かんちがい

、かも知れないけど、思いついたことを書いていく、ヤマサキタカシの日記です。

ケムリクサと北斗の拳

2021年09月06日 | Weblog
まずはアニメの話は置いておいて、先月観て印象深かった映画の感想を簡単に述べます。


「フィールド・オブ・ドリームズ」

先月は何の気なしに、最近ちょっと埋もれがち?なケビン・コスナーを勝手に再評価しようと、彼の主演作品を2、3本見返していました。
これは1989年の映画です。
子どもの頃に見たことはあったのですが、その時は面白いとは思ったもの、それほどグッとくるものはありませんでした。
が、おっさんになってからこの映画を見返すと、ものすごく泣ける映画になっていました。
おっさん・おばさんになってからは観てないなぁ、という方は、ぜひお勧めします。


「ロード・オブ・カオス」

ノルウェーのブラックメタルバンドの周りで起きた、教会放火など実際の事件を元にした映画です。
私は大学生の頃、ヘビメタ雑誌 BURRN! を愛読していたので、北欧にはヤバい奴らがいる、というのは聞いていました。
ずっとガチの悪魔崇拝者が起こした事件なのだと思っていましたが、実際は厨二病を悪い方へこじらせてしまったことが、悲惨な事件を引き起こしてしまったのかもしれない、という、切ない青春映画でした。
めっさグロいシーンもあるので、視聴注意ではありますが、グロいシーンをエンターテイメントとして描いている感じはなく、「ブラックメタル」というある意味ネガティブなものを取り扱うには、避けえなかったのかもしれないと思いました。
そして映画音楽はシガー・ロスが担当していて、ブラックメタルとは対極の存在というかなんというかですが、映画の切ない感じとはよく合っていると思いました。

映画『ロード・オブ・カオス』シガー・ロスバージョン予告編


それぞれの映画で一本ずつブログを書こうかとも思いましたが、今回は簡単にまとめるだけにしておきます。

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今月は「ケムリクサ」について書いてみようと思います。
ようやく観てみました。

2019年に放送されたアニメです。

監督は「たつき」さんです。

たつき監督は、「けものフレンズ」という動物の萌え擬人化アニメが非常に評価されて、一躍アニメ界に登場した、という感じです。

この「けものフレンズ」にはその後騒動が起こります。

「けものフレンズ」の第2期が決定し、第1期のコアなファンたちは、当然たつき監督の続投を期待しました。

最初はその方向で話は進んでいたようですが、結局たつき監督は第2期からは外れることになります。
ハッキリと原因・真相はわかっていないようなので、ここでは取り上げません。

ネットがざわつく中、「けものフレンズ2」と「ケムリクサ」は同時期に放送されます。

そして前期から世界観が変化してしまった「けものフレンズ2」はネットで大炎上し、「ケムリクサ」は期待を裏切らず高評価を受けた、という、当時はアニメ界隈を大きく騒がせた騒動でした。


当時の私は、炎上で「けものフレンズ」第1期が高評価を受けていたということを知って興味を持ち、まずはけもフレを観てみるわけですが、あまりの萌え要素の強さにあてられてしまい、第1話だけ見てやめてしまいました(笑)

というわけで、「ケムリクサ」もまぁ見なくていいかなと、これまで時が過ぎてしまったのでした。

しかしここ最近は個人的に、新作アニメというよりも、以前のアニメで高評価だったものを観ていることが多いので、そんな中で「ケムリクサ」も観てみることにしました。


これがもう、まごうことなき名作でした。

ネタバレをなるべくせずに、感想・考察を書いていきたいと思います。

簡単なあらすじとしては、荒廃した世界の中で、りつ・りん・りなという”姉妹”たちが、アカムシという蟲のような謎の存在からの攻撃をかわしつつ、生き延びるために水を探し続けています。そんな中、わかばという謎の少年が突然現れ、水を探しながら世界の謎が次第に明らかになっていく…というSFファンタジーです。

©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト


最初見ていて気づいたのは、「北斗の拳」との共通点です。

まずは荒廃した世界が舞台になっている、という点ですね。

そして、ご存知の通り「北斗の拳」の主人公ケンシロウはめっさ強いわけですが、

©️武論尊・原哲夫/NSP・東映アニメーション

「ケムリクサ」でも主人公のりんはめっさ強いです。

©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

また、北斗の拳でも同名のリンちゃんという女の子が登場しますが、こちらは、ケンシロウの表に出さない、優しさ・弱さ・甘さなどを象徴しているキャラとも言えると思います。

©️武論尊・原哲夫/NSP・東映アニメーション

そして「ケムリクサ」でりんの表に出てこない優しさ・弱さ・甘さを象徴しているのは、主に少年のわかばです。

©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

そしてわかばはケムリクサという謎の物体に興味を示し、好奇心の強いキャラとしても描かれているのですが、この「好奇心の強さ」というのは、昔話などでは女性キャラが担うことが多いようです。

©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

例えば、グリム童話などで鍵を預かったお嬢さんが、一番奥の部屋だけは開けてはいけませんよ、と言われたものの、好奇心に負けて開けてしまい問題が起こる、とか、聖書にも最初の女性エバが蛇に唆されて好奇心に負け、禁断の果実を食べてしまうという話が載せられています。


