「毛細血管」が消える現象「ゴースト血管」って何?
血管を全て繋ぎ合わせると約10万km(地球の約2周半)にもなるそうです。
想像を絶する長さですが、その9割以上を毛細血管が占めています。
毛細血管は、動脈から運び込まれた酸素や栄養を組織内に送り、組織中から老廃物を受け取って、静脈へ送るという重要な役割を担っています。
最近、毛細血管の先まで血液が届かず、血管が幽霊のように消えてしまう「ゴースト血管」という現象が注目されるようになりました。
毛細血管は、その細さから老化によって働きが衰えると、最終的には消滅してしまいます。
これを通称「ゴースト血管」と呼ばれています。
ゴースト血管の最大の原因は加齢ですが、高血圧や高血糖、脂質異常などが重なると、血管のゴースト化がさらに進み、動脈硬化を進行させることがわかっています。
毛細血管が消滅してしまうと、当然全身の細胞へ酸素や栄養素を行き届けることが出来なくなり、老廃物も溜まったまま回収されなくなってしまいます。
すると、シミやシワなどの肌トラブルから冷え性や身体のコリ、痛み、さらには認知症などあらゆる不調や疾患を招くようになります。
毛細血管の老化は早ければ20 代から始まり、60〜70 代になると、3〜4割もの毛細血管が「ゴースト血管」になり消えてしまうことが分かっています。
◎「ゴースト血管」が引き起こされる要因
ゴースト血管は、血液の巡りが悪くなり毛細血管への血流が滞ることと、細胞壁の損傷により引き起こされます。
毛細血管は、内側が内皮細胞、外側が壁細胞という構造をしています。
毛細血管の外側の壁細胞から「アンジオポエチン-1」という物質が分泌されており、これが毛細血管の内側の内皮細胞にあるTie2(タイツー)という受容体を活性化させることで、内皮細胞同士はぴったりと密着します。
これにより、内皮細胞と壁細胞も接着し、血液がスムーズに流れていきます。
ところが、加齢や紫外線などにより過剰に増えた活性酸素によって壁細胞が傷つけられると、アンジオポエチン-1の分泌が減少し、Tie2 を活性化することが出来なくなります。
すると、壁細胞がはがれやすくなり、毛細血管が形状を保てず、内皮細胞との間に隙間ができます。
そこから血液成分が漏れ出して、血流が途絶えてしまうのです。
毛細血管の老化や消失を防ぐためには、血液の巡りを良くしておくことやTie2の活性化が重要です。
次回から、血液の巡りを良くするための方法や、Tie2を活性化する方法を書いていきたいと思います。
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