事業者の声が報道されること自体、まさにそういうことだ。
<資料1>

(出所:東京新聞ネット記事)
<資料2>

(出所:財務省資料)
<資料3>

(出所:財務省資料)
▲2.27%とは、介護保険サービス市場規模の自然増から約2300億円の減額と計算される。介護市場について、介護保険サービス市場に限って考えると、公的財源に限度があるので、その限られた財源の分捕り合戦となる。それは、他の公的サービス市場においても類例は多々ある。保育市場などは最たる例だ。
では今後、介護保険サービス市場はどのように展望していくべきかとなるが、ヒントを与えるのは介護保険サービス市場の実態と財源の見通しであろう。概ねの傾向として、「施設」より「居宅」が伸びており、「地域密着型」も増えつつある(資料2)。介護財政面からの費用対効果を重々ふ踏まえた介護保険制度に適宜改正していく必要があるが、これまでは必ずしもそうでない部分もあった。
介護報酬がプラス改定だろうがマイナス改定だろうが、介護保険サービスへのニーズは増えてきた(資料3)。今後当面はこの傾向は続くであろうから、介護保険サービスの費用対効果を今までよりも相当高めていかないと、介護保険制度の利用者ないし利用希望者どうしで格差が更に広がるだろう。結論から言うと、介護保険サービスの量を減らさないためには、介護保険サービスの質を減らしていくしかないのではないか。
来年度から、介護財政の範囲内での介護規制の緩和を真剣に模索していくべきだ。介護の世界は、とかく美辞麗句の精神論が蔓延しがちに見える。だが、「介護はビジネス」との割切りが公式の場で堂々と語られていく必要性が出てくるはずだ。介護報酬のマイナス改定で介護事業者が淘汰される可能性を懸念する介護事業者の声が報道されること自体、まさにそういうことだ。
<資料1>

(出所:東京新聞ネット記事)
<資料2>

(出所:財務省資料)
<資料3>

(出所:財務省資料)
昨日の毎日新聞ネット記事によると、認知症の人の数は2025年に最大で約730万人になるとの厚生労働省研究班の試算が明らかになったとのこと。認知症の人は2012年時点で約462万人、65歳以上の7人に1人であるところ、2025年には65歳以上の5人に1人になるわけだ。
そもそも、認知症とはどういうものなのか?厚労省によると、次のようなことを指す。
脳は、私たちのほとんどあらゆる活動をコントロールしている司令塔です。それがうまく働かなければ、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなります。
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6ヵ月以上継続)を指します。
認知症を引き起こす病気のうち、もっとも多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気です。アルツハイマー病、前頭・側頭型認知症、レビー小体病などがこの「変性疾患」にあたります。
続いて多いのが、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などのために、神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その結果その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症です。
2012年時点での『認知症ピラミッド』(下の資料)を見ると、頂角の黄色い部分(約462万人)が「認知症有病者数」。正常と認知症の中間の人である「MCI」も含めて広めに捉えると、認知症又はその予備軍は862万人にのぼる。
この『認知症ピラミッド』において、上層の人々を下層の人々が支えなくてはならない。しかし、より根本的には、認知症になる人を減らし、健常者のままでいる人を増やすようにする必要がある。
認知症にならないためには、どうすれば良いのか?健常者でいるためには、どうすれば良いのか?生活スタイルを改善・維持するべきなのか、食事を改善するのか、薬に頼るのか、機械・器具に頼るのか?
言い換えれば、認知症にならないための『健康維持コスト』の金額について、どのように考えていけば良いのか?
認知症介護にかかる費用は、例えば介護保険・地域密着型サービスを利用する場合、要支援1〜要介護5で月々5万円〜36万円(うち自己負担は5千円〜3万6千円)、年間60万円〜432万円(うち自己負担は6万円〜43万円)。こうした“認知症コスト”との比較で考えていくと、自ずと『健康維持コスト』として払っても良い金額が想定できるのではないだろうか。
<資料>

