3.小型ドローン
ある日、ハッサンは隊長から呼ばれた。
「お前は、機械いじりが得意だそうだな。」
「これから、兵器開発の特機部に行ってくれ。」
特機部はサヌア市街の町はずれにある、元民生電器の修理工場の中にあった。
「ここでは、戦場で使える小型ドローンを自作している。」
ハッサンより、2,3歳年上の感じの良い班長が迎えてくれた。
ハッサンと同世代の若者8人が、班長より説明を受ける。
「これは民生用ドローンを改造したものだ。」
ハッサンは初めて見る、4つのローターを持った、全長60センチほどの“カニ”のような機械に見入った。
「この4つのローターを動かし、上下左右を含む、すべての方向に飛行できる。」
「空中で停止することも可能だ。」
「搭載したカメラからの映像を、遠く離れた地上で見ることができる。」
「敵の動きを上空から監視できる、というわけだ。」
班長は実際にドローンを飛ばしてみせた。
班長は両手でコントローラを操作し、ドローンを自由自在に操った。
そして、ハッサンたちに、遠く離れたドローンからの映像を見せてくれた。
その後、ハッサンたちは、イランから密輸された部品でドローンを組み立てたり、
損傷したドローンを修理する仕事を割り当てられた。
参考図:「ドローンメカニズムの基礎知識」、鈴木真二、日刊工業新聞社、2018