KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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春の海外マラソン展望 vol.3

2005年04月23日 | マラソン時評
ラドクリフ、ロンドンで完全復活!!

これは僕にとっては、アイちゃんやサクラちゃんなどよりも遥かに重大なニュースなのだが、いつものことながら、メディアの扱いはお話にならないくらい小さい。

その事への嘆きも含めた、ロンドン・マラソンへのコメントは先送りにして、春の4大海外マラソンの最終戦、ボストン・マラソン。日本時間であと3時間余りでスタートである。かつては、テレビ東京が放映権を買い取り、全国に生放送していたのだが。

今年で109回を数える、世界最古のマラソン大会であるが、近年はやや陰が薄くなった感も無きにしもあらず。「第2の世界選手権」とも呼ぶべきポジションはロンドンに取られてしまったせいか。アップ・ダウンの激しい、ホプキントンの丘からボルトン・ストリートまでの片道コースは現在の基準では、記録が正式公認されないというのも、トップ・ランナーを敬遠させている要因かもしれない。

それ故か、近年はケニア陸連と提携し、ケニアのランナーが大量にエントリーし、「ケニア選手権」の様相を呈してきた。この10年、ケニア人以外で優勝したのは、'01年の李鳳主(韓国)のみである。日本人は'87年の瀬古利彦さん以来、18年間優勝から遠ざかっている。

今回も、男子はケニア人優位は動かない。ケニア以外の有力選手はフランスのモハメド・ウァーディにエチオピアのハイレ・ヌグセくらいか、と思ったら、2人とも日本の大会でベストタイムを出している選手だった。

女子の方が優勝争いが面白そうだ。昨年、マッチレースを演じたアテネ五輪銀メダリストのキャサリン・ヌデレバ(ケニア)に、日本でもおなじみのエルフェネシュ・アレム(エチオピア)が再び、激しく優勝を争いそうだが、そこに、昨年の東京国際女子優勝のブルーナ・ジェノベーゼが絡んでくる。日本人で初めてホノルルを制した早川英里も楽しみだ。

この早川、谷川真理さんが運営するスポーツ・ジムでトレーニングを行っているランナー(あの、最近某俳優と別れた、走るファッション・モデルも一緒に指導を受けているそうである。)で、実業団駅伝や国内のマラソンを目標とする従来の日本の女子ランナーとは異なる競技生活を送っているのが異色である。はたして、どこまで記録を伸ばしてくるか、実業団ランナーたちの足元を脅かすような存在になってくると面白いと思う。彼女のコーチ役として、'90年代後半に活躍した小川ミーナさんもどのくらいの位置で帰ってくるか、楽しみである。

男子では、今年の青梅マラソンで優勝した、中国電力の沖野剛久が初マラソンに挑む。昨年はチームの先輩、油谷繁が五輪で5位、尾方剛が福岡で優勝、と上潮ムードだったのが今年に入って、マラソンでは停滞している。ニューイヤー駅伝の優勝に大いに貢献した佐藤敦之が東京国際マラソンを欠場したせいか、そんな印象を受けた。(もし、佐藤が東京を走っていたら、高岡とマッチ・レースとなったか?)ここで沖野が初マラソンで好タイムを出せば、ヘルシンキを控えた尾方にもはずみがつくと思う。

もう一人、青梅マラソン4位で派遣される山田剛史。創部3年目の新興チーム、JR東日本の中で、初めての海外マラソン参戦である。昨年の北海道マラソンで2時間18分42秒で12位にゴールしているが、言うまでもなく、自己新更新に期待したい。先月の実業団ハーフも1時間3分33秒で走っている。順調に仕上がっていると言えそうだ。JR東日本は、監督がリッカー~日産自動車でマラソンで活躍し、東邦生命や小島プレスで監督として実績を持つ岩瀬哲治氏で、コーチは世界選手権マラソン5位入賞の実績を持つ打越忠夫氏である。マラソンのノウハウには事欠かない。(大塚製薬の河野匡氏や京セラの大森国男氏ら、自らはマラソン完走経験のない、マラソン指導者もいるが。)

ところで、沖野と山田は同じ高校(広島の神辺旭高校)の出身であった。

青梅マラソンからボストンに出場し、その後サブテン・ランナーに成長したランナーというと、元日本記録保持者の犬伏孝行(パリには出ていなかったのか?)、富士通の帯刀秀幸、トヨタ九州の中崎幸伸がいる。彼らのように、ボストンを飛躍のステップとして欲しい。次につながる結果に期待したい。


付記:中国電力の沖野選手は、2003年の防府読売マラソンで、「マラソン・デビュー」を果たしていました。今回のボストンを「初マラソン」としたのは、筆者の事実誤認です。ここに、お詫び申し上げます。



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