(出所:厚生労働省資料)
そもそも、認知症とはどういうものなのか?厚労省によると、次のようなことを指す。
脳は、私たちのほとんどあらゆる活動をコントロールしている司令塔です。それがうまく働かなければ、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなります。
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6ヵ月以上継続)を指します。
認知症を引き起こす病気のうち、もっとも多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気です。アルツハイマー病、前頭・側頭型認知症、レビー小体病などがこの「変性疾患」にあたります。
続いて多いのが、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などのために、神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その結果その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症です。
2012年時点での『認知症ピラミッド』(下の資料)を見ると、頂角の黄色い部分(約462万人)が「認知症有病者数」。正常と認知症の中間の人である「MCI」も含めて広めに捉えると、認知症又はその予備軍は862万人にのぼる。
この『認知症ピラミッド』において、上層の人々を下層の人々が支えなくてはならない。しかし、より根本的には、認知症になる人を減らし、健常者のままでいる人を増やすようにする必要がある。
認知症にならないためには、どうすれば良いのか?健常者でいるためには、どうすれば良いのか?生活スタイルを改善・維持するべきなのか、食事を改善するのか、薬に頼るのか、機械・器具に頼るのか?
言い換えれば、認知症にならないための『健康維持コスト』の金額について、どのように考えていけば良いのか?
認知症介護にかかる費用は、例えば介護保険・地域密着型サービスを利用する場合、要支援1〜要介護5で月々5万円〜36万円(うち自己負担は5千円〜3万6千円)、年間60万円〜432万円(うち自己負担は6万円〜43万円)。こうした“認知症コスト”との比較で考えていくと、自ずと『健康維持コスト』として払っても良い金額が想定できるのではないだろうか。
<資料>

(出所:厚生労働省資料)
介護報酬引下げ 〜 「介護の質・量」の低下は許容すべし
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http://www.gadgetwear.net/2015/01/blog-post_21.html
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http://news.livedoor.com/article/detail/9651172/
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BIGLOBEニュース
http://news.biglobe.ne.jp/economy/0108/gdw_150108_2600106727.html
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消費税の軽減税率の功罪 軽減税率の導入が新たな政治利権を産み出す?
エキサイト・ニュース http://www.excite.co.jp/News/society_clm/20150102/Mediagong_7116.html
インフォシーク・ニュース http://news.infoseek.co.jp/article/mediagong_7116
メディアゴン http://mediagong.jp/?p=7116
エキサイト・ニュース http://www.excite.co.jp/News/society_clm/20150102/Mediagong_7116.html
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平成27年(2015年)は未(ひつじ)年。一昨日の総務省発表によると、未年生まれの人口は1,007万人(男性488万人、女性519万人)で昭和42年(1967生)生まれが最多(資料1)。新成人人口は126万人(男性65万人、女性61万人)で前年比5万人増、新成人人口は21年ぶりに増加とのこと。
しかし、少子高齢社会に突入している日本では、今後は新成人人口も当然減っていくことになる。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、今後の新成人人口は、微増微減しながら減少傾向で推移し、平成37年には110万人を下回ると見込みらしい(資料2)。
厚生労働省が昨日発表した「平成26年(2014)人口動態統計の年間推計」によれば、昨年の人口動態統計の年間推計は次の通りとなった。
○出生数:100万1000人
○死亡数:126万9000人
○自然増減数:▲26万8000人
○婚姻件数:64万9000組
○離婚件数:22万2000組
死亡数は増加傾向にあるが、出生数の減り方が激しい。少子化高齢社会になっていることが、この推移からもわかる(資料3)。死亡数が自然減として増えるのは構わないが、出生数が増えないのは何とかしないといけない。これを好転させる妙案はなかなか見当たらない。更に進む少子高齢社会を前提とした中長期的な人口集中政策が必要となる。
<資料1>

