kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

広島市現代美術館特別展「俯瞰の世界図」

2015年10月25日 | 展覧会
俯瞰の世界図
会場:広島市現代美術館
会期:2015年10月10日(土)~12月6日(日)

結論から言う。
「最高だ!」

ワタシは元々、着陸せんとする飛行機から眺める地上の景色が好きで、特に眼下を走る自動車のドライバーを想像しては楽しんでいる。彼はどこに行くのか、同乗者は誰なのか、今夜はどこで過ごすのか・・・
また、仕事ではマップづくりに携わり、趣味の山歩きでは国土地理院の地図を眺めているだけで楽しい。そんなワタシの琴線にビンビン響く展覧会だ。

さて、リアルな俯瞰図は飛行機の登場とともに現れ、もっと言うなら、第二次世界大戦の空中偵察や電撃戦、戦略爆撃の実施によって、精度が極められて行った。そういった点でこの展示会が広島の原爆投下をスタートとしているのは至極当然のことと思えるし、そこから俯瞰図をテーマとした展示に展開させていく力技は、相変わらず見事だと思う。

いずれの作品も興味深いのだが・・・

松江泰治
「JP-34」シリーズ
平和記念公園を中心に撮影した作品なのだが、撮影は今年。よく見ると8・6の平和記念式典のテントを張っているところなので、撮影したのはごく数ヶ月前なのだ。たぶん、その写真のどこかにワタシもいるんだろうな。

石原正
「バーズアイマップ3 奈良絵図」
1979年の奈良市内の観光マップだが、今や無くなってしまったビルの名前が泣けてくるくらい懐かしい。「JP-34」同様に10歳のワタシがマップの中にいるような気がした。

チャールズ&レイ・イームズ
「パワーズ・オブ・テン」
1977年の映像作品なのだが、大昔に読んだSF映画の本にこの作品について言及されていたと思う。まさかそんな作品を現代美術館で見ることができるとは思わなかった。俯瞰の高さがどんどん上がっていって、宇宙規模のスケールになる作品なのだが、宇宙モノが好きになった今のワタシだからより楽しめる。壁面ではなく、床の上に上映して吹き抜けの2階から鑑賞できる展示方法も作品の本質どおりで見事。

ジャナーン・アル・アーニ
「シャドウ・サイト1」
砂漠を空撮した約15分の映像作品。砂漠、荒地、鉄道、道路が延々と上映される完璧にワタシ好みの作品。あの砂漠を歩く自分を夢想するだけでワクワクするし、いくらでも見続けられそうでDVDがあれば欲しいくらいなのだが、言うまでもなくそんなワタシは特殊。他のお客さんは3分ほどで見るのを止めていた。(笑)

他にも山口晃の作品とか、ニバン・オラニウェーの超大作とかこれだけ興奮した展覧会は久しぶり。たぶん、もう1回足を運びそうな気がする。


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