亀の啓示

18禁漫画イラスト小説多数、大人のラブコメです。

恋人はヴァンパイア

2018-04-02 00:24:45 | とにかくイチャイチャハロウィン小説版
美月がハロウィンパーティーで
亮と出会い、恋に落ちたあの頃。

保健室でレンタルした、魔界の娘たちの
服装を模して作られた衣装と魔除けのセットを
美月が買い取ったことから
同僚の間であっという間に噂が流れた。

その噂はほぼ真実ではあったのだが
美月が自ら語るまでは脱線したり
尾ひれがついたりして
一人歩きを始める類いのものも
いくつかあったのだった。

美月はジュニアハイスクールの理科教師だが
附属のハイスクールには
一緒にイベントで行動することも多く
親しい教師が何人もいた。
ハイスクールの現国の教師、佐々木瑛子は
美月と同い年で特に親しくしている教師の
一人であった。

「美月。最近つき合い悪いじゃない。」

瑛子はボリュームのある胸を揺らし
くびれたウエストから、なだらかに
張り出す腰を艶かしく動かしながら
美月に駆け寄ってくる。
背中まで伸びる柔らかで軽くウェーブの
かかった髪が胸元まで垂れて
胸と同じリズムで遊ぶように弾んだ。

「ごめん。瑛子。」

くすぐったそうに微笑む美月を見て
ふふん、と鼻で笑う瑛子。
胸から美月に詰め寄り、そのまま豊満な
乳房を左右にぷるぷると擦り付ける。

「あん!いやあん!」

瑛子は胸を美月の胸にぐいぐい押しつけて
ぼんぼん揺らす。美月は一緒に揺れる
自分の胸が、敏感に快感を拾ってしまう
ことに耳まで赤くした。

「男が出来たってもっぱらの噂だよ?」

瑛子は自分の胸を、尚も美月の胸の下から
手で操り、美月の胸ごと持ち上げる。

「やだあん!やめてよ瑛子ぉ!!」

「避けりゃいいじゃないか。
あんた、やっぱり可愛がられてるんだね?」

美月がすでに、とっくに処女ではないことを
確かめたように瑛子は胸を引っ込めた。

「いけない娘だねえ。感じちゃうなんて。」

瑛子はもはや、美月の胸を正面から
両手で揉みしだいている。

「いやあっ!や、め、てっ!」

美月は弱々しく瑛子の手を掴んで
やっとのことで胸から外した。
するとその手は腰を撫でながら
美月の小さめのプリンと上を向いた
ヒップを揉み始める。

「いい加減にしなよ!瑛子は!!」

真っ赤でべそをかきながら訴える美月に
渋々といった形で、手を引いた。

「どんなヤツに犯されてるんだい?
みんな色々言ってるよ?」

美月のようなお転婆を犯すくらいだから
かなり大きな体をした獣人だとか
魂をもてあそぶ悪魔に手慰みにされたとか
大分物騒な噂まで流れている。

「みんな暇だね。あたしの彼は
ヴァンパイアだよ。」

「ふぉーう。いつも首筋から吸われるんだ?」

瑛子は美月のショートヘアの毛先を
掻き上げてあっさり牙の跡を見つけ出す。

「これだね。」

「いやあん。瑛子のえっち。ん。」

「おっぱい揉むより普通だろ!」

瑛子は心外だという顔だ。

「血を吸われるの、痛いの?」

「初めは痛くて。なかなか吸わせて
あげられなかったの。でも、牙がスッと
入った時があって。それからは何だか……」

美月は牙の跡を指でなぞり、頬を染める。

「んもう!艶っぽい顔しちゃって!」

瑛子は美月の頬っぺたを左右から
引っ張って伸ばした。

「ひゃは!はひふんほ!!」

「あんたが男に可愛がられて
うっとり感じてるなんて想像できないよぅ。」

寂しげな瑛子。

「そういや瑛子は今、彼氏
いないんだっけ?」

「いない歴二年だね。社会人になってから
めっきり出逢いが減っちゃったし。」

こんないい女がもったいないこっちゃと
美月が瑛子のおっぱいをタプタプ横から
寄せるように揺する。

「ああん。美月のえっち!」

「どの口が言うか。」

「現時点で、女性ホルモンは美月の方が
ピューピュー出てるね。」

「その体に言われても実感湧かないよ。」








瑛子はランチを一人、温室で食べていた。
自分ひとりだとモーニングもディナーも
簡単なもので済ませてしまう。ランチも
ハムとチーズを挟んだバゲットだ。
バナナジュースを飲みながらバゲットを
かじる。味気ないな。

抱かれたい。
逞しい男の腕に身を任せて。
筋肉のパンと張った頼もしい体で
軽々と抱き上げられ、大事に触れられたい。
瑛子は想像して、うっとりとため息をつく。

無理、か。

同僚の男性教師や附属の大学の教授たちにも
誘われる。わりと先を争うように交際を
申し込まれはするのだが、瑛子には分かる。
男たちは自分の体しか見ていない。

そういう、それだけの抱かれたい、とは
違うんだもん。

恋がしたいんだよ、女の子だもん!!

