KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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北京の9日~男子マラソン展望

2015年08月22日 | その他のスポーツ
いよいよ、世界選手権の開幕である。まずは男子マラソンからなのだが、いきなり出鼻を挫かれた。日本代表のエースともいうぺき存在で、僕自身、昨年からtwitterでも「今、一番日の丸を付けさせたいランナー」とアピールしていた、「元祖・山の神」今井正人が欠場を発表したからだ。しかも、その原因がオーバートレーニングが原因と思われる足の故障ではなく、髄膜炎という病気というのが残念を通り越して、今後の競技者人生への影響も心配させてしまう。

今年の東京マラソンで2時間7分39秒のタイムを残した今井。このタイムは今年のランキングでは、アジア勢2位。ただし、1位のバーレーンのシュミ・デチャサはエチオピアからの国籍変更者だったので、実質、現在最強の「黄色人種ランナー」だったのである。

もはやかつての世界選手権のように、ケニアやエチオピアの高速ランナーが回避することはない。マラソン最強国、ケニアとエチオピアは今回、現時点では最強のランナーを送り込んできた。ケニア代表は現在の世界記録保持者のデニス・キメット、前世界記録保持者のウィルソン・キプサングに、パリマラソン優勝のマーク・コリルである。エチオピアはドバイ・マラソンのワン・ツーコンビ。さらに、ロンドン五輪、前回のモスクワ大会金メダルのスティーブ・キプロティチもワイルド・カードで参戦する。この6人のうちの誰か3人でメダル確定、と断言してもいい。今井は昨年のニューヨークで、キプサングやキプロティチらと共に走り、一時は彼らを含む集団から抜け出してみせた。結果は7位だが、この経験は大きかった。今年の東京での自己ベスト更新はこの経験の賜物だと思う。

今年の東京でもう一つ。金メダリストキプロティチも2時間6分33秒の自己ベストを更新している。これはけっこう重大な事実だ。東京マラソンという大会のステータスを大きく上げたと言えよう。「世界の金メダリストが、ベストコンディションで参戦する大会」となったのだから。

今井以外の日本代表は前田和浩と藤原正和。どちらも1981年生まれ(藤原は早生まれ)のベテランである。前田は3度目の世界選手権、藤原は2度目である。経験は十分だが、8位以内入賞はかなりきつそう。ランナーとしてのピークは年齢的には過ぎている。気温が下がり。高速レースとなれば一溜まりもない。

ただ、前述のランナー以外に「大した選手がいない。」のも事実である。主催国である中国。意外と男子マラソンには強豪が存在しない。エントリーしている選手の持ちタイムは2時間13~15分レベルである。アフリカにおいてはマラソン強国だったモロッコも、エントリーしているのはラシド・キスリにアディル・アンナニと懐かしい名前。五輪金メダリストを生み出している南アフリカも15分台のランナーをエントリーさせるほどの人材不足ぶり。マイペースを守り、落ちてくるランナーを拾ってくる走り(某夕刊紙が、ロンドン五輪で6位入賞の中本健太郎の、「落ちてきたランナーを拾う走り」を「乞食走法」などと酷評したが、円谷幸吉や君原健二も、「見えないトップの背中を追いかける走り」で、メダルを獲得したのだ。卑下する必要は何もない。)に徹すれば、入賞も不可能ではない。

僕個人の評価では、藤原が日本人二人の中では先着すると見ている。氷雨の中、5年前の東京マラソンで日本人初の優勝者となったレースでも分かるように、勝負勘は抜群である。本来ならアテネか北京の五輪代表になっていなくてはいけなかった逸材である。ただ、昨年の福岡ではモンゴルのセルオド・バトオチルを侮ったのが失敗だった。

そう、大事な名前を忘れていた。モンゴルのバトオチル。防府読売マラソンでの川内優輝との競り合いで、西日本のマラソン・ファンにはすっかりお馴染みになっていたが、昨年の福岡では藤原に、今年のびわ湖での前田に先着している。あるいは、日本代表より先着する可能性は十分ある。

それにしても、である。いまさらの話になるが、今回より世界選手権の入賞で来年のリオ五輪代表内定となるわけだが、ロンドン五輪の代表選考レースだった4年前の大邸大会でこの選考が適用されていたら。堀端宏行と赤羽有紀子にロンドンを走らせたかったと今も悔いが残る。

今回も、昨年のアジア大会銀メダルの松村康平と木良子を代表にしていたら、と思わぬこともないが、もし、藤原か前田が五輪代表を決めれば、中本や松村や川内や今井らには大きなプレッシャーとなり、福岡以降の選考レースは大いに盛り上がりそうだ。

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