上小田井ステーション マンション長期修繕委員会

長期修繕委員長日記 管理員室電話FAX:052-505-8998

■マンションのエレベーター保守契約の見直しで、迷っています

2005-05-30 | ステーションニュース
■現在の保守契約形式POG契約を継続するか、フルメンテ契約に変更するか?です。当然ながら将来も考えた長期間トータルコストダウンが目的です。また、価格を抑えるためにメーカー系から独立系保守点検会社への変更も視野にいれていますが・・・、POG契約にすると、今後毎年のように多額の部品代及び取替費用が出てきます。そのつど適正な見積かどうか判断して、業者と交渉する必要があります。★正直言って、修理・維持のコストダウンに積極的で、マンション管理に熱意のある管理組合理事が担当すれば、POG契約で長期にコストダウンが可能と予測しますが(えらそうにスミマセン m(__)m)、常時となるとそれは難しいことです。今、パワーのあるうちに、できるだけコストを抑えたフルメンテ契約に変更するべきかな??・・・とも思っていますが・・・悩むところです。★現在、既にかなりのコストダウンができる目処が立っております。もう少し研究すれば、方針は定まると思っていますが、その決断はそう簡単なことではありません。

★添付の写真はエレベータ機械室です。

★下記の記事もぜひご一読ください。

★エレベーター点検のカラクリ (NPO集合住宅管理組合センターより)

エレベーターの保守契約

マンション管理費の決算報告を見ると、設備管理費(別の名前になっているものもある)の中に、給水・排水設備や電気設備、消防設備などと共に、エレベーター保守管理費という項目があります。エレベーターは、数がそんなに沢山ある訳でもなく、メーカーや階数・定員が異なっても、保守管理費はあまり変わりませんから、比較検討しやすい項目です。
エレベーターの保守管理費が適正がどうかを比較する場合に、フルンテナンス契約と、POG契約の2通りがあることを理解しておく必要があります.

フルメンテナンス契約とは?

「通常使用において、通常発生すると予測される部品の取替え及び修理を含んだ契約」
いわば「全部おまかせ契約」で、故障や部品交換のたび毎に見積・契約・支払いをする手間が省けますから、便利で楽な契約ですが、部品や修理代は多目を見込んで計算されていて、部品交換や修理が無くても精算してくれませんから、高くつきます。
一般的に、管理会社に管理業務を委託していると、このフルメンテナンスとして経費を計算してきます。(フルメンテナンス契約だと言いなから、実はPOG契約だったなんてケースもあります)


POG契約とは?

POGとはParts Oil and Greaseの頭文字で、「消耗部品付契約のことで、定期点検、管理仕様範囲内の消耗品の交換は含まれるが、それ以外の部品の取替え、修理は別途料金となる契約」
契約に含まれる消耗部品以外の部品の交換や修理などは、別に請求されますので、契約金額は安くなりますが、別途保守費の予算を計上しておく必要があります。


--------------------------------------------------------------------------------
フルメンテナンスの損得
●得なこと●
フルメンテナンスの損得

エレベーター・メンテナンス会社にすべてお任せだから、手間がかからない

損なこと
割高
■ 部品の取替周期が管理組合として把握できない
契約書には、管理組合の判断ではなく、業者の判断で取替えを実施するとの記載がある
■ 部品の価格が明記されていないので、契約内で実施されても他契約と比較できない

--------------------------------------------------------------------------------
POG契約の損得

得なこと
契約料金が安い
■ 点検費用と修理(部品取替)費用が明確になる
■ 修理が本当に必要か否かを管理組合が判断することができる

損なこと
契約外の部品交換や修理があると、その都度管理組合で検討しなくてはならない
■ 必要のない部品交換をして、費用を請求される心配がある
予算で想定した以上の費用がかかるかもしれない

--------------------------------------------------------------------------------
フルメンテナンスかPOGか?

管理組合としては、高くても手間のかからないフルメンテナンスか、安くても手間のかかるPOGかで悩みます。
管理会社やエレベーター・メンテナンス会社は当然フルメンテナンスをお勧めします。
日本のエレベーターは性能・品質が良いので、新築間もないマンションで、エレベーターの故障や部品の交換はほとんどありません。その分、メンテナンス会社は儲かるのです。
それに、2年間の製品保証があるのに、初年度からフルメンテナンス契約の料金を取っていた、けしからん管理会社も少なくないのです。
何故フルメンテナンスなのか、業者に説明を求めると、次のような説明をします。

■ 安心・安全のために費用を惜しんではいけない、保険だと
思ってください
■ 大きな修理が必要になったときのために積み立てている
ようなものです
■ どのビルでもエレベーターはフルメンテが常識です

