KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
2022年は積極的に更新していく心算です。

輝く!日本マラソン大賞2014

2014年12月31日 | 日本マラソン大賞
今年も、いよいよマラソン大賞を発表する日になった。盆も正月も休めない仕事についてしまったため、一年の終わりを意識するのはこのセレクトをする時だけである。今年もまた、独断と偏見で選んだセレクトをご笑覧くださいませ。


◎功労賞

赤羽有紀子(ホクレン) 2009世界陸上マラソン代表 2011世界陸上マラソン5位

今となっては「北京の悲劇」と呼びたい、北京五輪での女子マラソンの悪夢のような惨敗の後の、日本の女子マラソンを尾崎好美とともに支えていたのが、赤羽有紀子だった。「ママさん」であることが話題になっていたが、女子ランナーの競技生活に一つの「モデル」を作ったところも評価したい。ただ、従来の女子マラソンの熱烈なファン層であった、中高年の男子層からは支持がなかったようである。


◎新人賞

外丸英輝(トヨタ自動車) 延岡西日本優勝 ベルリン10位

岩出玲亜(ノーリツ) 横浜国際女子3位


男子は昨年の佐野広明に次いで、今年も延岡で初マラソン初優勝、秋の海外マラソンで記録更新を果たした。今年は同じトヨタの宮脇千博、コニカミノルタの宇賀地強といったスピードランナーがマラソンデビューを果たした。宇賀地の福岡のタイムは外丸のベルリンのタイムを上回っているが、ここは「初マラソン初優勝」を評価する。一昨年は該当なし、今年は初マラソンがラストランの吉川美香に与えてしまったくらいの女子の新人部門だが、ついにルーキーが誕生した。大会出場時点で19歳の岩出が横浜で3位入賞。チームメイトで今も現役継続中の小まりとは19歳年下とほぼ親子である。若い年代にフルマラソンを走らせることは健康上の弊害も言われる中、森岡監督には、小のような息の長いランナーに育てて欲しいと思う。一部では「レイア姫」というニックネームもついているようである。

◎ベスト市民ランナー賞

山崎竹丸(金太郎AC) 高知龍馬マラソン優勝


地元高知でマラソン指導をしながら走り続けている山崎は、twitterで海外マラソンの情報も提供したり、ネットが海外マラソンのサイトのライブ中継を紹介してくださったりと、僕もいろいろとお世話になっている。まだ、お会いしたことはないが、2015年には是非、お会いしたいと思っているし、龍馬マラソンの連覇も目指して欲しい。これは、今年中に記事としてアップしたかったのだが、「市民マラソンは、決して、日本代表ランナーの練習のための場所ではない。」


◎外国人特別賞

デニス・キメット(ケニア) ベルリン優勝

二年連続して、ベルリンマラソンで世界最高記録が誕生。しかも昨年のキプサングに次いで、日本のマラソンの優勝経験者がマークした。キメットは昨年の東京マラソンの優勝者。これはすごいことではないか?「日本の大会が育てた。」という見方をする人もいるかもしれないが、つまりは、世界のトップのランナーがガチンコで実力を出し切るために来日してくるのだ。マンUやバルサがベストメンバーで来日して、ガンバ大阪や浦和レッズをボコボコにするような試合をするような事が毎年、日本の国際マラソン(特に男子)では行われているのだ。「日本人が勝たないとつまらない。」と大相撲ファンと同じような嘆き方をすることはない、


◎審査員特別賞

井上正之(愛媛銀行) 愛媛マラソン優勝

藤原なつみ(松山大) 愛媛マラソン優勝


いきなり、愛媛マラソンの男女優勝コンビを選んでしまうあたりが、この賞の「独断と偏見」たる所以である。愛媛銀行陸上部の創部以来の悲願だった愛媛マラソンの優勝がこの大会に8度目のチャレンジだった、井上によってもたらされた。そして、この「マラソン大賞」に、ようやく松山大学女子駅伝のランナーを選ぶことが出来た。卒業後も実業団(愛知電機)で競技を続ける彼女を
来年も選べますように。



◎優秀外国人賞

ディクソン・チュンバ(エチオピア) 東京優勝

ティルフィ・ツェガエ(エチオピア) 東京優勝


今年の東京マラソンは、男女ともに大会記録が大幅に更新されたのだが、どちらもエチオピア人だった。1980~1990年代に活躍したエチオピア人ランナー、アベベ・メコネンがかつて語っていたが、
「エチオピア人にとって、東京は母国の偉大なランナー、アベベ・ビキラが勝った街。そこでのマラソンで下手な走りをではない。」
のだという。東京五輪から今年で50年。いまも東京のロードはエチオピアのランナーたちにとって、特別な場所のようだ。いつかは、ケネニサ・ベケレも招待してもらいたいものである。