(出所:総務省統計局資料)
<資料2>

(出所:総務省統計局資料)
<資料3>

(出所:厚生労働省「平成26年(2014)人口動態統計の年間推計」)
しかし、少子高齢社会に突入している日本では、今後は新成人人口も当然減っていくことになる。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、今後の新成人人口は、微増微減しながら減少傾向で推移し、平成37年には110万人を下回ると見込みらしい(資料2)。
厚生労働省が昨日発表した「平成26年(2014)人口動態統計の年間推計」によれば、昨年の人口動態統計の年間推計は次の通りとなった。
○出生数:100万1000人
○死亡数:126万9000人
○自然増減数:▲26万8000人
○婚姻件数:64万9000組
○離婚件数:22万2000組
死亡数は増加傾向にあるが、出生数の減り方が激しい。少子化高齢社会になっていることが、この推移からもわかる(資料3)。死亡数が自然減として増えるのは構わないが、出生数が増えないのは何とかしないといけない。これを好転させる妙案はなかなか見当たらない。更に進む少子高齢社会を前提とした中長期的な人口集中政策が必要となる。
<資料1>

(出所:総務省統計局資料)
<資料2>

(出所:総務省統計局資料)
<資料3>

(出所:厚生労働省「平成26年(2014)人口動態統計の年間推計」)
2015年度の税制は、昨年12月30日に決定された自民党・公明党の「平成27年度税制改正大綱」で書かれた通りに制度変更や政策審議が行われることになる。この中で、今年最も議論になるのは「消費税の軽減税率制度」であろう。この大綱では、消費税の軽減税率について、「関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入する。平成29年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について、早急に具体的な検討を進める」としている。
消費税に軽減税率を導入することの是非はさておき、軽減税率を導入すれば、その分だけ税収減になる。軽減税率の対象分野は、今のところ、飲食料品分野が想定されている。下の資料によると、全ての飲食料品を対象とする場合には1%当たりの税収は6,600億円。これを減税額と呼ぶか、税収減と呼ぶかは、立場によって異なる。
新たな社会保障制度として2015年度に本格スタートを目指している「子ども・子育て支援新制度」に充てられる財源規模は7,000億円。これは、消費税の軽減税率を最大限導入した場合に確保できない財源規模とほぼ同じ水準。社会保障財源を確保するための消費増税で、新たな社会保障制度を賄う規模の財源が確保できないという話である。
別の視点だが、税制改正を巡る毎年のドタバタ劇を思うと、軽減税率の導入は新たな政治利権を産み出すだろう。税にも予算にも政治利権が付いていることは何ら不思議なことではない。しかし、日本の税制を巡る意思決定プロセスを慮ると、消費税であれ他の税制であれ、軽減税率も含めたいわゆる“租税特別措置”的なものは、極力ない方が良い。
ところで、日本新聞協会が新聞に課せられる消費税の軽減税率を要求している。理由は、同協会のHPで「みなさんがニュースや知識を得るための負担を減らすためです。新聞界が軽減税率を求めているのは購読料金に対してです。読者の負担を軽くすることは、活字文化の維持、普及にとって不可欠だと考えています。新聞協会が実施した調査でも、8割を超える国民が軽減税率の導入を求めていて、そのうち4分の3が新聞や書籍にも軽減税率を適用するよう望んでいます」としている。
こんなことを大真面目に発している新聞社には大きな違和感を覚えるが、それはそれとして、政治的に考えれば、新聞に軽減税率が導入されたとしたら、政治がメディアを支配する手法がまた一つ増えることになる。日本の場合、それは功罪両面がある。税負担の公平性の観点からは、新聞に軽減税率が適用されることは、その要望理由からしても甚だ笑止千万と言わざるを得ない。
<資料>

