わしの名前はチュ・カメムシ・ショタ。
戸籍を失った今となってはこれだけがわしの名乗れる名前である。
もう何年も放置していたブログではあるが、これからわしの最期を綴ろうと思う。
今まさに死にゆく老いぼれの呟きであるが、出会ったしまった方はどうかお付き合い願いたい。
科学の進歩によってわしらは思考するだけでコンピューターを操作し、情報を発信し享受することが可能となった。
しかしそれは決して思考するだけで人と人が分かりあえることを意味しなかった。
科学は、わしに何も与えてくれなかった。
今が西暦何年でここが何処なのかは分かりゃあせん。
住むところを失ってから年を数えることを止めたわしにとって、それらのことは全く意味を持ちはせんのじゃ。
本当に色々なところを放浪した。
しかし、それは若い頃にした旅のような興奮など何処にもなく、今になって思うと、ただ死に場所を探すようなものであった。
だが、それももう終わりのようだ。
わしはこれから死ぬ。
この雪降り積もる公園のベンチで眠りにつくことにした。
思えばわしは余りにも長く生き過ぎた。
かつてわしには恋人がおった。友達がおった。
一人本当に仲の良い友達がおり、互いのことを「兄弟」と呼ぶほどであった。
ある日彼は自衛隊に入隊するとわしに告げた。
あの外国船北海道上陸事件があった年のことじゃ。
わしはそれまで定職にも着かず毎日遊び歩いていた彼が初めて自分の固い意思で何かをやると言ったことが嬉しくて、彼の背中を押してやった。
彼の死が伝えられたのはそれから半年後のことじゃった。
それから何かが狂ってしまった。
恋人はそれから間もなく病死し、家族もまた死に、気づけばあっという間に独りじゃった。
当時ロックバンドをやっていたのじゃが、今となってはバンド名すら思いだせん。
生涯家族を持つこともなかった。
ただ一人生き続けてきた。
それももう終わりじゃ。わしの孤独な旅は今終わる。
「よぉ、じいさん。こんなとこでなにやってんだ・・・おらぁ」
どこから来たのか突然一人の若者が話しかけてきた。
昔で言うところのB-BOYファッションに身を包んだ・・・明らかに柄の悪そうな風貌である。
この不自由な身体になってからというもの、荒れた若者に袋叩きにされたのは一回や二回では済まない。
そうか、わしはこの男に殺されるのじゃな。
それも良いじゃろう。もうどうせ身体は動かない。
その時わしの視界にそびえ立つ赤い鉄塔が入った。
なんということだ。
今の今まで気づかなかったというのか。
ここはサッピョロじゃ。
そしてわしが身体を横たえているこのベンチ。
これはわしが若い頃毎日昼食をとっていたあのベンチではないか!
わしは故郷に帰っていたのじゃ!
「なに鳩が豆鉄砲食らったような顔してるんだよ。やれやれ、やっと気づいたみてーだな。本当にボケちまったんじゃねーのか?」
この男今何て言った?
「あーあ、ひでぇなこりゃ。完全にボケ老人になっちまったんだなぁ。よぉ、兄弟」
お前は・・・兄弟!?
「ボケ老人になに話しても無駄だろーけどよぉ、ご機嫌なときはどうするんだった?こーだろ?」
彼は指で「W」の形を作り軽くステップを踏んでみせた。
間違いない。
憶えている。憶えているとも兄弟!
わしは必死に彼と同じように指で「W」を形作ろうとした。
「・・・全っ然出来てねーよ。コイツもう駄目っすわ。おばさんからもなんか言ってやってくださいよ」
「もーう、ショウ!ウェッサイのハンドサインも出来なくなっちゃたの!?・・・チャッ!」
母さん!その隣には・・・父さんまで!
