kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

トータル・リコール

2012年08月20日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:8月19日
映画館:バルト11
パンフレット:A4変形横版600円。監督俳優のインタビューほかP・K・ディックの略年表付。

えっ、「トータル・リコール」って、もう再映画化?つい、こないだシュワルツェネッガー版があったばかりじゃん・・・なんて、一瞬思ったのだが、実はシュワ版ももう20年以上前。ワタシも年をくう訳だが、観ている映画は変わっていない。(笑)

シュワ版は、偽記憶が埋め込まれているというP・K・ディック・ワールドより、バンホーベン監督とロブ・ボーディンの毒々しいバイオレンス・ワールドの印象が強すぎた。頭の割れるオバハンに鼻の奥の発信器、ミュータント、地底戦車、血塗れの殺し合いなんか、ちゃんと頭にインプットされている。

【以下、ネタバレあり】

さて、今回は同じ原作をベースに、今流行りの「再構築」とか「リブート」とか「リ・イマジネーション」するのかと思いきや、宣伝を見る限りではあまり変わった様子がない。

これが映画本体の方も実は同様で、結論から書いてしまうと、エンドクレジットにもあるように、シュワ版のまっとうなリメイクなのだ。

火星植民地という舞台設定こそ変わったが、登場人物の名前も展開も一緒。シュワ版でシャロン・ストーンとマイケル・アイアンサイドが演じていた悪役は、ケイト・ベッキンセール一人に集約されているものの、やっていることは同じ。(余談だが、ケイト・ベッキンセールって、この手の映画に本当に便利な女優さんになってしまった。(笑))

ある意味、こんな直球なリメイクって最近珍しいくらいだ。

頭の割れるオバハンはどうなの?とみんな思っているが、あのアイディアはちゃんと活かされているし、そのシーンにはソックリなオバハン(もしかして、同一人物?)が登場し、ニヤリとさせられる。マイケル・アイアンサイドの腕チョンパもちゃんと再現されている。

その辺の懐かしい描写はアクセント程度にとどめられ、当然、前作を知らなくても楽しめる映画になっているが、ディック原作の本来の面白さであるはずの「自分が別の誰かである混乱」とか「偽物が本物を凌駕する恐怖」といったものは、シュワ版同様、薄いと言わざるをえず、やっぱり派手な画面づくりに終始してしまっている。

ディックばりの小道具の使い方なんて上手いと思うのだが、ありきたりの未来都市なんかデジャビュ感さえあり、アクションシーンのコマ割もなんだか歯切れが悪く、メリハリがないまま、ガンガンに流される音楽も途中から辟易とさせられる。

もうちょっと違う中身を期待したんだけどね・・・。リコール社で新しい記憶を注入しなければならないのは、映画そのものだったようだ。

ところで、ディック作品の映画化の時はいつも触れるのだが、早々に「高い城の男」を映像化すべし。チルダーン君。





題名:トータル・リコール
原題:Total Recall
監督:レン・ワイズマン
出演:コリン・ファレル、ジェシカ・ビール、ケイト・ベッキンセール


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