(出所:平成26年6月5日 与党税制協議会「消費税の軽減税率に関する検討について」)
消費税に軽減税率を導入することの是非はさておき、軽減税率を導入すれば、その分だけ税収減になる。軽減税率の対象分野は、今のところ、飲食料品分野が想定されている。下の資料によると、全ての飲食料品を対象とする場合には1%当たりの税収は6,600億円。これを減税額と呼ぶか、税収減と呼ぶかは、立場によって異なる。
新たな社会保障制度として2015年度に本格スタートを目指している「子ども・子育て支援新制度」に充てられる財源規模は7,000億円。これは、消費税の軽減税率を最大限導入した場合に確保できない財源規模とほぼ同じ水準。社会保障財源を確保するための消費増税で、新たな社会保障制度を賄う規模の財源が確保できないという話である。
別の視点だが、税制改正を巡る毎年のドタバタ劇を思うと、軽減税率の導入は新たな政治利権を産み出すだろう。税にも予算にも政治利権が付いていることは何ら不思議なことではない。しかし、日本の税制を巡る意思決定プロセスを慮ると、消費税であれ他の税制であれ、軽減税率も含めたいわゆる“租税特別措置”的なものは、極力ない方が良い。
ところで、日本新聞協会が新聞に課せられる消費税の軽減税率を要求している。理由は、同協会のHPで「みなさんがニュースや知識を得るための負担を減らすためです。新聞界が軽減税率を求めているのは購読料金に対してです。読者の負担を軽くすることは、活字文化の維持、普及にとって不可欠だと考えています。新聞協会が実施した調査でも、8割を超える国民が軽減税率の導入を求めていて、そのうち4分の3が新聞や書籍にも軽減税率を適用するよう望んでいます」としている。
こんなことを大真面目に発している新聞社には大きな違和感を覚えるが、それはそれとして、政治的に考えれば、新聞に軽減税率が導入されたとしたら、政治がメディアを支配する手法がまた一つ増えることになる。日本の場合、それは功罪両面がある。税負担の公平性の観点からは、新聞に軽減税率が適用されることは、その要望理由からしても甚だ笑止千万と言わざるを得ない。
<資料>

