kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

フィクサー

2008年06月15日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
コースから外れた中年男役がしっくりくるようになったジョージ・クルーニー、今回は大手法律事務所で陽の当たらない仕事を専門とする弁護士。その彼が友人弁護士の抱える大型訴訟の後始末の後始末に関わったばっかりに・・・というストーリーなんだけど、ちょっと説明が難しい。

さて、役所の知人に「そんなに法律を知っていたら、どんな企業へでも転職できるね。」という話をしたところ、「大企業は関連する法律を新人の時から叩き上げるので、なまじ法律を知っているからと言って中途採用されても全然役に立たない。」と言われたことがあります。

そうなんです。裁判沙汰は社内の法務が対応する日本の企業と違い、訴訟問題で法律事務所が前面に出てくるアメリカの司法構造が実感できないので、最初、ストーリーに取っ付くまで30分位かかりました。ジョージ・クルーニー、ティルダ・スウィントン、トム・ウィルキンソン、シドニー・ポラックら、それぞれの立場が飲み込みにくいのよね。

1時間くらいしてようやく全体像が見え出す頃、ストーリーも一気にテンポアップ。
「会社のメインストリームの一流」シドニー・ポラック、「陽のあたる仕事なんだけど、割り切り方が二流」トム・ウィルキンソン、「B級仕事の一流」ジョージ・クルーニー、それぞれの仕事に対する考え方や人生観が書き分けられてて、なかなか興味深いです。

誰がしても良い(誰もしたくない)仕事をキッチリとこなすばかりに、器用貧乏になってしまい、将来にも希望が持てないジョージ・クルーニーの役どころは、今の自分の心境とかなりダブってしまって、ジ~ンとくるなあ。そんな彼が息子に向かってダメ叔父の話をするシーンなんか、ちょっと涙が出てしまった。

コンスタンティン」の頃から気になっていたティルダ・スウィントンも好みの女優さんです。

公開から時間が経っているので書いてしまうけど(以下、ネタバレ)、トム・ウィルキンソンが始末屋2人組に殺されるシーンなんかは1シーン1カットで撮っていて、かなりスリリング。この始末屋2人組も、全然個性的でない地味な顔立ちの割に盗聴から尾行、殺人まで何でもこなす「キタナイ仕事の一流」ぶりを発揮する上に、殺しを示唆しながらも「殺人指令」はキチンと言質を取る狡猾さを兼ね備えるという絶妙のキャラクター。なかなかいいです。

惜しむらくは、ジョージ・クルーニーの「フィクサー」ぶりが余り実感できないこと。顧客の汚れ仕事を手際よく片付けるシーンをいくつか見たかったね。
 題名:フィクサー
原題:Michael Clayton
監督:トニー・ギルロイ
出演:ジョージ・クルーニー、トム・ウィルキンソン、ティルダ・スウィントン、シドニー・ポラック

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