◎努力賞

辻 茂樹(大塚製薬) 北海道優勝

野尻あずさ(大塚製薬) 北海道マラソン


かつては、「日本代表の登竜門」だった北海道マラソン。その優勝コンビを選出した。大塚製薬陸上部から久々のマラソン優勝者となった辻、「プロランナー」転向後は今ひとつだった野尻、この優勝を飛躍のきっかけにして欲しい。


◎敢闘賞

今井正人(トヨタ自動車九州) 別府大分2位 ニューヨーク7位
藤原正和(Honda)    福岡国際4位

早川英里(TOTO)     名古屋4位 アジア大会4位

「元祖・山の神」今井がマラソン8回目にして、ようやくサブテンをマークした。「事実上の世界選手権」でもあるWMMでも二年連続で入賞。別大の中継アナの
「山の神からマラソンの神へ。」
という実況は、優勝レースまでとっておいて欲しかったが、個人的には、今、一番、日の丸を付けさせたいランナーである。先の福岡、レース内容は厳しい評価だった藤原だが、33歳でのサブテンは評価したい。それにしても、藤原の日本人トップという結果に、「深刻な高齢化」という見出しをつけたスポーツ紙もあったが、高齢化が深刻なのは、スキーのジャンプなのではないのか?学生時代にホノルルマラソンに日本人として初めて優勝した早川。それから12年後に日の丸をつけるランナーになるとは想像できなかった。トライアスリートの指導を受けているという点でも、今のマラソン界では異色の存在である。ちなみに、安倍総理と同じ、成蹊大学の出身。


◎殊勲賞

小林光二(SUBARU) 東京9位 シカゴ10位

前田彩香(佛教大)    大阪国際4位


「消えたマラソンの名門」ダイエー陸上部のDNAを引き継ぐ、SUBARUから、新たなエースが生まれた。世界陸上代表の奥谷亘が監督就任以来、マラソンにチャレンジするランナーが増えてきたが、東京で8分台をマーク。ベルリンやシカゴの高速レースを走った経験を生かし、来年は日本代表を狙って欲しい。
新人賞に選ぼうかとも思った前田。初マラソンで日本の女子大学生マラソン最高記録を見事に更新。両親もマラソンランナーで、父親(故人)は2時間13分台のタイムを持ち、母親は愛媛マラソンの優勝歴も持つベテランランナー。母親も一緒に大阪を走り、サブスリーでゴールというのも驚きである。それを含めての「殊勲賞」。


◎優秀選手賞

松村康平(三菱重工長崎) 東京8位 アジア大会2位
川内優輝(埼玉県庁)   びわ湖4位 ハンブルグ9位 ゴールドコースト3位 パース優勝 アジア大会3位 ニューヨーク11位 防府優勝 他

田中智子(第一生命)   名古屋6位 横浜国際女子優勝


◎最優秀選手

木良子(ダイハツ)   名古屋3位 アジア大会2位


まずは、女子から、最後の横浜優勝の田中も、今年の名古屋が初マラソンだったから「新人賞」の資格もあったのである。そのくらい、今年は女子の新人が充実していた。しかし、新人賞3人に出来なかったのは、今の女子マラソン界に「中堅」が不在であるということでもある。

アジア大会銀メダルの松村を最優秀にしようかと思ったが、前回のアジア大会では、銀メダルの北岡幸一を最優秀にしていない。その年は、最優秀選手を該当なしにしていた。今年、国内市民マラソンも含めて6回優勝している川内を選出しようかと思ったが、アジア大会で松村に、ニューヨークで今井に負けている彼を選ぶことはできないと思った。今回、あえて木を選出したのは、五輪に出場すれば燃え尽きる選手が多かった日本の女子マラソンランナーで初めて、五輪翌年の世界選手権に出場して入賞し、さらにその翌年のアジア大会でメダルを獲得したことを「快挙」と評価したいからである。いわば、「低迷期」、「スター不在」と言われ、テレビのスポーツ中継でも人気コンテンツではなくなった女子マラソンを支えてきたことに対する功労としての授賞である。もちろん、功労賞という意味ではない。前田も、彼女を見て育って欲しい。 


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