KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

マラソンを愛する皆様、こんにちは。
2022年は積極的に更新していく心算です。

ニューイヤー駅伝を10倍楽しく見たいのに見られない理由vol.1

2006年01月11日 | 駅伝時評
今年の三が日も、駅伝ばかり見て過ごした。正月休みを海外で過ごすような身分に、なってみたいものだ。それもハワイとかじゃなくて、友部正人みたいにニューヨーク、というのがいいな。

さて、元旦のニューイヤー駅伝(全日本実業団対抗駅伝競走大会)と、2日と3日の箱根駅伝(東京箱根間往復駅伝競走)、
「どちらが面白いか?」
もしくは、
「どちらが楽しみか?」
と問われたら、僕は迷わず、前者を選ぶ。

理由は?簡単なことだ。
「レベルが高いから。」
である。

この数年、スポーツにおいて「地域密着」とやらが錦の御旗のごとく言われ、その結果だろうか、プロ野球で、年間に97敗もするようなチームが黒字になる一方で、昨年の最下位からAクラスに浮上しながら、観客動員数不足にあえいでいるチームもある、という妙な現象が生じているが、本来、スポーツというものは、実力のレベルが高いチーム、ならびに大会に人気が集まるべきではないかと思う。

嫌われ者になることを承知で言えば、長距離ランナーにとって、ガス欠や脱水症状でペース・ダウンすることは、最も恥かしい失敗だと、僕は思っている。急に気温が上がったからといっても、ちゃんと走れるランナーは、ちゃんと走っている。

ニューイヤー駅伝、今回は50回記念大会(誤解のないように言っておきますが、最初から元旦に行われていたわけではありません。)ということで、従来よりも出場枠が増え、43チームが出場した。(直前に辞退した、JR東日本の今後が心配である。)1チーム7人、301人のランナーのうち、五輪代表経験者が6人、世界選手権代表経験者が11人(以上、ケニア代表も含めて)、アジア大会代表が2人、フルマラソンで2時間10分切っている選手が10人、これだけのランナーが一同に会する大会なのである。

はたして、送り手であるテレビ局の関係者はどのくらいこの点の重要性を自覚しているだろうか?ずばり、何も考えていない、と思う。
この大会の歴史と伝統になにがしかの敬意を抱いていれば、これだけのレースを、世界を目指しているのかどうか知らないが、口の聞き方の知らない、柄の悪い3兄弟のPRに利用したりはしないと思う!!

まったく、ニッポン男子長距離ランナーたちの最高峰の祭典も、ずいぶんとなめられたものである。まあ、先に述べた、Aクラスになったのに観客が減るようなプロ野球チームのオーナー企業がテレビ中継を担当しているのだから、仕方が無いかもしれない。

僕がこの大会を、熱心に見るようになってから、まだ12年くらいしか経っていない。ちょうど、僕の生活にランニングが重要な位置を占めるようになってきた時期、フルマラソン初挑戦を目前に控えた時期であり、松山に、この大会を中継するテレビ局の系列局が開局した直後
(松山市内の中心部では、「全員集合!」も、「ザ・ベストテン」も見られなかったのである!)でもあった。ちょうど、高岡寿成が「怪物ルーキー」と、実況アナに言われていた時期であり、谷口浩美さんに浦田春生さん、若倉和也さんら僕と同年代のランナーがまだ健在で、少し下の西政幸さんや福嶋正さんら昭和30年代生まれのランナーもまだまだチームの主力だった。

旭化成、鐘紡、エスビー食品が「3強」であり、宗兄弟、伊藤国光さん、瀬古利彦さんが現役時代のようにライバル意識を出してトップ争いをしていた時期だった。

日本のトップ・レベルのランナーたちが続々とタスキをつないで走る姿は、まさに元旦にふさわしい、「新春恒例顔見世レース」だった。
記録?順位?そんなものにこだわるのは野暮というものですよ。

世紀が変わってから、この大会は大きく変化した。総距離が100kmに延長し、外国人ランナーを加入させるチームも増え、エスビー食品が駅伝を回避するとチーム方針を変え、勢力図が大きく変わった。

旭化成や鐘紡(カネボウ)が、優勝から遠ざかり、主役がコニカミノルタや中国電力に代わったから面白くなくなった、というつもりはない。それでは、
「ロッテと阪神の日本シリーズなんぞつまらん。」
とぼやく巨人ファンと変わりが無い。むしろ、中電のように、マラソン日本代表選手を複数擁しながら、駅伝にも強いチームというのは僕の好みである。女子駅伝における三井住友海上と天満屋も同様に。コニカミノルタも、いいランナーはいる。太田崇に松宮隆行に坪田智夫。いずれも30kmロードレースでは、実績を残している(3人ともサブ90である。)。あとはマラソンでも、そのスピードを生かして欲しいと願うのみである。

しかしながら、ニューイヤー駅伝を以前ほど楽しめなくなっているのは間違いない。な~んでか?

(つづく)



コメントを投稿