(出所:平成26年6月5日 与党税制協議会「消費税の軽減税率に関する検討について」)
昨日決まった自民党・公明党の「平成27年度税制改正大綱」。全部で127ページにも及ぶ書類で、これを全部熟読する人は霞が関にもそういないだろうし、永田町には一人もいないだろう。だがここには一応、今年4月以降に我々国民に課せられる税金の在り方が書かれている。
大手各紙が今日報じている税制改正のポイントを最下部に貼付する。いずれもわかりやすいが、詳しくはない。時間があって関心と興味と根性がある人は、人生で一度くらいは、新聞記事だけではなく、税制改正大綱本体を読んでみるのも悪くないのではないか。ただ、あまりにも無味乾燥で、自分の関係する項目すら非常にわかりにくく書かれているし、読んでいて面白いものでもない。
関心事の一つである消費税に関してだけ、以下に抜粋しておく。要するに、「経済再生と財政健全化を両立するため、平成27年10月に予定していた消費税率10%への引上げ時期は平成29年4月とする。社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの信認を高めるために財政健全化を着実に進める姿勢を示す観点から、平成29年4月の引上げについては、「景気判断条項」を付さずに確実に実施する」ということ。尚、ここには、「アベノミクス」が「「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」からなる経済政策」と定義されている。これは、実はあまり見かけないことだ。矢を四本以上にすると、『新アベノミクス』になるのかもしれない。
―― 第一 平成27年度税制改正の基本的考え方(p1~)
安倍内閣は、これまで、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」からなる経済政策(「アベノミクス」)を一体的に推進してきた。税制面においても、平成25年度及び平成26年度の税制改正を通じて、企業の賃金引上げや設備投資を促進するための措置等を、これまでになく大胆に講じてきた。こうした取組みもあり、就業者数や名目総雇用者所得の増加など雇用・所得環境は改善傾向が続くとともに、企業部門も高水準の経常利益を実現するなど、景気は緩やかな回復基調が続いている。
他方、足下では個人消費等に弱さが見られ、平成26年7-9月期の実質GDP成長率が2四半期連続でマイナス成長となった。また、景気の回復状況にはばらつきがみられ、特に地方や中小企業ではアベノミクスの成果を十分に実感できていない。
このような状況の下、経済再生と財政健全化を両立するため、平成27年10月に予定していた消費税率10%への引上げ時期は平成29年4月とする。社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの信認を高めるために財政健全化を着実に進める姿勢を示す観点から、平成29年4月の引上げについては、「景気判断条項」を付さずに確実に実施する。
<略>
経済再生と財政健全化を両立するため、平成27年10月に予定していた消費税率10%への引上げ時期を平成29年4月とする。社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの信認を高めるために財政健全化を着実に進める姿勢を示す観点から、平成29年4月の消費税率10%への引上げは、「景気判断条項」を付さずに確実に実施する。
―― 第二 平成27年度税制改正の具体的内容(p82~)
1 消費税率(国・地方)の10%への引上げ時期の変更等
(国税)
(1)社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律について、次の措置を講ずる。
①消費税率(国・地方)の10%への引上げの施行日を平成29年4月1日とする。
②消費税率(国・地方)の10%への引上げに係る適用税率の経過措置について、請負工事等に係る適用税率の経過措置の指定日を平成28年10月1日とする等の改正を行う。
③附則第18条第3項を削除する。
④その他所要の措置を講ずる。
(2)消費税率(国・地方)の10%への引上げの施行日を平成29年4月1日とすることにあわせ、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法の期限を平成30年9月30日とする等、関連する法令について、所要の措置を講ずる。
(地方税)
(1)社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律について、次の措置を講ずる。
①消費税率(国・地方)の10%への引上げ等の施行日を平成29 年4月1日とする。
②平成29年度における地方消費税額について、その19分の10(本則22分の10)を社会保障財源化分以外とし、その19分の9(本則22分の12)を社会保障財源化分とする経過措置を講ずる。
③附則第19条第3項を削除する。
④その他所要の措置を講ずる。
この税制改正大綱の最後に「第三 検討事項」という項目があり、そこには20項目が掲載されているが、その中に次のような項目がある。消費増税に関して記述されているのは、この項目だけ。「消費税率が10%に引き上げられることが予定される中、」との挿入句は、それがあってもなくても、「医療機関の仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ抜本的な解決に向けて適切な措置を講ずることができるよう、個々の診療報酬項目に含まれる仕入れ税額相当額分を「見える化」することなどにより実態の正確な把握を行う」べきであるに違いない。こうした細かな点には何らかの意図があることは常だが、今の時点では、出来上がった文言が調整結果であるという理由以外には、理由はわからない。
10 医療に係る消費税等の税制のあり方については、消費税率が10%に引き上げられることが予定される中、医療機関の仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ抜本的な解決に向けて適切な措置を講ずることができるよう、個々の診療報酬項目に含まれる仕入れ税額相当額分を「見える化」することなどにより実態の正確な把握を行う。税制上の措置については、こうした取組みを行いつつ、医療保険制度における手当のあり方の検討等とあわせて、医療関係者、保険者等の意見も踏まえ、総合的に検討し、結論を得る。
<各紙報道より抜粋>

(出所:日本経済新聞ネット記事)

(出所:産経新聞ネット記事)

(出所:読売新聞ネット記事)

(出所:毎日新聞ネット記事)

(出所:朝日新聞ネット記事)

(出所:時事通信ネット記事)

