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爺の前に道は無し。爺の後にも道は消えかけて…枯れた中年爺の独り言

ディランの受賞に変化球スライダー的評価が秀逸 by日経「春秋」

2016-10-15 09:52:20 | 日記
衝撃のノーベル文学賞受賞に関して、様々なメディアが評価しているが、その殆どは素直な直球玉だ。しかし、世を拗ねて斜めに見る癖のついた老人は、「何をいまさら」と鼻白む。
ところがさすが日経新聞、このコラムを書いた人は、心底からディランの理解者だと窺わせる。おそらく、自身が70年代安保闘争に“斜め”参加していただろう、と勝手に愉しく想像できるw
以下の日経新聞からの抜粋を参照してほしい。
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日経新聞コラム「春秋」2016/10/15
 「ノーベル文学賞は……ボブ・ディラン」。事務局長がニコリともせず、こんな衝撃の選考を明らかにするのだからスウェーデン・アカデミーも芸が細かい。おととい、この発表をネット中継などで見ていて感嘆した人は地球上に無数にいただろう。おお、ディランだ!

▼「世界の吟遊詩人に栄誉」「ロックが文学になった」「反戦と抵抗の思いを体現」――。こういうときの常ではあるが、称賛の嵐が吹き荒れて当分やみそうもない。とはいえケチをつける声もあって、英スコットランドの作家、アービン・ウェルシュ氏は「もうろくしたヒッピーによる懐古趣味賞だ」と毒舌を吐いている。

▼既成の秩序からはみ出して、訴えたいことを自在に表現してきたのがディラン流だ。非難もむしろ勲章みたいなものだし、アカデミー側にしても賛否沸騰は織り込み済みだったかもしれない。文学の概念を広げる画期的な授賞か、けれん味の隠せぬくせ球か。団塊の世代あたりを中心に、ディラン談議がしばらくは続こう。

▼楽曲から詞だけを取り出して文学賞を贈るのなら映画の脚本も対象になる。歌舞伎だって落語だって立派な言語表現だ。などとあちこちでにぎやかなことだが、肝心のご本人は黙して語らず、それも相変わらずカッコいい。一昨夜から何度も「ノーベル賞作家ディラン」のしゃがれ声を聞き、違和感を楽しむばかりである。

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