かんちがい

、かも知れないけど、思いついたことを書いていく、ヤマサキタカシの日記です。

時代は「戦うアニマ」を求めているのか

2021年06月06日 | Weblog
ここしばらく、スマホゲームアプリ「ウマ娘 プリティーダービー」が話題になっていました。

ストーリーの簡単な設定としては、馬の耳と尻尾とスピードを持って生まれた「ウマ娘」たちがレースで競馬場を全力疾走し、勝ったウマ娘にはレース後「ウイニングライブ」というステージの、センターで歌って踊る権利が与えられる、というものです。

レースに勝つためにウマ娘たちをトレーニングで鍛えていくシミュレーションゲームです。
ちなみに多くのウマ娘の名前には、実際に活躍した競走馬の名前が使用されています。

当初はアニメとタイアップして2018年冬にリリース予定とされており、アニメ・ゲームファンの間で関心はそれなりに高かったと記憶していますが、諸事情により配信延期となってしまい、ネットでは「ざんねんなアプリ」的なネタ扱いを受けることも多かったような気がします。

それが今年の2月に配信されると、飛ぶ鳥を落とすような勢いで、堂々たる「覇権アプリ」となってしまいました。

わたしとしては、心の何かのタガが外れそうなので美少女育成ものは得意ではないことと、名前が使用されている競走馬はほとんどが牡馬(オス)なので、それを美少女化してもなぁ、という気もあり、あまり関心はありませんでした。

ですが最近CMを見ていると、もしかすると、2年前ではなく今の時代だからこそ、多くの人の心を捉えたのかも知れない、と思うようになりました。

あまりエアプで語るのもアレなので、アニメに関しては第1シーズンを視聴、ゲームもちょびっとだけプレイしてみました。

ゲーム性や競馬との関わりなどは他の方のレビューを参考にしていただくとして、今回はユング心理学にからめて、わたしなりの感想を書いてみたいと思います。

今回はあまりネタバレしないで済むと思います。


まずはいつものように、一番このブログで使うであろうユング心理学用語「アニマ」「アニムス」について簡単に説明しておきますと、

「アニマ」  心の中の女性的な部分、優しさ、柔らかさ、奔放
「アニムス」 心の中の男性的な部分、厳しさ、強さ、規律

という感じです。
今回は「アニムス」には触れないと思います。



まず、アニメ第1期の感想を簡単にいうと、想像以上に良かったです。

勝利後のウイニングライブというアイドル要素があると聞いていたので、心のタガが外れないように丹田に力を入れて見ていたのですが、意外とアイドル要素は少なく、レースを主体としてウマ娘たちの成長を描いている感じでした。

わりと全編を通して泣きながら見ていました。
特に第11話は号泣しました。

何にそんなに心を動かされたのかなあと考えてみると、まぁ先月はリアルでいろいろあったので精神的に疲れていたのもあると思います。

しかしやはり、女の子たちが顔をしかめながら、歯を食いしばって全力疾走する、というイメージが、泣けてきてしょうがなかったような気がします。



それは、走るウマ娘たちのイメージが「戦うアニマ」のイメージと重なるところがあったからだと思っています。

ユングによると、人の心の中のアニマはイメージとして持っていることが多く、成長につれて発展していく、と述べています。

それは、乱暴に簡単なイメージだけいうと、母 → 近所の優しいお姉さん → 娼婦 → 妻 →  聖母マリア → 女神アテナ というように発展していくとのことです。

わたしとしては、それを「発展」と呼べるのかどうか疑問に思っているところはあるのですが、アニマのイメージのカテゴリの一つに「女神アテナ」がある、というのはうなずける話だと思っています。

ユングはこの「女神アテナ」の段階を「叡智の段階」と呼んでおり、アテナが知恵の神であることを考慮に入れたものと思われます。河合先生もそれに倣ったのか、日本的なイメージとして弥勒菩薩などを挙げています。

が、なんとなくわたしにはピンとこないものがありまして。
まぁわたしのアニマが「発展」していないから理解できないのかもしれませんが。

やっぱり、アテナ=戦いの女神、というイメージなんですよねぇ。

というわけでわたしの中では勝手に「戦うアニマ」と解釈しています。

「戦うアニマ」のイメージは、ギリシャの女神アテナだけにとどまらず、北欧神話のワルキューレ(ヴァルキリー)、ジャンヌダルク、日本だと巴御前や「八重の桜」の新島八重など、昔から多くの人々の心を動かしてきたと思います。