(出所:東京新聞ネット記事)
大手各紙が今日報じている税制改正のポイントを最下部に貼付する。いずれもわかりやすいが、詳しくはない。時間があって関心と興味と根性がある人は、人生で一度くらいは、新聞記事だけではなく、税制改正大綱本体を読んでみるのも悪くないのではないか。ただ、あまりにも無味乾燥で、自分の関係する項目すら非常にわかりにくく書かれているし、読んでいて面白いものでもない。
関心事の一つである消費税に関してだけ、以下に抜粋しておく。要するに、「経済再生と財政健全化を両立するため、平成27年10月に予定していた消費税率10%への引上げ時期は平成29年4月とする。社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの信認を高めるために財政健全化を着実に進める姿勢を示す観点から、平成29年4月の引上げについては、「景気判断条項」を付さずに確実に実施する」ということ。尚、ここには、「アベノミクス」が「「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」からなる経済政策」と定義されている。これは、実はあまり見かけないことだ。矢を四本以上にすると、『新アベノミクス』になるのかもしれない。
―― 第一 平成27年度税制改正の基本的考え方(p1~)
安倍内閣は、これまで、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」からなる経済政策(「アベノミクス」)を一体的に推進してきた。税制面においても、平成25年度及び平成26年度の税制改正を通じて、企業の賃金引上げや設備投資を促進するための措置等を、これまでになく大胆に講じてきた。こうした取組みもあり、就業者数や名目総雇用者所得の増加など雇用・所得環境は改善傾向が続くとともに、企業部門も高水準の経常利益を実現するなど、景気は緩やかな回復基調が続いている。
他方、足下では個人消費等に弱さが見られ、平成26年7-9月期の実質GDP成長率が2四半期連続でマイナス成長となった。また、景気の回復状況にはばらつきがみられ、特に地方や中小企業ではアベノミクスの成果を十分に実感できていない。
このような状況の下、経済再生と財政健全化を両立するため、平成27年10月に予定していた消費税率10%への引上げ時期は平成29年4月とする。社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの信認を高めるために財政健全化を着実に進める姿勢を示す観点から、平成29年4月の引上げについては、「景気判断条項」を付さずに確実に実施する。
<略>
経済再生と財政健全化を両立するため、平成27年10月に予定していた消費税率10%への引上げ時期を平成29年4月とする。社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの信認を高めるために財政健全化を着実に進める姿勢を示す観点から、平成29年4月の消費税率10%への引上げは、「景気判断条項」を付さずに確実に実施する。
―― 第二 平成27年度税制改正の具体的内容(p82~)
1 消費税率(国・地方)の10%への引上げ時期の変更等
(国税)
(1)社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律について、次の措置を講ずる。
①消費税率(国・地方)の10%への引上げの施行日を平成29年4月1日とする。
②消費税率(国・地方)の10%への引上げに係る適用税率の経過措置について、請負工事等に係る適用税率の経過措置の指定日を平成28年10月1日とする等の改正を行う。
③附則第18条第3項を削除する。
④その他所要の措置を講ずる。
(2)消費税率(国・地方)の10%への引上げの施行日を平成29年4月1日とすることにあわせ、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法の期限を平成30年9月30日とする等、関連する法令について、所要の措置を講ずる。
(地方税)
(1)社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律について、次の措置を講ずる。
①消費税率(国・地方)の10%への引上げ等の施行日を平成29 年4月1日とする。
②平成29年度における地方消費税額について、その19分の10(本則22分の10)を社会保障財源化分以外とし、その19分の9(本則22分の12)を社会保障財源化分とする経過措置を講ずる。
③附則第19条第3項を削除する。
④その他所要の措置を講ずる。
この税制改正大綱の最後に「第三 検討事項」という項目があり、そこには20項目が掲載されているが、その中に次のような項目がある。消費増税に関して記述されているのは、この項目だけ。「消費税率が10%に引き上げられることが予定される中、」との挿入句は、それがあってもなくても、「医療機関の仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ抜本的な解決に向けて適切な措置を講ずることができるよう、個々の診療報酬項目に含まれる仕入れ税額相当額分を「見える化」することなどにより実態の正確な把握を行う」べきであるに違いない。こうした細かな点には何らかの意図があることは常だが、今の時点では、出来上がった文言が調整結果であるという理由以外には、理由はわからない。
10 医療に係る消費税等の税制のあり方については、消費税率が10%に引き上げられることが予定される中、医療機関の仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ抜本的な解決に向けて適切な措置を講ずることができるよう、個々の診療報酬項目に含まれる仕入れ税額相当額分を「見える化」することなどにより実態の正確な把握を行う。税制上の措置については、こうした取組みを行いつつ、医療保険制度における手当のあり方の検討等とあわせて、医療関係者、保険者等の意見も踏まえ、総合的に検討し、結論を得る。
<各紙報道より抜粋>