瑛子はセックスアピールの激しく見える
ボディのわりに身持ちは堅い方だと
自負している。それを分かってくれている
同僚教師たちは別としても
学園のイベントでたまに顔をあわせるだけの
大学の関係者には勝手に誤解している者も
まだまだ多いのだ。

明日は大学主催のパーティーがある。
ドレスコードを遵守の上、参加するよう
言われていてたまらなく憂鬱である。
夜のパーティーなので、それ相応のドレスで
出向かないといけなかった。
美月と一緒に行きたかったが
彼女はジュニアの教師であり
今回のパーティーでは招待されていない。

「無理だよ。あたしのドレスは
瑛子には似合わないし、第一胸から
ファスナー上がんないよ。」

美月のドレスを借りようと思った。
美月のドレスはフレアスカートに控えめな
襟ぐりのカット、スタンドカラーのボレロが
セットになっている。デザイン的には
イブニングドレスとして通用しないように
見えるものの、生地が上等なので
靴をシルバーにすればパーティーでも
着ることができる。

「体調が悪いとか言ってパスしようかな。」

美月は瑛子の肩を抱いて黙って寄り添う。

「瑛子が一番いいと思うように動いたら。」

グダグダいうやつはあたしが
ぶっ飛ばしてやるよ!

よくよく考えた結果、今回を最後に
夜のパーティーはお断りしようと決めた。
学園長が場を華やかにしたいがために
瑛子を駆り出したい気持ちなのは分かる。
美月もそこは一緒に文句を言ってくれると
約束してくれた。
今回だけ、何とか乗り切ろう。






「すみません。ちょっとレストルームに。」

瑛子はなるべくデコルテをカバーしようと
シフォンの花飾りが胸元にあしらわれた
ドレスをチョイスしたのだったが
何年も前にあつらえたものだったので
ワンサイズ小さかった。
結果、ボディラインがタイトに出てしまい
かなりセクシーになってしまった。
会場に入って、ホール中央にたどり着く前に
大学の職員や助教が声をかけてきた。

「相変わらずお美しい!」

「今夜はまた妖艶で。」

「匂いたつようですな。ため息が出ます。」

まあ、男たちは真剣に瑛子を褒めているし
それなりに大事に扱ってくれるだろう。
エスコートしたがる男たちが次々
集まってきて道を塞ぐ。
瑛子は背の高い男に取り囲まれて
息苦しさを覚えてしまったのだ。

レストルームのソファに沈み
鏡に映った自分の顔を見て
思わず笑ってしまった。
このまま言われるままにイベントごとの
パーティーに出ていたら、自分が壊れる。
馬鹿馬鹿しい。
青ざめてこわばる自分の顔に
情けなくなった。

レストルームを出ると
テラスへ歩いた。
夜風に当たって気分を落ち着けようと思う。
月が綺麗だ。

「あれ?瑛子さん?」

人気のないホールの裏に位置する
テラスで声をかけられたのは意外だった。
聞き覚えのある声。

「緒形、さん?」

この緒形忍という青年は
学園の姉妹校である、近くの大学の助教だ。
瑛子はオープンキャンパスで
自分の生徒を引率していくときに
いつも彼が案内役をしてくれるのだ。

「その、マントは。」

忍はヴァンパイアの紳士が正式な場で纏う
しっかりとした生地のマントを着けている。

「俺、実はヴァンパイアで。」

耳も尖っていないし
牙だって、少し八重歯が立派ねと
思うくらいの大きさで
瑛子には彼がヴァンパイアだという
決め手が見つからなかった。

「純血のヴァンパイアではなくて。俺は
ひいひいお祖母ちゃんが魔女だったんです。」

でもいつもは少し細工してます。
そう言うと忍は耳に手をやる。
手を離すと耳は尖って上に伸び
笑う口元には大振りの牙が白く滑らかに
顔を出していた。

「瑛子さんは、どうしちゃったんです?」

忍はテラスのデッキチェアに瑛子を
掛けさせ、マントを脱いで瑛子の肩に
着せかけた。

極力、肌には触れないように
気をつけているのがわかる。
目線もなるべく体には注がぬように。
これこそ紳士だと瑛子は思う。

「疲れちゃった。」

瑛子は多くを語らなかった。
今、忍に癒されている。それで十分だった。

「帰るわ。送ってくださる?」

忍は瑛子の手を取り、ひざまずいて
その手の甲にキスした。

「今、車の手配を。」

瑛子は黙っている。

帰りたいけど、別れたくない。

忍は戸惑っている。

「お願い。ここを出て、しばらく
あたしと一緒にいて。だめ?」

忍の表情が無邪気な少年のそれに変わった。

「じゃあ、ここから5kmほど西に行った
ところにある森に行きませんか。
整地されていて奥にはバラ園もあります。
夜はまた、綺麗ですよ。」

「嬉しい。」

忍は翼を広げた。
瑛子はヴァンパイアの翼を見たのは
生まれて初めてだったので、少し驚く。
忍の翼は夜空に向かって伸びるようで
小柄な彼の身長は軽く越える長さがある
大きなものだった。

「飛びますよ?高いところは大丈夫?」

返事も聞かずに瑛子をマントに包んで
空に飛び上がった。

瑛子が忍のうなじまで手を伸ばし
腕を絡めるように抱きつくと
忍は瑛子の額に唇を寄せた。

少し躊躇ったあと、チュッと音をさせて
軽いキスをした。

「大好きだよ。」

瑛子は返事をしない。
忍も返事を聞きたいわけではなかった。

しばらく空を飛び、忍が降り立ったのは
森の中の遊歩道に繋がった公園だった。
街灯に夜露がきらめく。