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かねうりきちじの横浜・喫茶店めぐり

珈琲歴四十年の中の人が、珈琲豆荷揚げ量日本一を誇る横浜港のある町の喫茶店でタンザニア産コーヒーを飲み歩きます

地元を愛する力

2009年12月03日 | 旧ブログ記事(長者ヶ原廃寺跡・衣川関係)
 今朝はそれほど冷え込みませんでしたが、気温はそのまま上がらず、午後からは冷たい雨が降り始めました。

 長者ヶ原廃寺跡の住所は衣川区田中西ですが、遺跡の駐車場は清水の上(しみずのうえ)といいます。清水は、わき水などがある場所を指すようで、「すず」とも発音されることもあります。例えば、昨年国史跡に指定された大清水上遺跡は「おおしみずかみいせき」と呼ばれていましたが、指定にあたり遺跡名のもととなった地名・大清水が地元では「おおすず」と呼ばれていたことから、「おおすずかみいせき」に変更されました。

 これと同じことは、先日国史跡に指定された接待館遺跡でも行われました。「せったいかんいせき」として発掘調査が進められていたのですが、国史跡に申請する際に地域で「せったいだて」と呼ばれていることから、「せったいだていせき」に変更されています。

 話が少しそれましたが、今日はその接待館遺跡と「清水」に関するお話しです。

 長者ヶ原廃寺跡の駐車場の小字名が「清水の上」ということからも分かるように、遺跡の近くにはいくつものわき水があり、かつては野菜を洗ったりするのはもちろん飲み水としても利用されていたようです。しかし、水道が通るようになってからは、水は湧いているもののほとんど使われなかったようです。

 しかし、最近、長者ヶ原廃寺跡周辺のお年寄りの方々がわき水と住民の関係を復活させようと、行政などに頼らず自前でわき水周辺のの環境整備を始めています。今朝はその様子を見学してきました。

 びっくりしたのは、ひ孫がいる80歳過ぎの方がコンクリートカッターを手にして本格的な工事をしていたことです。聞けば、「昔はここが憩いの場だった。水は湧いているのにずっと使われないのはもったいない。洗い場や東屋をつくってまた人が集まる場所にしたい」との思いで仲間と工事をすることにしたそうです。その他にもいろいろと「すず」にまつわる思い出話を聞かせていただき、とても勉強になりました。と同時に、地元を深く愛し、地域を少しでもよくしたいという姿に感動し、自分も同じようにして長者ヶ原廃寺跡の整備事業を進めねばと決意を新たにしました。

 「すず」の場所は、先ほど名前が出た接待館遺跡と長者ヶ原廃寺跡のちょうど中間地点です。工事が完成すれば、衣川を散策する観光客ののどをうるおしてくれるのではないでしょうか。

 そういえば、接待館は、藤原秀衡の母親が付近を通る疲れた旅人を「接待」していた場所だったという伝承に由来しています。秀衡の母と同じもてなしの気持ちは今の衣川の人にも生きているのかもしれません。


「すず」の工事の様子。とても傘寿過ぎの方とは思えません。