メイキング・オブ・マイマイ新子

映画「マイマイ新子と千年の魔法」の監督・片渕須直が語る作品の裏側。

「イタドリ」、または「スカンポ」について

2009年09月14日 16時44分21秒 | mai-mai-making
●新子の行動様式について、若いスタッフからも多くを得た。

 映画の中に「勝間神社」という場所が出てきます。
 ここには神社の本体はなくなっていて、今も昔もただ鳥居が残っているばかりです。そのうしろには国鉄山陽本線が走っていたのですが、高架になるときに移動され、今は線路床だけが残っています。
             
 線路のバラストの敷石だけが残っている鉄道築堤には、イタドリがたくさん生えていました。
             
 ここでも20代の監督助手・白飯がやって活躍してくれました。彼女は突然、雑草かと思えたイタドリを引き抜くと、皮を向いてかじりはじめたのです。
             
 監督は昭和30年代生まれですが、所詮町育ちです。
「おいしいのそれ?」
「食べてみます?」
 もらってかじると、
「うわっ。なんだこれ」
「おいしいじゃないですか」
「酸っぱ苦っ!」

 ということで、これも映画に取り入れることにしました。
 東京・荻窪のスタジオに戻ってみると、この3度目のロケハンに同行しなかったスタッフ連中にも実物を見せなければなりません。
「どこかその辺にも生えてると思うんですけど」
 といいつつ、帰宅が夜半に及んでいる状況では捜している手間も惜しく、結局、白飯の実家のお母さんにお願いしてたくさん送ってもらいました。
             

 このイタドリは、スカンポという別名があるように、引き抜くときに「スポン!」という大きな音を立てます。といわれても音響効果担当者もうまくイメージできません。これも白飯がどんな音なのか入念に説明し、効果音の出来映えへの「OK」も監督ではなく白飯が出しました。

『マイマイ新子と千年の魔法』の中に出て来る色んなことを身近に思うかどうかは、生まれ年に関係ないのだなあ、と思い知らされました。ひょっとしたらこの映画で語ろうとすることは、現代にもじゅうぶん通用するのかもしれません。
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