このように、「北斗の拳」と「ケムリクサ」は共通点も多いですが、男性キャラと女性キャラの役割がまるっと入れ替わっているところが興味深いです。

最近の傾向なのか、この点については以前「呪術廻戦」について書いたブログでも触れました。

その他、鉄骨とかなんでも食べてしまう りな はDrスランプのガッちゃんを彷彿とさせたり、旅の移動に使う路面電車はどことなく猫バスとかジブリっぽい感じがして、我々世代のどこか懐かしいものが詰め合わされている感じもします。

©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

ストーリー的には、SFというかファンタジーながら「好きなことを見つける、好きなことをして生きる」という大きなテーマがあります。

世界観の設定もかなり緻密に練られているようで、ストーリー展開も、この問題はどうやって解決するんだろう?とワクワクしながら観ることができ、ラストは号泣しながら見ていました。

久々にいい作品を観ることができました。
これだからアニメ見るのやめられないんですよね。

この作品は、普段アニメ見ない人、例えば、ジブリとかは普通に見るけど深夜アニメはちょっとなぁ、という方にぜひ見てもらいたいですね。

といっても深夜アニメ特有のというか、語尾に「〜にゃ」とか「〜ナ」とか付けるキャラがいて、そういうのを生理的に受け付けない方もいるかもしれません。
語尾をつける意味というのも最後の方で明らかになるのですけどね。

しかしこれは我々アニ豚だけのものにしておくのはもったいない作品だと思いました。

私も気付くのが2年越しになってしまい申し訳ございませんでした。



「ケムリクサ」を見たあとだと、なんだか、「けものフレンズ」を受け入れられるような気がして、改めて1話から見てみましたが、今度はすんなり見ることができました。


©けものフレンズプロジェクトA

「ケムリクサ」は水を探して旅する、「けものフレンズ」は自分の居場所を探して旅する、どちらもロードムービーの要素があります。

第3話まで観ると、あぁこれって単なる萌えアニメではないのね、と気づき始め、第10話のラストから、うおおおおおお!そうだったのか!となり、第11話と第12話で号泣する感じでした。

個人的には、「ケムリクサ」よりも「けものフレンズ」の方が好きかもしれないと思いました。

主人公のかばんちゃんは、臆病で鈍臭くて、初対面の人とタメ口で話せない、もろHSPという感じなのですが、それが自分を見ているような気がすることもあるかもしれません。

さっきまで「ケムリクサ」をあそこまで推しておいて(笑)

まぁある程度アニメを見ていた私も初見では第1話で切ったくらいなので、「けものフレンズ」は難易度が高いと言ってもいいのではないでしょうか(笑)
萌え要素が強すぎて、裏にある緻密な設定とか、メッセージなどに気づきづらいと思います。
実際、第1話放送時には評価はむしろ低めだったみたいですね。

ただ「けものフレンズ」が高評価を受けなければ「ケムリクサ」も生まれなかったわけで、「けものフレンズ」の凄さに気づき高評価をした当時の萌え豚ども…じゃなかったアニメファンの方々には、感謝の念しかありません。

やはり才能のある人は生きているうちに評価されて欲しいですよね。



というところまで書いて、一休みで酒飲みながら第1話をもう一度見返してみましたが、伏線と思ってなかったところまで第12話で綺麗に回収されていることがわかり、涙が出ました。

岡田斗司夫さんじゃないですけど、一シーンずつ解説したくなるような感じですね!



というわけで「けものフレンズ2」なのですが。

ネットではニコニコ生放送のアンケートで低評価の記録を塗り替えるなど、大炎上したようです。

ただ、ネットの意見を鵜呑みにしても仕方がない。
一通り全て観てみました。

感想は…そうですね、個人的にはあまりグッとくるものはなかったです。

ところどころ引っかかるなぁ、と思って、何が原因かと思ったのですが、考えると、第1期ではあまり感じなかった「権力」の概念がチラッと感じられるところかもしれないなぁと思いました。

あと、問題のイエイヌちゃんは、僕だったら旅の仲間に加えるなぁ、と思いました。
犬は家よりも人間につくって聞きますし。

ただ、第1期が素晴らしすぎたので、何をやっても炎上した可能性はあります。

むしろ第2期は割り切って、コンセプトデザイン吉崎観音さんの「ケロロ軍曹」みたくちょっとドギツいギャグ路線で行った方が、第1期のファンは離れていくでしょうが、新たなファンはついたかもしれないなぁ、と勝手に思いました。

もしたつき監督が第2期を手がけていても炎上した可能性は十分あるとは思います。

「けものフレンズ」「ケムリクサ」と高評価を叩き出したたつき監督ですが、次作のプレッシャーも相当なものでしょう。

ある意味、「けものフレンズ」と「ケムリクサ」って ”同じ” だと思うんですよね。

もし次作も素晴らしい作品を生み出すことができれば、宮崎駿クラスの天才ということになるでしょうが、あまり無理しないでのんびりやって欲しいなぁとも思います。



実は、今期は「探偵はもう、死んでいる」とか、「ピーチボーイリバーサイド」など、気になっている作品はあるのですが、まだ手をつけていません。

むしろ「けものフレンズ」の2周目が楽しくて仕方がない感じです。

まぁ、私も一般の人から見れば立派な萌え豚でしょうねぇ。



長い文を最後まで読んでくださりありがとうございました!!

今回のは多分数年後に読むと恥ずかしくなるやつだと思います(笑)