「おうボンズ、こうよ。ウェッサーイ」
「腹減ってんの?なんか作っちゃるか?」
「ショタさぁ~、久しぶりにスタジオでも入っかぁ~」
「ショーちゃんどしたの!久しぶりでしょ!!」
気づけば周りには知っている顔しかいなかった。
憶えている。憶えているよ。
一人たりとも忘れはしない。
みんな僕の大切な人だ。
「・・・みんな貴方を待っていたんですよ」
そうか、君も待っていてくれたんだな。
少女の姿のまま俺を見守っていてくれたんだな。
でも僕は君の手をとるには余りにも老い過ぎてしまったよ。
「・・・寒いっ。ここは寒いです。暖かいところへ行きましょう」
そういえば君は寒いのが大の苦手だったな。面目無い。
よし、行こう。
僕はベンチから起き上がり彼女の手を握った。
僕の手は彼女と同じように若々しく、温かかった。
僕の孤独の旅は終わりました。
これにてこのブログの結びとさせて頂きます。
のべ50余年、お付き合い頂き本当にどうもありがとうございました。
ネタだよ。ちゃんと続くよ。
戸籍を失った今となってはこれだけがわしの名乗れる名前である。
もう何年も放置していたブログではあるが、これからわしの最期を綴ろうと思う。
今まさに死にゆく老いぼれの呟きであるが、出会ったしまった方はどうかお付き合い願いたい。
科学の進歩によってわしらは思考するだけでコンピューターを操作し、情報を発信し享受することが可能となった。
しかしそれは決して思考するだけで人と人が分かりあえることを意味しなかった。
科学は、わしに何も与えてくれなかった。
今が西暦何年でここが何処なのかは分かりゃあせん。
住むところを失ってから年を数えることを止めたわしにとって、それらのことは全く意味を持ちはせんのじゃ。
本当に色々なところを放浪した。
しかし、それは若い頃にした旅のような興奮など何処にもなく、今になって思うと、ただ死に場所を探すようなものであった。
だが、それももう終わりのようだ。
わしはこれから死ぬ。
この雪降り積もる公園のベンチで眠りにつくことにした。
思えばわしは余りにも長く生き過ぎた。
かつてわしには恋人がおった。友達がおった。
一人本当に仲の良い友達がおり、互いのことを「兄弟」と呼ぶほどであった。
ある日彼は自衛隊に入隊するとわしに告げた。
あの外国船北海道上陸事件があった年のことじゃ。
わしはそれまで定職にも着かず毎日遊び歩いていた彼が初めて自分の固い意思で何かをやると言ったことが嬉しくて、彼の背中を押してやった。
彼の死が伝えられたのはそれから半年後のことじゃった。
それから何かが狂ってしまった。
恋人はそれから間もなく病死し、家族もまた死に、気づけばあっという間に独りじゃった。
当時ロックバンドをやっていたのじゃが、今となってはバンド名すら思いだせん。
生涯家族を持つこともなかった。
ただ一人生き続けてきた。
それももう終わりじゃ。わしの孤独な旅は今終わる。
「よぉ、じいさん。こんなとこでなにやってんだ・・・おらぁ」
どこから来たのか突然一人の若者が話しかけてきた。
昔で言うところのB-BOYファッションに身を包んだ・・・明らかに柄の悪そうな風貌である。
この不自由な身体になってからというもの、荒れた若者に袋叩きにされたのは一回や二回では済まない。
そうか、わしはこの男に殺されるのじゃな。
それも良いじゃろう。もうどうせ身体は動かない。
その時わしの視界にそびえ立つ赤い鉄塔が入った。
なんということだ。
今の今まで気づかなかったというのか。
ここはサッピョロじゃ。
そしてわしが身体を横たえているこのベンチ。
これはわしが若い頃毎日昼食をとっていたあのベンチではないか!
わしは故郷に帰っていたのじゃ!
「なに鳩が豆鉄砲食らったような顔してるんだよ。やれやれ、やっと気づいたみてーだな。本当にボケちまったんじゃねーのか?」
この男今何て言った?
「あーあ、ひでぇなこりゃ。完全にボケ老人になっちまったんだなぁ。よぉ、兄弟」
お前は・・・兄弟!?
「ボケ老人になに話しても無駄だろーけどよぉ、ご機嫌なときはどうするんだった?こーだろ?」
彼は指で「W」の形を作り軽くステップを踏んでみせた。
間違いない。
憶えている。憶えているとも兄弟!
わしは必死に彼と同じように指で「W」を形作ろうとした。
「・・・全っ然出来てねーよ。コイツもう駄目っすわ。おばさんからもなんか言ってやってくださいよ」
「もーう、ショウ!ウェッサイのハンドサインも出来なくなっちゃたの!?・・・チャッ!」
母さん!その隣には・・・父さんまで!
「おうボンズ、こうよ。ウェッサーイ」
「腹減ってんの?なんか作っちゃるか?」
「ショタさぁ~、久しぶりにスタジオでも入っかぁ~」
「ショーちゃんどしたの!久しぶりでしょ!!」
気づけば周りには知っている顔しかいなかった。
憶えている。憶えているよ。
一人たりとも忘れはしない。
みんな僕の大切な人だ。
「・・・みんな貴方を待っていたんですよ」
そうか、君も待っていてくれたんだな。
少女の姿のまま俺を見守っていてくれたんだな。
でも僕は君の手をとるには余りにも老い過ぎてしまったよ。
「・・・寒いっ。ここは寒いです。暖かいところへ行きましょう」
そういえば君は寒いのが大の苦手だったな。面目無い。
よし、行こう。
僕はベンチから起き上がり彼女の手を握った。
僕の手は彼女と同じように若々しく、温かかった。
僕の孤独の旅は終わりました。
これにてこのブログの結びとさせて頂きます。
のべ50余年、お付き合い頂き本当にどうもありがとうございました。
ネタだよ。ちゃんと続くよ。
作ショタ、で、色んな漫画家さんとコラボしてエロ本いきましょう!
戦死と野垂れ死に。
どっちもお似合いだと思うんだ。
>>ともや
誰か描いてくれたらいいなぁ。。
その辺の人でもいいから。
確かにマンガで見てみたい・・・
っていうか、俺の実力発揮はエロなんですか。