kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

デス・ウィッシュ

2018年10月29日 | ★★☆☆☆
ホステル」とか「グリーンインフェルノ」のイーライ・ロス監督による、ブロンソンの「狼よさらば」のリメイク。

「狼よさらば」と言えば、馴染み深いのが原作のブライアン・ガーフィールド。彼が脚本を書いた「ホップスコッチ」は大好きな映画だし、犯罪アンソロジー「私は目撃者」も面白かった、近年では「狼の死刑宣告」で何十年ぶりかに名前を聞いたときには嬉しかった。

その「狼よさらば」はブロンソン主演だが、強盗に妻を殺された建築家が自警団活動をするうちに殺しの本能に目覚め、その反動で自殺願望(Death Wish)を募らせていく主人公像が良かった。最初は硬貨を袋詰したお手製棍棒でスタートし、やがて拳銃に進む暴力のエスカレートはワタシ好みだし、結局、強盗犯人は捕まりも殺されもしない重い展開も70年代だった。(その後、重武装化していくシリーズは置いておいて・・・)

ケビン・ベーコン主演の「狼の死刑宣告」も復讐が復讐を呼ぶ因果応報の連鎖がイヤな感じで好きな映画だ。

さて、ようやく本題だが、今回の主役はブルース・ウィリス演じるER担当の外科医。「狼よさらば」同様、自宅を強盗に襲われ、妻は殺され、娘は意識不明の重体になる。最初は警察の捜査に委ねていたが、捜査が進まず、娘の容態も改善しない現実に落胆する。

のだが、全然そんな風に見えないのがブルース・ウィリスの困ったところ。予想どおりと言えば予想どおりだが、ここまで元のキャラが鉄板なところはさすが大スターと逆に感心してしまう。

ERに運びこまれたギャングから偶然、拳銃を失敬した彼はネットで銃の扱いを勉強し、密かに訓練を重ね、悪を仕留めに街に出ていくようになる。この過程に全然逡巡が感じられない。映画の展開が見えていることもあるし、監督がそこを描くつもりがなかったことも感じられる。

さらにうまいこと家族を襲った強盗団も独自で判明し、無作為に悪に私的制裁を加える自警団から復讐者に変わっていく。こうなると「行き過ぎた自警団活動とその限界」という面白さがどっかに行ってしまい、復讐が成就することが映画の目的となってしまう。医者としてのモラルに悩むこともなくなったブルース・ウィリスが暴れるのを止めるものは、もはや何もない。そういう映画だから仕方ないんだけどな。

「狼よさらば」を知っているだけにそこに引っ張られてしまったし、イーライ・ロス映画に期待した悪趣味な映像もあまり見られなかったので、期待した割に残念な出来だった。






題名:デス・ウィッシュ
原題:DEATH WISH
監督:イーライ・ロス
出演:ブルース・ウィリス、ビンセント・ドノフリオ、ディーン・ノリス



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