かたなのきれあじ!!!

本年度もひとつよろしくどうぞ★

TheTimeIsRipeforInvestment40「NPV」

2007-01-07 01:56:16 | ご隠居のフォルダ
毎日ご覧になってくださっている方々さぼっておって申し訳ありませんまいどどうも、ご隠居です。最近はてんてこまいな日々ですが、続けて行きたいと思います。本日は(もうお忘れのことかと思いますが)昨年度のディスカウントファクターの続きという側面もあります。

 さて、以下の言葉を読んで間違いを探して下さい。

「おれさー、あの子のこと好きになっちまったわ。」
「なんで?」
「さぁおれにもわかんねーんだけど。でもダメだ。おれはこれからあの子をゲットするために全てをかけるお」
「そうかい。がんばれー」

 いかがでしょうか。それでは、もう一つ。

「部長、新しいプロジェクトの提案です!」
「お、企画書あんのか」
「はい!これです!」
「どれ…『低単価で即酔っ払うことが可能な超特濃ビール!!研究開発室が開発に成功!!』。へー」
「聞いてみたら、急げば一ヶ月で商品化できるそうです!」
「よっしゃ、そんじゃやってみっか!」


 このような会社に入ってみたいようなそうでないような。
というのは置いといて、下から種明かししますが、企業というのは営利団体です。何を相手に何をしようが、詰まるところ利益が出ないと意味がありません。すなわちもうお分かりだと思いますが、上記の例には儲かりますというストーリーが抜け落ちています。
 具体的には、プロジェクト全期間の収益-投資額(コスト)=プラスのリターンであることを示します。
 ものすごい乱暴に説明すると、
「毎年1万円必ず生むという不思議なにわとりがいます!所有者は7万5千円なら売ってもいいといっています!寿命はあと10年らしいです!2万5千円儲かります!このにわとり、買いましょう!」ということになります。
 ここまでならば、算数レベルの話なのですが、現在価値という概念を知っている私たちはもう一段階進みます。5%と割引率を仮に設定して現在価値に割り戻すと、この「にわとり購入プロジェクト」を「価格」で表すことができます。これをNPV(ネットプレゼントヴァリュー・正味現在価値)といいます。このプロジェクトのNPVは-3735円となります。すなわち、このにわとりを買うとそれだけ3735円損するのでやめましょうということになります。
 実務においてはもう少し複雑ですが、概ねこのように企業はプロジェクトを選択するかしないか決定しています。


 とすれば冒頭の会話も採算性には目をつぶっているということが分かります。われわれは合理的に行動する投資家であって、中学生ではありません。投資対象にたいしての取得コストと、仮に取得できた後のリターン、更に言えばリターンがどれだけの期間得られるか(=破綻も考慮に入れる→これを投資用語ではEXITあるいは出口戦略といいます)を合理的に推定して、NPVがプラスであるかどうかを判断します。仮にマイナスなのであれば、どんなに心でよいと思おうが泣きながら撤退するのが合理的判断なのです。
 このような判定は、推定に基づくために度々言っているように対象銘柄のデューデリが大事になり予想の精度を高めることになるのです。


 次回も、続きます。