6.新型機登場
ハッサンたちは前線から戻り、部長に報告する。
「小型ドローンによる攻撃の効果は、せいぜい“嫌がらせ”程度です。」
「効果を上げるには、ドローン集団による攻撃か、自爆攻撃しかありません。」
3か月ほどたったある日、ニュースが飛び込んできた。
「イランからの部品を使って自作した新型機ができたぞ!」
班長と共に、隔離された区画に見に行く。
それは、小型ドローンとはまるで違う、ミサイルと航空機を合体させたような、スマートな飛行体だった。
航続距離は150キロ、時速200キロで飛び、偵察だけでなく、ミサイルによる攻撃もできる。
GPS誘導システムにより、遠く離れた場所の標的も狙えるという。
「すごいぞ、我が空軍の誕生だ!」
エンジンや誘導装置などは、イランから密輸される。
翼や胴体はこちらで作る。
組み立てや調整は、イランで訓練を受けた技術者が行う。
ハッサンたちは技術者の指導の下、FRPによる翼や胴体の製作を行った。
運用は、どこかのコントロールセンターで行われる。
もう、ハッサンたちの出番はなかった。
参考図:「無人機の世紀」、セス・フランツマン、原書房、2022