--------------------------------------------------------------------------------

「安全」を言われると、何やら不安になります。
しかし、日本のエレベーターは建築基準法で、使用する材質・強度等が厳しく規定されていて、機械的・電気的な2重4系統の落下防止装置、安全装置が義務づけられ、設置するときには、「確認申請」「工事完了検査」など、工事の各段階で行政の検査を受ける制度が確立していますから、絶えず検査をし、手入れをしなければ事故が起こるほど、「やわ」なものではありません。
時に「エレベーター落下」等の報道がありますが、これは本来人が乗るエレベーターではなく、工場などで使用されている「簡易リフト」なのです。
「20年を過ぎたから、主ワイヤーを交換しなければ」と言われ、ワイヤーが切れて落下する場面を想像して、業者の言うがままに全部を交換するマンションもあります。
エレベーターの主ワイヤーは、必ず複数(2本以上)使用され、最低11倍以上の強度を持っています。そのワイヤーも、厳しい基準で管理され製造されていて、日本で一般的に使用されている12mmのワイヤーでは、1本7,000kgに耐える強度があります。マンションの住宅用乗用エレベーターでは、9人最大積載量600kgという仕様が一般的なタイプですが、主ワイヤーを3本使用していると単純に21,000kgの荷重に耐えられます。
「エレベーターの床が抜ける危険がある」と、エレベーターの更新を勧める業者もいますが、エレベーターは強固なフレームの中に「かご」があるため、床が抜けるなんてことは有り得ません。 エレベーターは、建築基準法により年1回、有資格者による法定定期検査が義務づけられ、安全性が確保されている乗り物です。それなのに、「危険だから」と、過剰な検査や必要のない部品交換などで、多額の費用を請求しようという業者がいるのです。

--------------------------------------------------------------------------------
フルメンテナンス契約は保険か積立か?
フルメンテナンス契約にすれば、どんな大修理が必要になっても安心と思うかもしれませんが、そこは商売ですから、会社が損をするような契約はしません。新築後20年くらいは、会社が持ち出しになるほどの修理が発生しない確率を、先刻ご承知です。
あるマンションのエレベーターのケースで、フルメンテナンスで13年間契約し、累計で1,200万円を支払ったのに、修理と部品交換にかかった費用は44万円程度だったという資料があります。これがフルメンテナンス契約の「おいしい」ところです。
ですから、「20年を過ぎたエレベーターに、フルメンテナンス契約はしません」と言う業者もいます。そろそろ部品交換が多くなりそうだと、フルメンテナンス契約は儲からないという訳です。
修理に使わなかった余剰金は、契約が切れても返してくれません。これで「積立」ですか。


--------------------------------------------------------------------------------

エレベーターはフルメンテナンスが常識?
確かに、企業のビルのエレベーターはフルメンテナンス契約が多いのは事実です。損得に敏感な企業がフルメンテナンスを選ぶのだから、何か得なことがあるのか。
それは、税法のからくりがあるのです。エレベーターの税法上の法定償却年数は17年です。従って、税制上17年の償却で課税されますので、企業がPOG契約をしていて、償却前に大規模な修繕を実施すると、資産の見直しをする必要が生じる場合があり、経理上煩雑な処理になる場合があるからです。また、エレベーターの修理費用を自分の会社でプールすると、税制上「益金」とみなされて課税対象になるため、全額経費処理できるフルメンテナンス契約の方が節税になるのです。
管理組合は「営利企業」ではありませんので、自分達の積立金に課税されることはありません。

--------------------------------------------------------------------------------

少し手間はかかるが、POGがお得です
管理組合の理事には、エレベーターの専門的知識はなくても、POG契約で、良心的なコンサルタントなどの助言を受けながら、修理や部品交換の度に「何が何なの」と、業者に説明をさせながら勉強をすれば、たちまち「専門家はだし」です。エレベーターの点検をする資格のある個人は、自分の仕事に責任とプライドがありますから、契約がフルメンテナンスだろうが、POGだろうが「いいかげん」なことは出来ません。検査をOKしたのに、事故が起きたなんてことになると、検査した者の経歴に一生の傷がつきます。
やはりPOGがお得なようです。ただし、築後10数年経過している場合には、これから部品交換が多くなるので、契約変更には十分な比較検討をすることが望ましいでしょう。

--------------------------------------------------------------------------------

保守業者はメーカー系列か独立系か?
エレベーターの保守は、当然のようにメーカーの系列保守会社と契約しているマンションがほとんどでしょう。メーカー系列なら多少費用が高くても、機械に詳しく部品の供給もスムーズで安心だろうと思い込まされていませんか。だから、保守費の値下げ交渉にはなかなか応じません。
そこへゆくと、独立系の保守会社はかなり安い見積りを出して、顧客を獲得しようとしています。さて、どちらがお得でしょうか。
技術的には何の問題もないので積極的に見積りをとることをおすすめします。
もっとも、管理組合が独立系の業者と契約しようとすると、管理会社が妨害するので契約を辞退されたなどのケースがあります。
また、以前は独立系の会社にはメーカーが部品を提供しないとか、提供しても故意に納期を遅らせるなどの嫌がらせをして、迅速なメンテナンスに支障が出るケースがありました。
しかし、「公正取引委員会」が2003年10月に発表した調査報告で

■ 管理業者の、管理組合が設備保守業者と直接取引きをするのを妨害
するような行為については、独占禁止法上「不当な取引」等として問題
となる場合がある
■ 主要メーカー系保守業者が、独立系保守業者にたいして、専用部品の
供給を制限するような行為については独占禁止法上「不当な取引拒絶」
「不当な差別対価」「不当な取引妨害」等の問題となる場合がある

と、見解を示し、実際に部品供給をしなかった業界に独占禁止法上の「勧告」をしていますので、そのような事態は少なくなっています。
エレベーターの保守契約をする場合には、価格の安さだけでなく、緊急時の対応などの要素(例えば、事故や災害時に技術者が何分で到着できるかなど)を考慮して、業者を選ぶ必要もあります。