(出所:日本経済新聞ネット記事)

(出所:産経新聞ネット記事)

(出所:読売新聞ネット記事)

(出所:毎日新聞ネット記事)

(出所:朝日新聞ネット記事)

(出所:時事通信ネット記事)

(出所:東京新聞ネット記事)
総務省が今月26日に発表した「労働力調査(基本集計) 平成26年(2014年)11月分(速報)」によると、先月の就業者数や雇用者数、完全失業率などについては次の通り。
・就業者数6371万人(前年同月と同数)
・雇用者数5637万人(前年同月比18万人増)
・正規職員数3281万人(前年同月比29万人減少)
・非正規職員数2012万人(前年同月比48万人増)
・主な産業別就業者の前年同月比:「医療,福祉」などが増、「製造業」などが減
・就業率57.5%(前年同月と同率)
・完全失業者数219万人(前年同月比30万人減少。54か月連続減)
・完全失業率(季節調整値)3.5%(前月と同率)
・非労働力人口4489万人(前年同月比23万人増。7か月ぶり増)
2012年末からの毎月の推移を見ると、下の資料の通り。先のブログ記事で書いたように、賃金水準という点ではアベノミクスの効果が全体にまで波及しているとは言えないが、マクロ雇用情勢という視点では安倍政権になってから好い傾向は着実に続いていた。直近では、就業者数の増加率はゼロ近傍だが、減少には転じていない。個別のミクロ雇用情勢はそれぞれ異なり、『雇用情勢格差』は必然である。
今月14日の総選挙の前からのことだは、アベノミクスへの評価には日に日に厳しいものが出されてきている。旧民主党政権時の酷さとの比較論で維持されている部分もある。経済指標や賃金指標に大きな改善の兆しが見られないのは、政権にとってではなく、国民経済社会にとって痛い。どれに注目するかで評価は変わってくるが、一般的に最も景気動向を体感するのは、実質GDPや賃金の水準であろう。
正規雇用が減り、非正規雇用が増えるという傾向は相変わらずで、非正規雇用は2000万人を突破し、比率は38%になった。ここまで来ると、正規雇用の増加を目指すよりも、正規か非正規かを問わない社会保障・安全網の敷き方を考えていく方が合理的かもしれない。
景気というと、我々国民が肌で感じる最も大きなものは賃金水準であるに違いない。今の傾向が続くにしても、真の景気回復まだ相当の時間を要すると思われる。『失われた20年』を一気に挽回することは無理筋というものだ。
<資料>