そして「走る」という行為は、戦争と平和、どちらかに近いかといえば、「戦う」要素が強いような気がします。


以前の虐げられたアニマ - かんちがいというブログでも書きましたが、コロナ直前までは、不遇な女の子をモチーフにしたアニメをよく目にしたように思います。

ざっと挙げると、ブログでも取り上げた鬼滅の刃の禰󠄀豆子、ヒロアカのエリちゃん、ソマリと森の神様のソマリ、などが思いつきます。


©堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会


©暮石ヤコ/NSP/ソマリと森の神様プロジェクト, mixer

しかしコロナの蔓延により、もはや完全に優しさの失われてしまった世界で、人々は、強いアニマ、「戦うアニマ」のイメージを求め始めているのではないか。
(禰󠄀豆子も「戦うアニマ」としての側面も持っていますね。)

と、ふと思ったのでした。

アニメ「ウマ娘」のシーズン1は2018年の作品。当時はそれほど大きな話題となった記憶はありません。


肝心のゲームの方はどうなのか。

ゲームは一応ダウンロードして、少しプレイしてみたものの、ほぼエアプなので、もし違っているところがあったらコメント欄でのツッコミをお願いいたします。

ゲームに関しては、思っていたよりもレースは淡々と進んでいく感じでした。
まぁ流石にドラマ性をアニメと比べてしまうと酷ですね。

それでも、実況入りのレース模様をゲーム上でそれほど違和感なくシミュレーションできているのはすごいなぁと思いました。

固有スキルまとめ動画などを見ると、キャラが増えて育っていけばスキル演出は熱いものがあるようですし、また手塩にかけて育てたウマ娘なら、脳内補完もされてさらに激アツな展開と感じるだろうなぁと思いました。

わたしはまだいまいちこのゲームにのめりこめていないのですが、キャラが増えて育っていけば、チーム構成をどうしよう!?とか、めちゃめちゃ楽しくなりそうな予感はしています。

ただ、最近歳のせいか、いまいちゲームそのものが楽しくないんですよねぇ…
このゲームに限らず、他のゲームでも、何か一つクエストをクリアすると、はぁ…なんか疲れたなぁ…という感じになってしまいます。

まぁおじさんの弱音はここまでにしますが、ゴルシ先輩がアニメではネタキャラ的存在だったのが、ゲームだと妙にかわいくなっていて笑いました。


「オセロするか?」は泣けたけど。

というわけで、ゲームに関しては、ここまで書いといてなんですが、アニメと比較するとそれほど「戦うアニマ」の要素は強くないと思いました。

なんならレースもスキップして結果だけ見られますし…

このゲームにハマっている方々が、どれほど「戦うアニマ」を無意識に感じているかは正直わかりません。

はい。


…とここで終わるのもアレなので無理やりこじつけると、CMなどで全力疾走するウマ娘を見て、お!と少し心が動いた人たちが、実際ゲームをやってみると、ゲームクオリティには定評があるので、多くの人がハマっていく、というのが、覇権ゲームアプリとなった所以ではないでしょうか。(汗)


クオリティは別として、ゲームシステム自体は、トレーニングして結果を出す、と言うものなので、根本としてはウマ娘も他のアイドル育成アプリも似たところがあると思います。
というか、ウマ娘はかなり他アプリを研究して作られたのではないでしょうか。
(まぁこれは完全に憶測です)

しかし、ウマ娘にアイドル要素があるといっても、ゲーム上でダンスなどのトレーニングをするわけではなく、トレーニングはスピードとか根性とか、レースに関するものです。

そして、トレーニングの結果披露するものが、基本的には笑顔を振り撒かなければいけないアイドルと、なりふり構わず走るウマ娘とでは、性質がやはり異なると思います。
(もちろん、歌やダンスの練習が楽、と言うつもりは全くなく、イメージの性質として、です)

そこが他のアイドル育成アプリと異なり、ウマ娘の「戦うアニマ」の要素が出ているところで、人気を得た理由の一つなのだろうと思っています。



ただ、アニメに関しても、ウマ娘が「戦うアニマ」に振り切った作品かと言われると、決してそうではありませんし、そのバランスが逆に今の時代には合っているのかもしれません。




わたしとしては、もうちょっと「戦うアニマ」に振り切ったアニメ・ゲームを見てみたいなぁ、と思います。

実は、「戦うアニマ」の描写において、宮崎駿監督の右に出る者は今のところ、いないんじゃないかと思っているんですよね。

ハリウッドの大資本で、漫画版「風の谷のナウシカ」を、1巻1シーズンかけて完全実写ドラマ化とか、見たいですねぇ〜
映画で3部作とか!


今回はちょっと無理やりこじつけた感じになっちゃいましたね。申し訳ございません。

アニマの「発展」については、改めてどこかで書いてみたいとは思っています。

最後まで読んでくださりありがとうございました!



このブログ中の表記のない画像の著作権は全て
© 2018 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」製作委員会
に帰属します。