(出所:総務省統計局『労働力調査(基本集計) 平成26年(2014年)11月分(速報)』
・就業者数6371万人(前年同月と同数)
・雇用者数5637万人(前年同月比18万人増)
・正規職員数3281万人(前年同月比29万人減少)
・非正規職員数2012万人(前年同月比48万人増)
・主な産業別就業者の前年同月比:「医療,福祉」などが増、「製造業」などが減
・就業率57.5%(前年同月と同率)
・完全失業者数219万人(前年同月比30万人減少。54か月連続減)
・完全失業率(季節調整値)3.5%(前月と同率)
・非労働力人口4489万人(前年同月比23万人増。7か月ぶり増)
2012年末からの毎月の推移を見ると、下の資料の通り。先のブログ記事で書いたように、賃金水準という点ではアベノミクスの効果が全体にまで波及しているとは言えないが、マクロ雇用情勢という視点では安倍政権になってから好い傾向は着実に続いていた。直近では、就業者数の増加率はゼロ近傍だが、減少には転じていない。個別のミクロ雇用情勢はそれぞれ異なり、『雇用情勢格差』は必然である。
今月14日の総選挙の前からのことだは、アベノミクスへの評価には日に日に厳しいものが出されてきている。旧民主党政権時の酷さとの比較論で維持されている部分もある。経済指標や賃金指標に大きな改善の兆しが見られないのは、政権にとってではなく、国民経済社会にとって痛い。どれに注目するかで評価は変わってくるが、一般的に最も景気動向を体感するのは、実質GDPや賃金の水準であろう。
正規雇用が減り、非正規雇用が増えるという傾向は相変わらずで、非正規雇用は2000万人を突破し、比率は38%になった。ここまで来ると、正規雇用の増加を目指すよりも、正規か非正規かを問わない社会保障・安全網の敷き方を考えていく方が合理的かもしれない。
景気というと、我々国民が肌で感じる最も大きなものは賃金水準であるに違いない。今の傾向が続くにしても、真の景気回復まだ相当の時間を要すると思われる。『失われた20年』を一気に挽回することは無理筋というものだ。
<資料>

(出所:総務省統計局『労働力調査(基本集計) 平成26年(2014年)11月分(速報)』
先のブログ記事の続編。厚生労働省が一昨日発表した『毎月勤労統計調査 平成26年11月分結果速報』によると、今年11月の給与水準について報告がなされている。
今月14日の総選挙で、安倍政権は来秋の消費税の再増税(税率8%→10%)を2017年(平成29年)4月に延期することを旨として大勝した。この再増税も、社会保障システムを維持するのに必要な安定財源を確保するためのもので、自民党は再増税に関しては、延期するのと同時に判断基準には景気動向を関わらせないことを公約して総選挙に勝った。
だから、再増税の時期は2017年4月に決まったと考えておくべきだ。とは言え、賃金水準は国民が経済状況を体感する最たる指標となる。今年11月の月間現金給与額は、先月までと違って全体的に前年比でマイナス(資料1)。名目賃金指数を消費者物価指数で除して算出した実質賃金の動きを見ると、ここ1年で明らかに下降傾向(資料2)。
再増税の可否判断に景気動向は関係なくなったとしても、いわゆるアベノミクスの成否を判定する材料として、賃金水準は引き続き最重要の指標の一つであることに違いはない。
<資料1>

(出所:厚生労働省『毎月勤労統計調査 平成26年11月分結果速報』)
<資料2>

(出所:厚生労働省『毎月勤労統計調査 平成26年11月分結果速報』)
今月14日の総選挙で、安倍政権は来秋の消費税の再増税(税率8%→10%)を2017年(平成29年)4月に延期することを旨として大勝した。この再増税も、社会保障システムを維持するのに必要な安定財源を確保するためのもので、自民党は再増税に関しては、延期するのと同時に判断基準には景気動向を関わらせないことを公約して総選挙に勝った。
だから、再増税の時期は2017年4月に決まったと考えておくべきだ。とは言え、賃金水準は国民が経済状況を体感する最たる指標となる。今年11月の月間現金給与額は、先月までと違って全体的に前年比でマイナス(資料1)。名目賃金指数を消費者物価指数で除して算出した実質賃金の動きを見ると、ここ1年で明らかに下降傾向(資料2)。
再増税の可否判断に景気動向は関係なくなったとしても、いわゆるアベノミクスの成否を判定する材料として、賃金水準は引き続き最重要の指標の一つであることに違いはない。
<資料1>

(出所:厚生労働省『毎月勤労統計調査 平成26年11月分結果速報』)
<資料2>

(出所:厚生労働省『毎月勤労統計調査 平成26年11月分結果速報』)